今回は、
✅ 比喩とは?
✅ 直喩・明喩(シミリー)
✅ 隠喩・暗喩(メタファー)
✅ 提喩(シネクドキー)
✅ 換喩(メトニミー)
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
比喩とは?
「比喩」とは、ある物事を説明するのに、ほかの類似した物事を借りて表現することです。
見ろ、人が落ちていっている!
↓
見ろ、人がゴミのようだ!
は、わかりやすい比喩表現ですね。
人が落ちていっている様子をゴミに例えています。
「ようだ」といった表現を使った文以外も見てみましょう。
私は、村上春樹をよく読みます。
では、村上春樹氏そのものを読んでいるわけではなく、村上春樹氏が書いた本のことですね。
これも、比喩の一種です。
また、
お茶でもしていきませんか?
では、緑茶・紅茶だけでなく、コーヒーを飲む場合などでも使われますね。
これも、比喩の一種です。
比喩とは、「ある物事を説明するのに、ほかの類似した物事を借りて表現すること」でした。
どのようにたとえるかによって、直喩(シミリー)・隠喩(メタファー)・提喩(シネクドキー)・換喩(メトニミー)に分類されます。
1つずつ確認してきましょう。
直喩(明喩) simile シミリー
直喩(シミリー)とは?
「直喩(シミリー)」とは、「ような」「みたいな」などを用いて、たとえであることを明らかにしたもののことです。
隠喩(暗喩)とペアにして、明喩と呼ばれることもあります。
直喩(シミリー)の例
宝石のような瞳
隠れ家みたいなお店
などが直喩(シミリー)の例です。
隠喩(暗喩) metaphor メタファー
隠喩(メタファー)とは?
「隠喩(メタファー)」とは、「ような」「みたいな」などを用いずに、ある物事を説明するのに、ほかの類似した物事を借りて表現したもののことです。
直喩(明喩)とペアにして、暗喩と呼ばれることもあります。
隠喩(メタファー)と直喩(シミリー)の違い
【直喩】人生は、ゲームのようだ。
【隠喩】人生は、ゲームだ。
この例文は、どちらも「人生」を「ゲーム」にたとえていますね。
「ようだ」などを用いていれば「直喩」・用いていなければ「暗喩」です。
隠喩(メタファー)の例
【直喩】氷のような刃
【隠喩】氷の刃
【直喩】彼女は、神様みたいだ。
【隠喩】彼女は、神様だ。
などが隠喩(メタファー)の例です。
提喩 synecdoche シネクドキー
提喩(シネクドキー)とは?
提喩(シネクドキー)とは、上位概念で下位概念を・下位概念で上位概念を表すもののことです。
明日は、花見の予定だ。
の例文で見に行くのは、チューリップや菜の花ではなく、桜ですね。
上位概念である「花」という語で、下位概念の1つである「桜」を表現しています。
お茶でもしていきませんか?
飲むのは、緑茶や紅茶といった「お茶」に限らず、「飲み物」全般ですね。
下位概念の1つである「お茶」という語で、上位概念の「飲み物」を表現しています。
提喩(シネクドキー)の例
指輪の石は、何にしようか?
↓
上位概念である「石」という語で、下位概念の1つである「宝石」を表現
人はパンのみにて生くるにあらず
↓
下位概念の1つである「パン」という語で、上位概念である「食べ物」「物質的充足」を表現
などが提喩(シネクドキー)の例です。
換喩 metonymy メトニミー
換喩(メトニミー)とは?
換喩(メトニミー)とは、何かを表現するときに、その事柄と隣接関係にある(つながっている)ものに置き換えることです。
私は、村上春樹をよく読みます。
よく読むのは、「村上春樹氏そのもの」ではなく、「村上春樹氏が書いた本」ですね。
著書のことを表現するときに、隣接する著者を使って表現しています。
換喩(メトニミー)を使わなかった場合は、
私は、村上春樹氏が書いた本をよく読みます。
です。
やかんが沸いた。
沸いているのは、「やかんそのもの」ではなく、「やかんの中にある水」ですね。
中身のことを表現するときに、隣接した容器を使って表現しています。
換喩(メトニミー)を使わなかった場合は、
やかんの中にある水が沸いた。
です。
「村上春樹が書いた本」「やかんの中にある水」よりも「村上春樹」「やかん」の方が、個々の細かな表現を避けることができて、省エネですね。
このように、メトニミーを用いる動機は、経済性を重視するためだと考えることもできます。
換喩(メトニミー)の例
ホワイトハウスが「●●●」と発表した。
↓
「アメリカ政府・大統領」を隣接した「大統領官邸」を使って表現
ゴッホを観に行く。
↓
「ゴッホが描いた絵」を隣接した「作者名」を使って表現
などが換喩(メトニミー)の例です。
比喩の練習問題
次の例文で使われているのは、
① 直喩(シミリー)
② 隠喩(メタファー)
③ 提喩(シネクドキー)
④ 換喩(メトニミー)
のどれでしょうか?
問題1
彼は、曇った表情をしていた。
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↓
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彼は、曇った表情をしていた。
で使われているのは、隠喩(メタファー)です。
ある物事を説明するのに、「ような」「みたい」などを用いずに、ほかの類似した物事を借りて表現しています。
問題2
滝のような雨だった。
↓
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↓
↓
↓
↓
滝のような雨だった。
で使われているのは、直喩(シミリー)です。
ある物事を説明するのに、「ような」「みたい」などを用いて、たとえであることを明らかにしています。
問題3
洗濯機を回してから、買い物に出かけた。
↓
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↓
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↓
洗濯機を回してから、買い物に出かけた。
で使われているのは、換喩(メトニミー)です。
回したのは、「洗濯機そのもの」ではなく、「洗濯機の中にある洗濯槽」ですね。
機械の一部のことを表現するときに、隣接した機械自体を使って表現しています。
問題4
今日のご飯は、何?
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↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
今日のご飯は、何?
で使われているのは、提喩(シネクドキー)です。
米飯を表す下位概念の「ご飯」を使って、上位概念である「食事」を表現しています。
最後に
今回は、
✅ 比喩とは?
✅ 直喩・明喩(シミリー)
✅ 隠喩・暗喩(メタファー)
✅ 提喩(シネクドキー)
✅ 換喩(メトニミー)
について解説してきました。
例文に触れて、慣れていくようにしましょう。
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