「らしい」の用法・「のだろう」「ようだ」「そうだ」とはどう違うの？【例文で学ぶ 日本語文法】

「らしい」の意味・使い方

「らしい」は、未知の事柄を推定する

「らしい」は、観察されたことを証拠として、未知の事柄を推定していることを表します。

メールが返ってこないので、佐藤さんは出社していないらしい。

では、「メールが返ってこない」ということを証拠として、「佐藤さんが出社していないこと」を推定しています。
この場合は、「佐藤さんが出社していないこと」が原因・理由となり、「メールが返ってこない」という事態が起こっていると考えていますね。

このように、推定される事柄が観察された事柄の原因・理由になる場合のほか、

噂によれば、田中さんが昇進するらしい。

のように、他者から得た情報を証拠として、未知の事柄を推定する場合にも、「らしい」が用いられます。
これは、いわゆる「伝聞」の用法です。

「らしい」の接続

「らしい」は、
● 動詞の非過去形・過去形
● イ形容詞の非過去形・過去形
● ナ形容詞の語幹・過去形
● 名詞 + 「だった」
に接続します。

【動詞】
どうやらAさんが到着したらしい。

【イ形容詞】
先生は、今週忙しいらしい。

【ナ形容詞】
この辺りは、いつも静からしい。

【名詞】
昨日、大阪は雪だったらしい。

「らしい」と一緒に使われる表現

推定の「らしい」と一緒に使われる表現

推定の「らしい」は、「どうやら」「どうも」と共起します。

熱が上がってきた。
どうやら、風邪を引いたらしい。

熱が上がってきた。
どうも、風邪を引いたらしい。

伝聞の「らしい」と一緒に使われる表現

伝聞の「らしい」は、「なんでも」「聞けば」「聞くところによると」「～によると」「～によれば」「～の話では」などと共起します。

なんでも、明日は雪が降るらしい。
聞けば、明日は雪が降るらしい。
聞くところによると、明日は雪が降るらしい。
ニュースによると、明日は雪が降るらしい。
ニュースによれば、明日は雪が降るらしい。
気象予報士の話では、明日は雪が降るらしい。

「らしい」の類似表現

推定の「らしい」の類似表現

推定の「らしい」の類似表現は、「ようだ」・「のだろう」です。

スマートフォンの電源が入らない。
どうやら、壊れてしまったらしい。

スマートフォンの電源が入らない。
どうやら、壊れてしまったようだ。

スマートフォンの電源が入らない。
どうやら、壊れてしまったのだろう。

のように、「らしい ⇔ ようだ ⇔ のだろう」を置き換えても不自然ではないですね。

伝聞の「らしい」の類似表現

伝聞の「らしい」の類似表現は、「ようだ」・「そうだ」です。

噂によると、Aさんが警察に捕まったらしい。
噂によると、Aさんが警察に捕まったようだ。
噂によると、Aさんが警察に捕まったそうだ。

のように、「らしい ⇔ ようだ」を置き換えることができますが、「ようだ」を用いると、単なる伝聞ではなく、入試した情報を話し手がどのように捉えたかということを述べているニュアンスが強くなります。

参考書籍

今回は、
✅ 「らしい」の意味・使い方
✅ 「らしい」の類似表現
について、解説してきました。

を主に参考にしています。

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