
令和7年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題3D
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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(16)
解説 ヴォイス
についての文法カテゴリーです。
イメージがつきにくいと思うので、例文で見ていきましょう。
Aさんが 走った。
この文は、動詞「走る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
| 事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん |
| どのような形態の動詞とともに | 走った |
| どのような格によって表現されるか? | Aさんが |
ですね。
動詞「走る」は、動作の主体(Aさん)が最低限必要であり、その主体はガ格(Aさんが)で表されます。
ほかの例文でも、確認してみましょう。
Aさんが Bさんを 殴った。
この文は、動詞「殴る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
| 事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん Bさん |
| どのような形態の動詞とともに | 殴った |
| どのような格によって表現されるか? | Aさんが Bさんを |
ですね。
動詞「殴る」は、動作の主体(Aさん)と対象(Bさん)が最低限必要であり、主体がガ格(Aさんが)・対象がヲ格(Bさんを)で表されます。
それでは、次の例文ではどうでしょうか?
Aさんが Bさんに 時計を 贈った。
この文は、動詞「贈る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
| 事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん Bさん 時計 |
| どのような形態の動詞とともに | 贈った |
| どのような格によって表現されるか? | Aさんが Bさんに 時計を |
動詞「贈る」は、動作の主体(Aさん)・受け取り手(Bさん)・対象(時計)が最低限必要であり、主体がガ格(Aさんが)・受け取り手が二格(Bさんに)・対象がヲ格(時計を)で表されます。
このように、事態をどのように表現するかは、それぞれの動詞ごとに「文型」という形で指定されています。
- 走る → [が] 文型
- 殴る → [が・を] 文型
- 贈る → [が・に・を] 文型
そのため、ヴォイスを学ぶためには、
- 格(格助詞の用法)
- 文型
の2つの知識が必要です。
それぞれについて、以下で解説しています。
不安がある方は、これらも合わせてご確認ください。




その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
私が夕飯の献立を考える。
私が弟に夕飯の献立を考えさせる。
考える:~が~を
考えさせる:~が~に~を
のように、格関係が変わりますね。
1は、ヴォイスの対立関係があります。
私は(が)唐揚げが好きだ。
私は(が)唐揚げが好きなんだ。
好きだ:~が~が
好きなんだ:~が~が
のように、格関係は変わらないですね。
2は、ヴォイスの対立関係がありません。
私が夕飯を作る。
私が夕飯を作っておく。
作る:~が~を
作っておく:~が~を
のように、格関係は変わらないですね。
3は、ヴォイスの対立関係がありません。
電車が止まる。
電車が止まるかもしれない。
止まる:~が
止まるかもしれない:~が
のように、格関係は変わらないですね。
4は、ヴォイスの対立関係がありません。
ヴォイスについては、以下の記事でくわしく解説しています。
こちらも、あわせてご確認ください。


(17)
その答えになる理由


【受身文】学生が先生から新入生を紹介された。
の能動文は、
【能動文】先生が学生に新入生を紹介した。
ですね。
能動文における「学生に」のニ格名詞が受身文の主語になっています。
4が正解です。
(18)
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
【受身文】賞状が理事長から優秀者に渡された。
【能動文】理事長が症状を優秀者に渡した。
のように、能動文の主語「理事長が」は、カラ格名詞「理事長から」となって受身文に現れています。
1は、例として適当ではありません。
【受身文】職場のパソコンがウイルスに侵された。
【能動文】ウイルスが職場のパソコンを侵した。
のように、能動文の主語「ウイルスが」は、ニ格名詞「ウイルスに」となって受身文に現れています。
2は、例として適当ではありません。
【受身文】競技場が急ピッチで建設されている。
【能動文】(業者が)競技場を急ピッチで建設している。
のように、能動文の主語「業者が など」は、受身文では現れていません。
3は、例として適当です。
【受身文】山の頂が真っ白な雪で覆われている。
【能動文】真っ白な雪が山の頂を覆っている。
のように、能動文の主語「雪が」は、デ格名詞「雪で」となって受身文に現れています。
4は、例として適当ではありません。
(19)
解説 持ち主の受身文
【能動文】
AさんがBさんの肩を叩いた。
であれば、動詞「叩く」の働きかけの対象となった「肩」は、Bさんのものですね。
持ち主である「Bさん」を主語にした
【持ち主の受身文】
Bさんは、Aさんに肩を叩かれた。
が持ち主の受身文です。
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
【受身文】小学校の隣に図書館が建てられた。
【能動文】(●●市が)小学校の隣に図書館を建てた。
1は、持ち主の受身文ではありません。
【受身文】(私は)急に友達に肩をたたかれた。
【能動文】友達が急に私の肩をたたいた。
2は、持ち主の受身文です。
【受身文】社長は社員から慕われていた。
【能動文】社員は社長を慕っていた。
3は、持ち主の受身文ではありません。
【受身文】昨日弟が先生に褒められていた。
【能動文】昨日先生が弟を褒めていた。
4は、持ち主の受身文ではありません。
(20)
解説 間接受身文
【能動文】
雨が降った。
であれば、「雨が降る」という事態と関連づいた人・物を補完した
【間接受身文】
私は雨に降られた。
が間接受身文です。
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
【能動文】雨が降った。
【間接受身文】私は雨に降られた。
のように、能動文の主語に現れた名詞は、間接受身文ではニ格で表されています。
1は、間違いです。
【能動文】雨が降った。
【間接受身文】私は雨に降られた。
では、間接受身文の主語「私は」は、直接「雨が降る」という事態に関わっているわけではないですね。
2が正解です。
【能動文】父がマンガを捨てた。
【能動文】私は父にマンガを捨てられた。
では、能動文・間接受身文の両方で人物が主語になっています。
3は、間違いです。
【能動文】父がマンガを捨てた。
【能動文】私は父にマンガを捨てられた。
では、能動文の行為が間接受身文の主語「私は」にとって迷惑な内容になっています。
4は、間違いです。
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