基礎から学ぶ「外国語教授法」 Part 3

基礎から学ぶ

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本記事の活用方法

「ゼロから学習スタート!」という方へ

できる限り、内容を端的にした「読み物」として作成しています。
「外国語教授法」は時代背景と流れを理解することが重要なので、まずは読み流してみてください。

最後に、要点をまとめたスライドを掲載しています。
内容がスッと入ってきたら、理解が進んでいる証拠です。
ダメ押しでもう1周読んでいただくと、単なる用語の暗記ではない形での記憶として頭に残るはずです。

「復習として取り組む」という方へ

まず、最後のスライドを見ていただき、全体観を把握するようにしてみましょう。
その後、最初から読み進めていってください。

用語自体は既知のものが多いと思います。
大切なのは、「実際に試験・現場で使える知識になっているか?」「日本語教師としての知見となったか?」です。

自身が「日本語教師を目指す人に伝えるとしたら、どのように話すか?」という観点で取り組むのも、面白いかもしれません。

「直接法」への発展

「文法訳読法」は辞書を使って母語を目標言語に翻訳していましたが、「ナチュラル・メソッド」では目標言語を使って自然と話せるように授業が組まれていました。

代表例が2つ。
「グアン・メソッド」と「ベルリッツ・メソッド」です。
どちらも20世紀に登場しました。

これらは目標言語を使って授業をすることから、「直接法」に分類されています。

解説 直接法

現在の日本語教育の現場における「直接法」とは、外国語教育において学習者の母語を媒介させずに、目標言語だけで「直接」授業を行う教授法の総称です。

広義では、文法訳読法に代わって生まれた教授法を総称して言うこともあります。

「オーラル・メソッド」とは?

代表的なものをいくつか整理していきましょう。

1つ目は、「オーラル・メソッド」です。
言語学者のパーマーが提唱しました。

前提として、言語の持つ「体系」と「運用」のうち、言語教育が必要なものは「運用」だとしています。
また4技能のうち、「聞く」「話す」を第一次技能、「読む」「書く」を第二次技能とし、第一技能である「聞く」「話す」の習得を優先しました。
(この言語を「体系」「運用」の2つの面かた捉える考え方は、ソシュールの影響が見られるとされています。)

外国語習得には、
 ① 耳による観察
 ② ①の模倣
 ③ 口慣らし
 ④ 意味付け
 ⑤ 類推による作文
という5つの学習習慣があるとし、この学習習慣を身に着けるための練習として
 1) 音を聞き分ける練習
 2) 発音練習
 3) 反復練習
 4) 再生練習
 5) 置換練習
 6) 命令練習
 7) 定型会話
が必要だとしています。

現在の日本語教育のあり方と近しい感じがしますね。
それもそのはず、パーマーは文部省により英語教授顧問として来日し、オーラル・メソッドによる英語教育の普及だけでなく、同僚の長沼直兄(なおえ)と親交を深めて、日本語教育にも大きな影響を与えました。
長沼直兄は日本語教育史の分野で出てくるので、あわせて覚えておきましょう。

パーマーと長沼直兄の関係については、こちらがおススメです。

「GDM(Graded Direct Method)」とは?

次は、「GDM(Graded Direct Method)」です。
ハーバード大学で、リチャードとギブソンによって提唱されました。

「Graded」とは「段階的な」という意味です。
簡単な項目から徐々に難しい項目へと段階的に授業が進んでいくことで、母語による媒介を必要とせずに目標言語だけで学習を進めていくことができるとしています。

「GDM」は以下の2つを基礎理論としています。
1つ目が「ゲシュタルト心理学」、2つ目が「意味の三角形」です。

「ゲシュタルト心理学」とは、人間の心理現象を要素分解して原因追及するアプローチを取るのではなく、全体性に光をあてて解明しようとする心理学の一派です。
全体を認識して初めて意味があるという考え方をします。

「意味の三角形」は以下の図の概念です。
左下の象徴(記号)とは「言語表現そのもの」、右下の指示物(対象)とは「言語表現が指し示すもの」です。
これらは直接つながっておらず、何かしらの思考を媒介しているとということを図式化したのが「意味の三角形」です。

……イメージがつきにくいですよね。
試験レベルであれば、「言語表現そのもの」と「言語表現が指し示すもの」は直接つながっておらず、認知や思考を介して理解される…くらいの覚え方で大丈夫です。

腹落ちしないとモヤモヤする…という場合は、こちらがおススメです。

これらの直接法に後続する「行動主義心理学」に基づく教授法については、次の記事でご案内します。
ここまでの「20世紀の直接法」について整理しておきましょう。

いかがでしたか…?

ついつい「単語カードによる、一問一答!」でこなしてしまいがちな「外国語教授法」ですが、社会的な背景やどのような言語観から発展したかを理解すると、より使える知識になった実感が湧いてくるのではないかと思います。

本記事はここまでとします。
次回は、直接法に後続する「行動主義心理学」に基づいた教授法について説明していきます。

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