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問17 総合問題
一


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
本文では、
授乳中の母親がぼうっとして何かを夢想していると、その心的内容が子どもに伝わり、感性豊かな人間に成長する。
ということを「心のミルク」と表現しています。
ただし、
「心のミルク」はすでに胎児の頃から与えられているのかもしれない。
と書かれており、母親がぼうっとしていれば、「心のミルク」が必ず子どもに与えられるわけではありません。
1 ~むしろぼうっとしていることのほうが、子どもの成長にとってはよい
と言い切っている1は、間違いです。
本文では、
これまで人間はさまざまな環境に適応してきた動物なので、母親がスマートフォンを操作していることで、幼児に新しい精神構造が築かれていくかもしれない。
と述べられています。
スマートフォンをいじることで得られる情報はゴミのようなものだ。
とはありますが、
ぼうっとする時間がなくなっていることがマイナスだ。
とまでは言い切っていないですね。
2は、間違いです。
本文では、
これまで人間はさまざまな環境に適応してきた動物なので、母親がスマートフォンを操作していることで、幼児に新しい精神構造が築かれていくかもしれない。
と述べられています。
3の内容がピッタリですね。
これが正解です。
本文では、
これまで人間はさまざまな環境に適応してきた動物なので、母親がスマートフォンを操作していることで、幼児に新しい精神構造が築かれていくかもしれない。
と述べられています。
- 母親が幼児を抱きながらスマートフォンを操作すること
- 豊かな感性の子どもが育つこと
について、「関係があるかもしれない」となっていますね。
4は、間違いです。
二


本文では、
人類が進歩し続けるという考えには無理がある。
と述べられており、その根拠として
- 個人は必ず死ぬので、蓄積した知や経験はリセットされること
- 生物学的には、人口は平衡状態を迎えていること
- 資源を過剰に浪費するなら、地球上の人類は滅亡してしまうこと
が挙げられています。
その結果、必要なのが「持続可能性」ですね。
1が正解です。
本文では、
人類が進化し、完全な社会が来る
という従来の観念は否定されていますが、そこから抜け出すことで
人類の消滅を防ぐことができる
とは述べられていません。
2は、間違いです。
本文では、
人口は平衡状態に達している
ということが従来の観念を否定する根拠の1つになっていますね。
これにより、人類の持続可能性が高まることもなければ、銀河宇宙の消滅も防ぐことができるという壮大な話でもありません。
3は、間違いです。
- 人類全体の進歩
- 個人の成長や進歩
の関連付けについては、本文中で述べられていません。
また、「宇宙規模」のようなスケールの話でもないですね。
4は、間違いです。
三


本文では、能登半島地震後
居住地周辺ではなく、遠くても安全な土地に「二次避難」すべきではないか?
というインタビュー内での
遠く離れた地で暮らしていると、災害がひとごとに思えてくる。
という発言を挙げ、
震災対策は、「当事者意識」と紐づかせるために、地域再生と結びつくような長期的な展望で考える必要もある。
ということが述べられています。
3が正解です。
本文で述べられているのは、あくまで
震災対策は、「当事者意識」と紐づかせるために、地域再生と結びつくような長期的な展望で考える必要もある。
ということであり、
× 「二次避難」よりも長期的な展望を重視する
とまでは、主張されていません。
1は、間違いです。
本文では、東京一極集中していった理由の大きいものとして、
○ 経済的豊かさを求めたこと
が述べられています。
× 災害時の「二次避難」を減らすため
ではないですね。
2は、間違いです。
本文では、
① 「当事者意識」を忘れてしまったのかもしれない。
② だからこそ震災対策は、地域再生と結びつくような長期的な展望で考える必要がある。
ということが述べられています。
4は、①には触れていますが、②については言及していないですね。
4よりも、3の方が適切な選択肢です。
四


本文の前半では、遠藤周作の言葉から
日本では、病院が教会の代わりの一種の聖域になっている。
ということではないかと述べられています。
本文の後半では、世界の状況から
敵も味方もなく治療するのは、人間だけである。
一方、敵と見做せば、相手に関係なく殺害してもかまわないとするのも人間だけである。
ということを例に
病院では、人間の高潔さ⇔残酷さ、寛容な心⇔頑迷な心が交錯しているように感じられる。
と述べていますね。
4が正解です。
1では、
病院は、どんな人間でも治療してくれる場である。
ということは言及されているのですが、
戦禍の中では、どんな人間でも殺害してもかまわないと考える。
ということには、言及されていません。
1は、間違いです。
本文で述べられているのは
戦禍の中では、どんな人間でも殺害してもかまわないと考える。
ということであり、
× 戦地の病院では、他者を殺害しても構わない。
ということではありません。
2は、間違いです。
人間の高潔さと残酷さとが、寛容な心と頑迷な心とが交錯している。
のは、戦地という広いくくりではなく、戦地にある病院でのことですね。
3は、間違いです。
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過去問解説の一覧


過去問で確認したいこと
特に、
- 敬語
- 文法
の2分野は、「解説を見れば、なんとなくわかるんだけど…」となりやすいのではないかと思います。
過去問を解いたときに、間違えた問題ごとに意識したいのは、
「そもそも知識がなくて解けなかった」
「知ってはいたが、問題になると解けなかった」
のどちらなのかを明確にすることです。
前者であれば、過去問を丁寧に解きながら、1つずつ知識の穴を埋めていきましょう。
- 語彙
- 言葉の意味
- 漢字
のような分野であれば、まとめて暗記していけるのですが、
- 敬語
- 文法
のような分野は、問題の文脈とセットで取り組むのがおススメです。
また、後者であれば、多くの練習問題で知識と問題のギャップをなくしていきましょう。
「わかる→できる」になることで、問題を解くスピードを上げていくことが大切です。
日本語検定は、1級から4級で、
- 語彙・言葉の意味・漢字などの聞かれる範囲が異なる
- 1問1問の難易度が異なる
という違いはあるものの、
- 敬語
- 文法
のような難易度が高い分野で必要な知識に大きな差があるわけではありません。
敬語であれば、
- 尊敬語
- 謙譲語Ⅰ
- 謙譲語Ⅱ
- 丁寧語
- 美化語
の5分類がそれぞれ「どのように定義されているか?」「どのような語が該当するか?」を整理しておきましょう。
その際に、単語を覚えていくのではなく、文章の中で登場人物を確認しながら見ていくのがおススメです。
文法であれば、
- 動詞
- 副詞
- 助詞
などの品詞ごとに、それぞれの語のもつ用法(使い方)を整理しておきましょう。
例えば、
買い物に行くので、8時に駅に集合してください。
には、3つの格助詞「に」がありますが、すべて用法が違います。
買い物に
の格助詞「に」は、「行く」という移動の目的を表しています。
また、
8時に
の格助詞「に」は、時を
駅に
の格助詞「に」は、「集合する」という移動の着点を表していますね。
まとまった参考書・問題集はないので、過去問で出てきた語の用法を1つずつノートなどにまとめていくのがおススメです。
この「日本語検定ナビ」では、分野ごとの練習問題を多数掲載しています。
- 過去問を解いていて、不安が残る分野
- もっと解くスピードを上げたい分野
があれば、ぜひご活用ください。

