
令和7年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題2
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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(1)
その答えになる理由


【】内では、「いだい」とすべきところが「いらい」となっています。
「だ」の子音は、[d] 有声歯茎破裂音
「ら」の子音は、[ɾ] 有声歯茎弾き音
なので、調音法の誤用ですね。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1では、「かいだく」とすべきところが「かいらく」となっています。
「だ」の子音は、[d] 有声歯茎破裂音
「ら」の子音は、[ɾ] 有声歯茎弾き音
ですね。
母音は共通しているので、子音の調音法の誤用です。
2では、「しょうに」とすべきところが「しょうり」となっています。
「に」の子音は、[ɲ] 有声(歯茎)硬口蓋鼻音
「り」の子音は、[ɾ] 有声歯茎弾き音
ですね。
母音は共通しているので、子音の調音点と調音法の誤用です。
3では、「もくどく」とすべきところが「もくろく」となっています。
「ど」の子音は、[d] 有声歯茎破裂音
「ろ」の子音は、[ɾ] 有声歯茎弾き音
ですね。
母音は共通しているので、子音の調音法の誤用です。
4では、「はで」とすべきところが「はれ」となっています。
「だ」の子音は、[d] 有声歯茎破裂音
「ら」の子音は、[ɾ] 有声歯茎弾き音
ですね。
母音は共通しているので、子音の調音法の誤用です。
(2)
その答えになる理由


【】内では、「間違いに気づいた」とすべきところが「間違いを気づいた」となっています。
「~が(は)~に気づく」が「~が(は)~を気づく」となっているように、「に」を「を」にしてしまう誤用です。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1では、
小学生に歴史や地理を教えた
とすべきところが
小学生を歴史や地理を教えた
となっています。
「~が(は)~に~を教える」という文型になるはずなので、「~に」の部分が違いますね。
2では、
対戦相手に勝った
とすべきところが
対戦相手を勝った
となっています。
「~が(は)~に勝つ」という文型になるはずなので、「~に」の部分が違いますね。
3では、
ミーティングに参加した
とすべきところが
ミーティングを参加した
となっています。
「~が(は)~に参加する」という文型になるはずなので、「~に」の部分が違いますね。
4では、
方針に反対した
とすべきところが
方針を反対した
となっています。
「~が(は)~に反対する」という文型になるはずなので、「~に」の部分が違いますね。
ここで、
あれ、全部「を」を「に」と間違えているのでは…?
となるかもしれません。
これは、格助詞の用法の誤用ではなく、文型の誤用ですね。
1 ~が(は)~に~を教える
2 ~が(は)~に勝つ
3 ~が(は)~に参加する
4 ~が(は)~に反対する
という文型になるはずなので、「を」を重複する誤用になっている1が正解です。
(3)
その答えになる理由


【】内では、「夜も1人で外を歩くことができます」とすべきところが「夜も自分で外を歩くことができます」となっています。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、
1人で住んでいます
とすべきところが
自分で住んでいます
となっています。
これは、「1人で」と「自分で」を取り違う誤用です。
2は、
1人で旅行しました
とすべきところが
自分で旅行しました
となっています。
これは、「1人で」と「自分で」を取り違う誤用です。
3は、
1人で映画を見たり…
とすべきところが
自分で映画を見たり…
となっています。
これは、「1人で」と「自分で」を取り違う誤用です。
4は、
いつか自分に返ってくるものです
とすべきところが
いつか自分で返ってくるものです
となっています。
これは、格助詞「に」と「で」を取り違う誤用です。
(4)
その答えになる理由


【】内では、「昨日私が見たドラマ」とすべきところが「昨日私は見たドラマ」となっています。
これは、従属度が中程度である名詞修飾節内で、とりたて助詞「は」を用いる誤用です。
…ピンとこないですよね?
まず、文には必ず述語があります。
ドラマはとても面白かったです。
という文であれば、「面白かったです」の部分です。
このように、述語が1つだけの文を「単文」と言います。
昨日見たドラマはとても面白かったです。
という文の場合、「見た」と「面白かったです」の2つの述語がありますね。
このように、述語が2つ以上ある文を「複文」と言います。
また、1つの述語を中心としてまとまりをなす文の一部分を「節」と言います。
昨日見たドラマはとても面白かったです。
という文の場合
昨日見た
と
ドラマはとても面白かったです
という2つの節がありますね。
複文は、2つ以上の節から成り立っていると言えます。
2つ以上の節がある場合、文末の述語を含む節が「主節」・それ以外の節が「従属節」です。
昨日見たドラマはとても面白かったです。
という文の場合
ドラマはとても面白かったです
が主節で、
昨日見た
が従属節ですね。
従属節には、いろいろな種類があり、種類によって単文に近いものもあれば、単文とは性質が異なるものもあります。
単文に近い従属節であれば、従属節であっても主節に対する従属の度合が低いです。
一方、単文とは性質が異なる従属節であれば、主節に対する従属の度合が高いです。
例えば、
私は、音楽を聴きながら勉強している。
という文であれば、
私は、勉強している
が主節で
音楽を聴きながら
が従属節ですね。
この従属節は、本来単文で必要な「主語」がなく、主節に従属する度合が高いです。
また、
兄は医者で、弟は弁護士だ。
という分であれば、
弟は弁護士だ
が主節で
兄は医者で
が従属節ですね。
この従属節は、特に欠けている要素がないため、主節に従属する度合が低いです。
ようやく、ここからが本題です。
昨日見たドラマはとても面白かったです。
の
昨日見た
の部分は、名詞「ドラマ」をくわしく説明する名詞修飾節に分類されます。
名詞修飾節は、従属度が高いわけでも低いわけでもない中程度です。
| 「を」 | 「が」 | 「は」 | |
| 従属語が高い従属節 | ○ | × | × |
| 従属度が中程度の従属節 | ○ | ○ | × |
| 従属度が低い従属節 | ○ | ○ | ○ |
のように、従属度が中程度である「名詞修飾節」の内部には、とりたて助詞「は」を用いることができません。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、名詞修飾節の
× 一人一人はできる
○ 一人一人ができる
が「こと」をくわしく説明していますね。
これは、従属度が中程度である「名詞修飾節」の内部に、とりたて助詞「は」を用いる誤用です。
2は、名詞修飾節の
× 友達のお母さんは作ってくれた
○ 友達のお母さんが作ってくれた
が「料理」をくわしく説明していますね。
これは、従属度が中程度である「名詞修飾節」の内部に、とりたて助詞「は」を用いる誤用です。
3の従属節である
どの方法は正しいだろうか
は、従属度がきわめて低いものに分類される引用節です。
私はいつも「どの方法は正しいだろうか」と考えます
のように、「」でくくることができますね。
3だけ、従属節の種類が違います。
従属度がきわめて低い「引用節」では、とりたて助詞「は」を用いることについての制限はありません。
文法上は誤用ではないものの、「が」にした方が自然な聞こえ方がする…くらいの内容ですね。
4は、名詞修飾節の
× 毎日先生は話す
○ 毎日先生が話す
が「日本語」をくわしく説明していますね。
これは、従属度が中程度である「名詞修飾節」の内部に、とりたて助詞「は」を用いる誤用です。
(5)
その答えになる理由


【】内では、「500円しかありませんから」とすべきところが「500円だけありますから」となっています。
消極的な事態である「買えない」と呼応しにくい「しか~ない」を用いる誤用です。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、
卵しかありませんから
とすべきところが
卵だけありますから
となっています。
消極的な事態である「買い物に行かないといけない」と呼応しにくい「しか~ない」を用いる誤用です。
2は、
電子マネーでしか支払えません
電子マネーでだけ支払えます
とすべきところが
電子マネーだけ支払えます
となっています。
これだけ、手段を表す「で」を脱落させた誤用です。
3は、
3人しかいませんから
とすべきところが
3人だけいますから
となっています。
消極的な事態である「掃除までできません」と呼応しにくい「しか~ない」を用いる誤用です。
4は、
平仮名しか読めませんから
とすべきところが
平仮名だけ読めますから
となっています。
消極的な事態である「理解できません」と呼応しにく「しか~ない」を用いる誤用です。
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