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日本語教員試験は、独学でも合格可能!ただし…
統計データが公表されているわけではないのですが、この「日本語教育ナビ」を通じて知り合った受験生の方には、独学で日本語教員試験に合格した方も多数いらっしゃいます。
ただし、
センスだけで合格しました!
という方は、1人もいません。
独学で合格するには、養成講座などに通っている方の時間・お金をカバーするだけの工夫が必要です。
どのようなテキストを使って、何を学んでいけばよいかについては、後述する内容を参考にしていってください。
また、
独学で日本語教員試験に合格しました!
という投稿があっても、
- 過去に、日本語教育能力検定試験に合格している
- 過去に、養成講座に通っていたことがある
- 過去に、教壇に立っていたことがある
などの背景があったり、基礎試験免除の応用試験だけだったりすることもあります。
必ずしもゼロベースから独学合格した人ばかりではないので、注意しましょう。
そもそも、日本語教員試験とは?
日本語教員試験は、国家資格「登録日本語教員」を取得するために必要な試験
新制度のポイントは、次の3点です。
① 【認定日本語教育機関】日本語教育機関の認定制度の創設
「留学」「就労」「生活」の3分野の日本語教育を実施している機関は、文部科学省による認定を受けられるようになります。
認定を受けることで、一定の質が担保されたものとして、文部科学省の情報サイトにおいて多言語で情報発信され、文部科学大臣が定める表示を広告等に付すことができるようになります。
※ 認定を受けることができるのは「留学」に関わる機関だけではないので、注意しましょう。
② 【登録日本語教員】認定日本語教育機関の教員の資格の創設
「日本語教員試験」に合格し、文部科学大臣の登録を受けた「登録実践研修機関」が実施する「実践研修」の修了者は、「登録日本語教員」として、文部科学大臣の登録を受けることができます。
※ 「認定日本語教育機関」で日本語を教えるには、「登録日本語教員」の資格取得が必要です。
③ 在留資格「留学」による留学生の受け入れができるのが【法務省告示機関】から【認定日本語教育機関】へ変更
①②に関わる「日本語教育機関認定法(日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律)」の施行と合わせて、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)」が改正されます。
これにより、在留資格「留学」による留学生の受け入れができるのが「法務省告示機関」から「認定日本語教育機関」へと変わり、管轄も法務省から文部科学省に変更です。
※ 「法務省告示機関」は認定を受けないと、経過措置の期間以降、これまで通りの留学生の受け入れができなくなります。

登録日本語教員の資格取得に係る経過措置(案)
が現職者のための経過措置を受けずに「登録日本語教員」の資格取得を目指す場合の基本ルートです。
「基礎試験」「応用試験」の部分が日本語教員試験に当たります。
基礎試験は、
1.2. 基礎試験の出題内容
令和6年度日本語教員試験の出題内容及びサンプル問題
基礎試験では、日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能を区分ごとに出題する。
応用試験は、
1.3. 応用試験の出題内容
令和6年度日本語教員試験の出題内容及びサンプル問題
応用試験では、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定するため、教育実践と関連させて出題することとする。
応用試験の一部は聴解問題とし、日本語学習者の発話や教室での教師とのやりとりなどの音声を用いて、より実際の教育実践に即した問題を出題し、問題解決能力や現場対応能力等を測定する。
となっており、黄色の養成機関ルートでは、養成課程内で該当内容を実施することから「基礎試験」が免除されていることがわかりますね。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
こちらも合わせてご確認ください。

日本語教員試験の合格基準
■合格基準
○基礎試験
必須の教育内容で定められた 5 区分において、各区分で 6 割程度の得点があり、かつ総合得点で 8 割程度
の得点があること。
○応用試験
総合得点で 6 割程度の得点があること。
令和6年度日本語教員試験実施要項 (PDF:249KB)
基礎試験にある5区分とは、
- 社会・文化・地域
- 言語と社会
- 言語と心理
- 言語と教育
- 言語
の5つのことです。
各区分で6割という下限が設定されているので、「文法で満点を取って、逃げ切る!」という戦略が取れないということですね。
日本語教員試験に独学合格するための勉強法・テキスト
- 試験の全体像を掴んでから、学習に入る。
- 体系的に学びにくい文法分野を早めに攻略する。
- 足りない演習量を意識的にカバーしていく。
1つずつ解説していきます。
① 全体像を掴む
養成講座であれば、カリキュラムを確認することで
- 全体量がどれくらいあるのか?
- 今、どれくらい進んでいるのか?
- 大変そうな部分は、どこか?
を把握することができます。
独学の場合は、テキストの選定・準備から自身で進めなければならないため、それが難しいですよね。
出題範囲を見てもイメージが湧きにくいので、以下の2冊のいずれかを使って、まずは全体像を確認するようにしましょう。
このステップで重要なのは、時間をかけ過ぎないことです。
各用語は、本番レベルの問題の文脈の中で確認することが大切なので、
2~3か月かけてテキストを一周した
という事態にならないようにしましょう。
ザっと見で構わないので、最初の段階では
- 社会・文化・地域
- 言語と社会
- 言語と心理
- 言語と教育
- 言語
の各区分を
1日で1つずつクリアしていく
くらいのペースで次に進めていけると良いですね。
使用するテキストは、荒川先生の著書が要点がまとまっていておススメなのですが、新版の赤本を使う受験生も多いのではないかと思います。
また、全体像の確認は、途中でも行うようにすることが大切です。
独学の場合は、ペース配分が難しいので、
今、●●%まで終わっている
を都度確認するようにしましょう。
② 文法を攻略する
体系的に学ぶのであれば、『現代日本語文法』のシリーズがおススメです。
いきなり全巻揃えるのは金銭的に…ということであれば、
- 出題頻度が高い
- ほかの文法項目と絡んだ問題を作りやすい
この2冊から始めてみましょう。
軽く全体観を掴むのであれば、我が母校で教鞭を取られていた原沢先生のテキストも良いですよ。
日本語教師になってからだと、この2冊も使いやすいのですが、体系的に学ぶ場合は『現代日本語文法』のシリーズに軍配が上がると思います。
③ 演習量を確保する
最終ゴールは、
日本語教員試験の実際の問題が解けるようになること
ですが、日本語教員試験は過去問が公開されていないため、直接的な対策が取れません。
そのために有効なのが、同じ「必須の50項目」が出題範囲である日本語教育能力検定試験の過去問演習です。
市販の問題集よりも問題の質が良いので、ここで知識を実力に変えるトレーニングをしていきましょう。
何年分に取り組めばよいのか…?
については、令和元年度まで遡ることをおススメします。
ほかの年度にも通じる問題が多いので、早い段階で取り組んでおくと、スムーズに演習が進みやすいですよ。
注意するのは、インターネット上にあるよくわからない練習問題に取り組んでしまうことです。
研究されておらず、間違いが修正されないものが多いので、誤った知識を入れないためにも手を出さないようにしましょう。
独学だと、誰も誤りを指摘してくれないので、なおさらです。
日本語教育能力検定試験の過去問をやり切ったあとは、日本語教員試験特有の出題形式になれるために、以下の2冊に取り組んでみてください。
- 聴解は、「くろしお出版」
- 読解は、「コスモピア」
のものがおススメです。
ここで気をつけなければならないのは、これらはあくまで
◎ 出題形式に慣れるためのもの
であることです。
解説はどちらも丁寧でわかりやすいのですが、
× ゼロべ―スから知識を体系的に学ぶためのもの
ではないので、注意しましょう。
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