
日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版(赤本)における
第1部 言語一般
第1章 文法体系① 日本語教育における品詞
②
の解説をしていきます。
P194の問題を解いてから、読み進めていってください。
前の問題はこちら
「名詞」「ナ形容詞」の見分け方
名詞は、主語や目的語・補語になることができる語で活用はありません。
あそこに立っている人が、この本を書いたAさんだ。
であれば、「(あそこに立っている)人」が主語・「(この)本」が目的語・「Aさん」が補語です。
日本語教育では、形容動詞のことを「ナ形容詞」と呼称します。
活用があり、
きれいな景色が見えた。
のように【名詞を修飾する使い方】と
ここから見える景色はきれいだ。
のように【述語になる使い方】があります。
それでは、次の下線部は「名詞」「ナ形容詞」のどちらでしょうか?
彼と過ごした時間は、とても有意義だった。
述語になるときは、「名詞」「形容詞」ともに「~だ(だった)」の形になります。
「だ」は、名詞述語文であれば助動詞・形容詞述語文であれば活用語尾です。
「名詞」「形容詞」のどちらなのかを判断するときは、【名詞を修飾する使い方】にしてみましょう。
彼と過ごした時間は、とても有意義だった。
→ 彼と、とても有意義な時間を過ごした。
このように、ナ形容詞であれば、連体形にしたときに「~な」の形になります。
それでは、次の下線部は「名詞」「ナ形容詞」のどちらでしょうか?
ここにある本は、すべて英語だ。
先ほどと同じように、【名詞を修飾する使い方】にしてみましょう。
△ 英語な本が、ここにある。
だと文がおかしいですね。
◎ 英語の本が、ここにある。
だと文が成立します。
これは、「英語だ」が「名詞+助動詞の『だ』」であって、ナ形容詞ではないからです。
そのため、名詞「本」に接続するためには「英語の」のように「名詞+連体助詞『の』」の形にする必要があります。
まとめると…
【名詞を修飾する形】にしたときに
「~の+名詞」になるのが「名詞」
「~な+名詞」になるのが「ナ形容詞」
です。
確認問題の解説
(1) b ナ形容詞
【名詞を修飾する形】にしたときに、「元気な祖父」のように「~な+名詞」になりますね。
「元気だ」は、ナ形容詞です。
(2) a 名詞
【名詞を修飾する形】にしたときに、「無実の人」のように「~の+名詞」になりますね。
「無実だ」は、名詞+助動詞の「だ」です。
(3) b ナ形容詞
【名詞を修飾する形】にしたときに、「親切な人」のように「~な+名詞」になりますね。
「親切だ」は、ナ形容詞です。
(4) b ナ形容詞
【名詞を修飾する形】にしたときに、「不安な結果」のように「~な+名詞」になりますね。
「不安だ」は、ナ形容詞です。
(5) a 名詞
【名詞を修飾する形】にしたときに、「日本製の車」のように「~の+名詞」になりますね。
「日本製だ」は、名詞+助動詞の「だ」です。