令和6(2024)年度 第1回 問2の過去問解説!【日本語検定 2級】

【令和6年度 日本語検定2級】過去問解説

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目次

問2 敬語

前半部分は、いずれの選択肢も問題ありません。

1は、まず

お忘れ物をいたさぬよう

が違います。
「いたす」は、「する」の謙譲語Ⅱであり、乗客の行為に使うのは、不適切です。

また、

ご注意してください

も違います。
「ご注意する」は、「注意する」の謙譲語Ⅰであり、乗客の行為に使うのは、不適切です。

3は、

お忘れ物をなさられぬよう

が違います。

「する」の尊敬語である「なさる」に、尊敬の助動詞「られる」が後続していますね。
二重敬語になっているので、不適切な表現です。

残った2は、何も問題ありません。
これが正解です。

謙譲語Ⅱ(丁重語)とは?

「謙譲語Ⅱ(丁重語)」とは、

自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

敬語の指針
平成19年2月2日
文化審議会答申

のことです。

現地には、私が行きます

現地には、私が参ります

その仕事は、私たちが担当します

その仕事は、私たちが担当いたします

のように、聞き手・読み手に対して丁重に述べるときに用いられます。

敬語における「立てる」とは、「言葉の上で高く位置付けて述べる」ということです。

謙譲語Ⅰとは?

「謙譲語Ⅰ」とは、

自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。

敬語の指針
平成19年2月2日
文化審議会答申

のことです。

先生の予定を聞きたいのですが…

先生の予定を伺いたいのですが…

のように、その行為が向かう先の人物を立てたり、

先生へ手紙を書いた。

先生へお手紙を書いた。

のように、立てるべき人物への名詞についたりします。

敬語における「立てる」とは、「言葉の上で高く位置付けて述べる」ということです。

尊敬語とは?

「尊敬語」とは、

相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。

敬語の指針
平成19年2月2日
文化審議会答申

のことです。

先生が教室に来た

先生が教室にいらっしゃった

のように、その行動をする人を立てたり、

先生の、素敵ですね。

先生のお鞄、素敵ですね。

先生は忙しいようです。

先生はお忙しいようです。

のように、ものごとや状態の持ち主を立てたりします。

敬語における「立てる」とは、「言葉の上で高く位置付けて述べる」ということです。

前半部分は、いずれの選択肢も問題ありません。
「参る」は、「行く」の謙譲語Ⅱであり、上司に対して丁重に述べています。
また、「伺う」は、「行く」の謙譲語Ⅰであり、向かう先である社長を立てています。

2は、

お留守にしていましたので

が不適切です。
尊敬語が使われていないので、

お留守にしていらっしゃったので
お留守にされていたので

などの方が良いですね。

3は、

いらっしゃられなかったので

が不適切です。
「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」に尊敬の助動詞「られる」が後続していますね。
これは、二重敬語です。

残った1が正解です。
ちなみに、

お伺いする

も「行く」の謙譲語Ⅰである「伺う」に、「する」の謙譲語Ⅰである「お~する」が重ねられた二重敬語ですが、これは習慣化していることの例外として認められています。

(2) 「二重敬語」とその適否
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば 「お読みになられる」は , 「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。

【習慣として定着している二重敬語の例】
・ (尊敬語) お召し上がりになる,お見えになる
・ (謙譲語Ⅰ)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる

平成19年2月2日 文化審議会答申
敬語の指針 P30

1は、

ご覧になられたい

が違います。
「見る」の尊敬語である「ご覧になる」に尊敬の助動詞「れる」が後続しており、二重敬語になっています。

2は、

頂戴できますか

が違います。
お客様から予約番号を「教えてもらう」のであり、「ゆずってもらう」わけではないですね。

残った3が正解です。

1は、

いただける

が違います。
「食べる」の謙譲語Ⅰである「いただく」は、来場者の行為に使うのは不適切ですね。

3は、

ご笑味ください

が違います。
「笑味」は、取るに足らないものだとして笑って飲み食いすることなので、来場者の行為に使うのは不適切ですね。

残った2が正解です。

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過去問で確認したいこと

過去問演習では、
「どのような知識が」
「どのように出題されるか」

の2点を確認しましょう。

特に、

  • 敬語
  • 文法

の2分野は、「解説を見れば、なんとなくわかるんだけど…」となりやすいのではないかと思います。

過去問を解いたときに、間違えた問題ごとに意識したいのは、

「そもそも知識がなくて解けなかった」
「知ってはいたが、問題になると解けなかった」

のどちらなのかを明確にすることです。

前者であれば、過去問を丁寧に解きながら、1つずつ知識の穴を埋めていきましょう。

  • 語彙
  • 言葉の意味
  • 漢字

のような分野であれば、まとめて暗記していけるのですが、

  • 敬語
  • 文法

のような分野は、問題の文脈とセットで取り組むのがおススメです。

また、後者であれば、多くの練習問題で知識と問題のギャップをなくしていきましょう。
「わかる→できる」になることで、問題を解くスピードを上げていくことが大切です。

日本語検定は、1級から4級で、

  • 語彙・言葉の意味・漢字などの聞かれる範囲が異なる
  • 1問1問の難易度が異なる

という違いはあるものの、

  • 敬語
  • 文法

のような難易度が高い分野で必要な知識に大きな差があるわけではありません。

敬語であれば、

  • 尊敬語
  • 謙譲語Ⅰ
  • 謙譲語Ⅱ
  • 丁寧語
  • 美化語

の5分類がそれぞれ「どのように定義されているか?」「どのような語が該当するか?」を整理しておきましょう。
その際に、単語を覚えていくのではなく、文章の中で登場人物を確認しながら見ていくのがおススメです。

文法であれば、

  • 動詞
  • 副詞
  • 助詞

などの品詞ごとに、それぞれの語のもつ用法(使い方)を整理しておきましょう。

例えば、

買い物行くので、8時集合してください。

には、3つの格助詞「に」がありますが、すべて用法が違います。

買い物

の格助詞「に」は、「行く」という移動の目的を表しています。

また、

8時に

の格助詞「に」は、

駅に

の格助詞「に」は、「集合する」という移動の着点を表していますね。

まとまった参考書・問題集はないので、過去問で出てきた語の用法を1つずつノートなどにまとめていくのがおススメです。

この「日本語検定ナビ」では、分野ごとの練習問題を多数掲載しています。

  • 過去問を解いていて、不安が残る分野
  • もっと解くスピードを上げたい分野

があれば、ぜひご活用ください。

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