今回は、
✅ 文型とは?
✅ 動詞の文型
✅ イ形容詞・ナ形容詞の文型
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
文型とは?
子どもが 大声で 泣いた。
この文の述語は、「泣いた」ですね。
述語以外の要素は、
- 子どもが
- 大声で
の2つで、どちらも「名詞+格助詞」です。
「子どもが」で使われている格助詞「が」は、述語「泣いた」の主体にあたります。
誰が泣いたのかを表していますね。
「大声で」で使われている格助詞「で」は、述語「泣いた」の様態にあたります。
どのように泣いたのかを表していますね。
このように、格助詞「が・を・に・へ・と・から・より・で・まで」を使って名詞と述語の間に成り立つ意味関係を表す文法的手段を「格」と言います。
- 格助詞「が」 ⇔ ガ格
- 格助詞「を」 ⇔ ヲ格
- 格助詞「に」 ⇔ ニ格
- 格助詞「へ」 ⇔ へ格
- 格助詞「と」 ⇔ ト格
- 格助詞「から」 ⇔ カラ格
- 格助詞「より」 ⇔ ヨリ格
- 格助詞「で」 ⇔ デ格
- 格助詞「まで」 ⇔ マデ格
と呼び、それぞれが付いた名詞が「ガ格名詞・ヲ格名詞…」です。
文型を理解する上で知っておかなければならない知識なので、不安がある方は以下の記事を参照してみてください。
子どもが 大声で 泣いた。
この文の述語は「泣いた」で、それ以外の要素が「子どもが」「大声で」の2つです。
述語「泣いた」から見たときに、
○ 子どもが泣いた。
は問題ないのですが、
× 大声で泣いた。
だと、「え?誰が泣いたの?」となりますね。
述語「泣いた」にとって、格助詞「が」によって表される主体は、結びつきが強く、文を作る上で必須です。
一方、格助詞「で」によって表される様態は、内容が詳しくわかるようになるものの、文を作る上で必須の要素ではありません。
「必須となる格は何か?」は、述語によって異なります。
Aさんが Bさんに 直接 手紙を 送った。
であれば、述語「送った」にとって必須となるのは、
- ガ格(Aさんが)
- ニ格(Bさんに)
- ヲ格(手紙を)
の3つです。
一方、
昨晩から 急に 吹雪いてきた。
であれば、述語「吹雪いてきた」にとって、必須となる要素はありません。
このように、述語にとって必須となる名詞が取る格の組み合わせを「文型」と言います。
- 動詞「なく」は、「が」文型
- 動詞「送る」は、「が・に・を」文型
- 動詞「吹雪く」は、「∅」文型
です。
(「∅」は、ゼロを表しています。)
どのような文型になるかは、述語によって決まります。
日本語で述語に来るのは、
- 動詞
- 形容詞(イ形容詞・ナ形容詞)
- 名詞
の3つですね。
名詞が述語にくる名詞文は、
私が佐藤です。
彼が真犯人だ。
のように、「が」文型に限られているので、今回は
- 動詞文
- 形容詞文(イ形容詞文・ナ形容詞文)
について、解説していきます。
○項動詞・○項形容詞とは?
必要とする名詞の数によって、動詞・形容詞を分類できる
Aさんが 歩いている。
の述語で使われているのは、動詞「歩く」です。
動詞「歩く」に必要な名詞は、主体のガ格名詞だけですね。
「歩く」は、必要とする名詞が1つである1項動詞です。
Aさんが Bさんと 親しい。
の述語で使われているのは、イ形容詞「親しい」です。
イ形容詞「親しい」に必要な名詞は、主体のガ格名詞・相手のト格名詞ですね。
「親しい」は、必要とする名詞が2つである2項形容詞です。
動詞は、必要とする名詞の数によって
- 0項動詞
- 1項動詞
- 2項動詞
- 3項動詞
- 4項動詞
形容詞(イ形容詞・ナ形容詞)は、必要とする名詞の数によって
- 1項形容詞
- 2項形容詞
に分類することができます。
動詞の文型 0項動詞
0項動詞とは?
必要とする名詞がないので、文型は1つだけしかありません。
「∅」文型
先週くらいから 急に 春めいてきた。
この文の述語で使われているのは、動詞「春めく」ですね。
名詞は「先週(くらい)」だけですが、これはなくても文章が成り立ちます。
「春めく」であれば、その1語だけで「気候が」という主体がわかりますね。
このように、自然現象の発生や持続を表す動詞には、必須となる名詞が1つもないものがあります。
必要とする名詞が0個なので、0項動詞です。
自然現象の発生や持続を表す動詞には、
吹雪く
時雨れる
停電する
などがあります。
動詞の文型 1項動詞
1項動詞とは?
必要とする名詞は、主体を表すガ格名詞のみのため、文型も1つしかありません。
「が」文型
おばあさんが ゆっくりと 歩いている。
この文の述語で使われているのは、動詞「歩く」ですね。
ほかの要素として「ゆっくりと」もありますが、これはなくても文が成り立ちます。
1項動詞の文型において、ガ格名詞は主体を表しています。
おばあさんが ゆっくりと 歩いている。
であれば、「歩く」という動作の主体
いつのまにか 夜が 明けた。
であれば、「明ける」という変化の主体
横断幕が 曲がっている。
であれば、「曲がる」という状態の主体をガ格名詞で表していることがわかりますね。
動作の主体としてガ格名詞をとる1項動詞には、
歩く
走る
泳ぐ
泣く
笑う
変化の主体としてガ格名詞をとる1項動詞には、
明ける
暮れる
壊れる
割れる
開く(あく)
閉まる
状態の主体としてガ格名詞をとる1項動詞には、
曲っている
優れている
劣っている
などがあります。
動詞の文型 2項動詞
2項動詞とは?
必要とする名詞がとる格によって、
- 「が・を」文型
- 「が・に」文型
- 「が・から」文型
- 「に・が」文型
に分類することができます。
「が・を」文型
Aさんが 雑誌を 読んでいる。
この文の述語で使われているのは、動詞「読む」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「読む」の主体
- ヲ格名詞(雑誌を)は、動詞「読む」の対象
を表しており、どちらも動詞「読む」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・ヲ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが 雑誌を 読んでいる。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、働きかける主体
- ヲ格名詞(雑誌を)は、変化しない働きかけられる対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
聞く
食べる
たたく
ノックする
などです。
Aさんが 表紙を 破いた。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、働きかける主体
- ヲ格名詞(表紙を)は、変化する働きかけられる対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
壊す
倒す
割る
冷やす
温める
などです。
Aさんが ついに 事件を 起こした。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、働きかける主体
- ヲ格名詞(事件を)は、働きかけによって出現する対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
建てる
掘る
選ぶ
作成する
などです。
物的証拠が Aさんが犯人であることを 示している。
であれば、
- ガ格名詞(物的証拠が)は、関係の主体
- ヲ格名詞(Aさんが犯人であることを)は、結びつけられる対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
表す
意味する
指す
などです。
Aさんが Bさんのことを 思い出した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、心的活動や態度の主体
- ヲ格名詞(Bさんのことを)は、心的活動や態度の対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
覚える
好む
嫌う
尊敬する
軽蔑する
励ます
などです。
Aさんが 真相を 話した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、言語活動や知覚の主体
- ヲ格名詞(真相を)は、言語活動や知覚の対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
聞く
見る
などです。
Aさんが 現場を 訪れた。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、移動の主体
- ヲ格名詞(現場を)は、移動の目標としての対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
狙う
などです。
Aさんが 現場で 夜を 過ごした。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、経過の主体
- ヲ格名詞(夜を)は、経過する時間や空間
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
通る
(道を)歩く
(道を)走る
(空を)飛ぶ
(日々を)送る
などです。
「が・に」文型
Aさんが 観衆に 呼びかけた。
この文の述語で使われているのは、動詞「呼びかける」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「呼びかける」の主体
- ニ格名詞(観衆に)は、動詞「呼びかける」の対象
を表しており、どちらも動詞「呼びかける」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・ニ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが 観衆に 呼びかけた。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- 二格名詞(観衆に)は、方向性をもつ対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
話しかける
からむ
(試験に)落ちる
などです。
募金額が 10万円に 達した。
であれば、
- ガ格名詞(募金額が)は、移動の主体
- 二格名詞(10万円に)は、移動の着点
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
達する
入る
(地面に)落ちる
などです。
時刻が 8時に なった。
であれば、
- ガ格名詞(時刻が)は、変化の主体
- 二格名詞(8時に)は、変化の結果
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
変わる
戻る
などです。
彼が 一連の事件に 関係していた。
であれば、
- ガ格名詞(彼が)は、関係の主体
- 二格名詞(一連の事件に)は、基準としての相手
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
値する
一致する
匹敵する
勝る
などです。
「が・と」文型
Aさんが Bさんと 結婚した。
この文の述語で使われているのは、動詞「結婚する」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「結婚する」の主体
- ニ格名詞(Bさんと)は、動詞「結婚する」の相手
を表しており、どちらも動詞「結婚する」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・ト格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが Bさんと 結婚した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- ト格名詞(Bさんと)は、その動作にとって必須の相手
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
けんかする
交際する
つきあう
別れる
などです。
雪が 水と なった。
であれば、
- ガ格名詞(雪が)は、変化の主体
- ト格名詞(水と)は、変化の結果
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
変わる
などです。
Aさんの髪型が いつもと 違う。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんの髪型が)は、関係の主体
- ト格名詞(いつもと)は、基準としての相手
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
異なる
などです。
「が・に」文型 「が・と」文型で両用の動詞
2項動詞「別れる」は、
○ Aさんが Bさんと 別れた。
のように、「が・と」文型で用いることはできますが、
× Aさんが Bさんに 別れた。
のように、「が・に」文型で用いることはできません。
一方、2項動詞「会う」は、
○ Aさんが Bさんと 会う。
のように、「が・と」文型で用いることも
○ Aさんが Bさんに 会う。
のように、「が・に」文型としても用いることもできます。
このように、「が・と」文型をとる2項動詞には、
- 「が・と」文型しかとれないもの
- 「が・に」文型もとることができるもの
の2種類があり、「が・と」「が・に」のどちらの文型もとることができる2項動詞には、
会う
なる
などがあります。
「が・から」文型
Aさんが 部屋から 出てきた。
この文の述語で使われているのは、動詞「出てくる」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「出てくる」の主体
- カラ格名詞(部屋から)は、動詞「出てくる」の起点
を表しており、どちらも動詞「出てくる」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・カラ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが部屋から出てきた。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、移動の主体
- カラ格名詞(部屋から)は、移動の起点
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
出る
取れる
外れる
などです。
プロジェクトチームが 有志から 出来上がった。
であれば、
- ガ格名詞(プロジェクトチームが)は、構成の主体
- カラ格名詞(有志から)は、主体を成り立たせている成分
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
できる
なる
などです。
「に・が」文型
教室に Aさんが いる。
この文の述語で使われているのは、動詞「いる」ですね。
- ニ格名詞(教室に)は、動詞「いる」の場所
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「いる」の主体
を表しており、どちらも動詞「いる」にとって必須の要素です。
ニ格名詞・ガ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
教室に Aさんが いる。
であれば、
- 二格名詞(教室に)は、存在の場所
- ガ格名詞(Aさんが)は、存在の主体
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
ある
存在する
溜まる
などです。
あなたに この問題が 解けるだろうか?
であれば、
- 二格名詞(あなたに)は、能力や知覚の主体
- ガ格名詞(この問題が)は、能力や知覚の対象
を表しています。
同様の文型をとる2項動詞は、
できる
見える
聞こえる
わかる
などです。
動詞の文型 3項動詞
3項動詞とは?
必要とする名詞がとる格によって、
- 「が・に・を」文型
- 「が・を・に」文型
- 「が・から・を」文型
に分類することができます。
「が・に・を」文型
Aさんが Bさんに 手紙を 送った。
この文の述語で使われているのは、動詞「送る」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「送る」の主体
- ニ格名詞(Bさんに)は、動詞「送る」の着点
- ヲ格名詞(手紙を)は、動詞「送る」の対象
を表しており、いずれも動詞「送る」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・ニ格名詞・ヲ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが Bさんに 手紙を 送った。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- 二格名詞(Bさんに)は、移動の着点
- ヲ格名詞(手紙を)は、移動する対象
を表しています。
同様の文型をとる3項動詞は、
移す
やる
あげる
くれる
渡す
などです。
Aさんが Bさんに メールアドレスを 聞いた。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- 二格名詞(Bさんに)は、移動の起点
- ヲ格名詞(メールアドレスを)は、移動する対象
を表しています。
同様の文型をとる3項動詞は、
教わる
もらう
などです。
Aさんが 教科書に 付箋を 貼った。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- 二格名詞(教科書に)は、対象
- ヲ格名詞(付箋を)は、対象が移動して接触する場所
を表しています。
同様の文型をとる3項動詞は、
あてる
かける
据える
取りつける
塗る
飾る
などです。
「が・を・に」文型
部長が Aさんを 主任に した。
この文の述語で使われているのは、動詞「する」ですね。
- ガ格名詞(部長が)は、動詞「する」の主体
- ヲ格名詞(Aさんを)は、動詞「する」の対象
- ニ格名詞(主任に)は、動詞「する」の変化の結果
を表しており、いずれも動詞「する」にとって必須の要素です。
同様の文型をとる3項動詞は、
変える
直す
戻す
リサイクルする
などです。
「が・から・を」文型
Aさんが カバンから 煙草を 取り出した。
この文の述語で使われているのは、動詞「取り出す」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「取り出す」の主体
- カラ格名詞(カバンから)は、動詞「取り出す」の起点
- ヲ格名詞(煙草を)は、動詞「取り出す」の対象
を表しており、いずれも動詞「取り出す」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・カラ格名詞・ヲ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが カバンから 煙草を 取り出した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- カラ格名詞(カバンから)は、移動の起点
- ヲ格名詞(煙草を)は、移動する対象
を表しています。
同様の文型をとる3項動詞は、
出す
外す
話す
遠ざける
そらす
などです。
審査員が 応募作品から 最優秀賞を 選んだ。
であれば、
- ガ格名詞(審査員が)は、動作の主体
- カラ格名詞(応募作品から)は、出現の起点
- ヲ格名詞(最優秀賞を)は、働きかけによって出現する対象
を表しています。
同様の文型をとる3項動詞は、
生む
作る
選出する
などです。
動詞の文型 4項動詞
4項動詞とは?
4項動詞は数が多くなく、該当する文型も1つだけしかありません。
「が・を・から・に」文型
Aさんが 荷物を 入り口から 教室に 移した。
この文の述語で使われているのは、動詞「移す」ですね。
- ガ格名詞(Aさんが)は、動詞「移す」の主体
- ヲ格名詞(荷物を)は、動詞「移す」の対象
- カラ格名詞(入口から)は、動詞「移す」の起点
- 二格名詞(教室に)は、動詞「移す」の着点
を表しており、いずれも動詞「移す」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・カラ格名詞・ヲ格名詞・ニ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
Aさんが 荷物を 入り口から 教室に 移した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- ヲ格名詞(荷物を)は、対象
- カラ格名詞(入口から)は、移動の起点
- 二格名詞(教室に)は、移動の着点
を表しています。
同様の文型をとる4項動詞は、
上げる
下げる
動かす
運ぶ
などです。
Aさんが 論文を 英語から 日本語に 翻訳した。
であれば、
- ガ格名詞(Aさんが)は、動作の主体
- ヲ格名詞(論文を)は、変化する対象
- カラ格名詞(英語から)は、変化する前の状態
- 二格名詞(日本語に)は、変化の結果
を表しています。
同様の文型をとる4項動詞は、
直す
訂正する
あらためる
などです。
形容詞の文型 1項形容詞
1項形容詞とは?
必要とする名詞は、主体を表すガ格名詞のみのため、文型も1つしかありません。
「が」文型
部屋の中が とても 寒い。
この文の述語は、イ形容詞「寒い」ですね。
ほかの要素として「とても」もありますが、これはなくても文が成り立ちます。
ガ格名詞(部屋の中が)は、「寒い」という状態の主体ですね。
形容詞(イ形容詞・ナ形容詞)が述語になる文の主体は、「が」よりも「は」で表されることが多いです。
部屋の中が とても 寒い。
部屋の中は とても 寒い。
は、どちらも「が」文型として取り扱います。
また、イ形容詞・ナ形容詞は、形態が違うだけで、文の中での役割は同じです。
そのため、
教科書が 新しい。
教科書が 必要だ。
のように、同じ文型をとることができます。
形容詞の多くが、この「が」文型です。
ただし、
(私は)うれしい。
のように、感情の持ち主としての主体は省略されることが多く、文中にない場合があるので注意しましょう。
形容詞の文型 2項形容詞
2項形容詞とは?
必要とする名詞がとる格によって、
- 「が・が」文型
- 「が・に」文型
に分類することができます。
「が・が」文型
Aさんが 日本料理が 好きなことを 知っている。
この文の述語で使われているのは、動詞「知る」・ナ形容詞「好きだ」ですね。
ナ形容詞「好きだ」を中心に見てみると、
- ガ格名詞(Aさんが)は、ナ形容詞「好きだ」の心的状態の主体
- ガ格名詞(日本料理を)は、ナ形容詞「好きだ」の対象
を表しており、どちらもナ形容詞「好きだ」にとって必須の要素です。
同様の文型をとる2項形容詞には、
うれしい
楽しい
大好きだ
好きだ
嫌いだ
得意だ
苦手だ
などがあります。
「が・に」文型
先生が Aさんに 甘いことが 不満だ。
この文の述語で使われているのは、イ形容詞「甘い」・ナ形容詞「不満だ」ですね。
イ形容詞「甘い」を中心に見てみると、
- ガ格名詞(先生が)は、イ形容詞「甘い」の主体
- ニ格名詞(Aさんに)は、イ形容詞「甘い」の対象
を表しており、どちらもイ形容詞「甘い」にとって必須の要素です。
ガ格名詞・ニ格名詞が表す内容には、いくつかのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
先生が Aさんに甘いことが 不満だ。
であれば、
- ガ格名詞(先生が)は、心的状態の主体
- 二格名詞(Aさんに)は、対象
を表しています。
この格助詞「に」は、複合格助詞「に対して」に置き換え可能です。
先生が Aさんに 甘いことが 不満だ。
先生が Aさんに対して 甘いことが 不満だ。
は、どちらも同じことを表していますね。
同様の文型をとる2項形容詞は、
厳しい
強い
弱い
厳しい
優しい
うるさい
熱心だ
夢中だ
などです。
日本語教育能力検定試験の合格が 就職に 有利だと 言われている。
であれば、
- ガ格名詞(日本語教育能力検定試験の合格が)は、性質の主体
- 二格名詞(就職に)は、その性質が成り立つ範囲や領域
を表しています。
同様の文型をとる2項形容詞は、
多い
少ない
不可欠だ
不向きだ
などです。
彼の作品が 最優秀賞に ふさわしいと思う。
であれば、
- ガ格名詞(彼の作品が)は、性質の主体
- 二格名詞(最優秀賞に)は、その性質が成り立つ際の起点
を表しています。
同様の文型をとる2項形容詞は、
近い
等しい
などです。
「が・から」文型
家が 学校から 遠い。
この文の述語で使われているのは、イ形容詞「遠い」ですね。
- ガ格名詞(家が)は、イ形容詞「遠い」の性質の主体
- カラ格名詞(学校から)は、イ形容詞「遠い」のその性質が成り立つ際の起点
を表しており、どちらもイ形容詞「遠い」にとって必須の要素です。
同様の文型をとる2項形容詞には、
近い
などがあります。
「が・と」文型
Aさんが Bさんと 親しいのが うらやましい。
この文の述語で使われているのは、イ形容詞「親しい」・「うらやましい」ですね。
「親しい」を中心に見てみると、
- ガ格名詞(Aさんが)は、性質の主体
- ト格名詞(Bさんと)は、その性質が成り立つ際に必要な相手
を表しています。
同様の文型をとる2項形容詞は、
近い
遠い
そっくりだ
無関係だ
などです。
最後に
今回は、
✅ 文型とは?
✅ 動詞の文型
✅ イ形容詞・ナ形容詞の文型
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。
また、この記事以外にも、文法の記事を数多く掲載しています。
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