
日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版(赤本)における
第1部 言語一般
第1章 文法体系① 日本語教育における品詞
①
の解説をしていきます。
P194の問題を解いてから、読み進めていってください。
日本語教育における動詞の分類
小中学校で習った国語での動詞の活用は、
・未然形
・連用形
・終止形
・連体形
・仮定形
・命令形
の6つで、どのように変化するかによって
・五段活用
・上一段活用
・下一段活用
・カ行変格活用
・サ行変格活用
の5つに分類されていました。
日本語母語話者であれば
「走る」は、後ろに「ない」を付けて「走らない」としたときに「ない」の前はア行の「ら」だから、五段活用だ!
とわかるのですが、日本語学習者が同じように判断するのは難しいですね…!!
私たちが英語の授業で「不規則動詞」を一覧化したように、学習者は動詞をグループ分けして覚えていっています。
日本語教育における動詞のグループ分けでポイントとなるのは、「語幹の形」です。
1グループ … 語幹が子音で終わる動詞
2グループ … 語幹が母音で終わる動詞
3グループ … 語幹も活用も不規則に変化する動詞
「飛ぶ(tobu)」は、後ろに「ない」を付けて「飛ばない(tobanai)」としたときや、後ろに「て」を付けて「飛んで(tonde)」としたときに、語幹が「子音」で終わりますね。
これは、1グループに分類されます。
「見る(miru)」は、後ろに「ない」を付けて「見ない(minai)」としたときや、後ろに「て」を付けて「見て(mite)」としたときに、語幹が「母音」で終わりますね。
これは、2グループに分類されます。
3グループに分類されるのは、「来る」「する(~する)」の2語だけです。
1グループは「五段活用」、2グループは「上一段活用」「下一段活用」、3グループは「カ行変格活用」「サ行変格活用」なのでは…?
と気づいた方がいるかもしれません。
その通りです。
活用において「ア段・イ段・ウ段・エ段・オ段」のすべてを使う「五段活用」を1グループに・、次に「イ段」「エ段」の違い以外は共通する「一段活用」を2グループに、残ったルールに当てはまらない「変格活用」を3グループに分類しています。
1グループ … 五段活用
2グループ … 上一段活用・下一段活用
3グループ … カ行変格活用・サ行変格活用
ということを知っていたら確認問題自体は簡単に解けてしまうのですが、せっかくなので、学習者と同じように見ていこうと思います。
「来る」「する(~する)」であれば、3グループ
語幹が子音で終われば、1グループ
語幹が母音で終われば、2グループ
です。
各選択肢を「ナイ形」に変えて考えてみましょう。
※ 日本語教育では、未然形・連用形…ではなく、ひとかたまりで覚えられるように「辞書形(飛ぶ)」「ナイ形(飛びます)」「マス形(飛びます)」のように整理しています。
確認問題の解説
(1) a 1グループ動詞
辞書形「咲く(sak-u)」
ナイ形「咲かない(sak-anai)」
マス形「咲きます(sak-imasu)」
語幹が「子音」で終わっているので、1グループです。
(2) a 1グループ動詞
辞書形「こわす(kowas-u)」
ナイ形「こわさない(kowas-anai)」
マス形「こわします(kowas-imasu)」
語幹が「子音」で終わっているので、1グループです。
(3) b 2グループ動詞
辞書形「誉める(home-ru)」
ナイ形「誉めない(home-nai)」
マス形「誉めます(home-masu)」
語幹が「母音」で終わっているので、2グループです。
(4) c 3グループ動詞
「する(~する)」ですね。
活用を見るまでもなく、3グループです。
(5) a 1グループ動詞
辞書形「帰る(kaer-u)
ナイ形「帰らない(kaer-anai)」
マス形「帰ります(kaer-imasu)」
語幹が「子音」で終わっているので、1グループです。
(6) c 3グループ動詞
「来る」ですね。
活用を見るまでもなく、3グループです。
(7) b 2グループ動詞
辞書形「煮る(ni-ru)」
ナイ形「煮ない(ni-nai)」
マス形「煮ます(ni-masu)」
語幹が「母音」で終わっているので、2グループです。