今回は、
✅ 「ざるを得ない」の意味・使い方
✅ 「ざるを得ない」の類似表現
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
「ざるを得ない」の意味・使い方
「ざるを得ない」は、その事態の実現が不可避であることを表す
彼に真実を伝える。
であれば、「彼に真実を伝える」という事態をそのまま述べているだけですが、
彼に真実を伝えざるを得ない。
であれば、「彼に真実を伝える」という事態が避けられないものであることがわかります。
また、
終電を逃したので、歩いて帰らざるを得ない。
上司である以上、課長に報告せざるを得ない。
のように、その事態の実現が主体の意向・心情に反するというニュアンスを含む場合が多いです。
「ざるを得ない」の接続
【サ変動詞以外の動詞】
現地に行かざるを得ない。
【サ変動詞】
トラブルにより、出社せざるを得なかった。
「ざるを得ない」の類似表現
「ざるを得ない」の類似表現は、「ないわけにはいかない」「しかない」
現地に行かざるを得ない。
現地に行かないわけにはいかない。
現地に行くしかない。
のように、「ざるを得ない ⇔ ないわけにはいかない ⇔ しかない」を置き換えても、意味的には同じですね。
いずれも、その事態の実現が不可避・必然的なものであることを表し、その事態の実現が主体の意向・心情に反するというニュアンスを含んでいます。
「ないわけにはいかない」「しかない」の接続
トラブルであれば、出社しないわけにはいかない。
トラブルであれば、出社するしかない。
「ないわけにはいかない」しか使えない場合
○ 健康のためには、何も食べないわけにはいかない。
× 健康のためには、何も食べざるを得ない。
× 健康のためには、何も食べるしかない。
○ 勧められたからには、全く読まないわけにはいかない。
× 勧められたからには、全く読まざるを得ない。
× 勧められたからには、全く読むしかない。
「何も」や「全く」は、否定表現と共起する副詞です。
「ないわけにはいかない」「ざるを得ない」「しかない」は、いずれも否定を含んだ表現ですが、「ないわけにはいかない」以外は不自然ですね。
これは、「ないわけにはいかない」の形式としての固定度が低く、最初の「ない」が否定として活きているからです。
「ざるを得ない」「しかない」は、ひとまとまりの表現として固定度が高いので、「何も」「全く」などと共起すると不自然になってしまいます。
「なくてはいけない」との比較
彼に真実を伝えざるを得ない。
彼に真実を伝えないわけにはいかない。
彼に真実を伝えるしかない。
彼に真実を伝えなくてはいけない。
のように、非過去形では、「ざるを得ない」「ないわけにはいかない」「しかない」の3表現と「なくてはいけない」は、同じ内容を指しているように感じますね。
これが過去形になると、どうでしょうか?
彼に真実を伝えざるを得なかった。
彼に真実を伝えないわけにはいかなかった。
彼に真実を伝えるしかなかった。
彼に真実を伝えなくてはいけなかった。
「ざるを得ない」「ないわけにはいかない」「しかない」の3表現の場合は、実際に彼に真実を告げていますね。
その事態が不可避・必然的なので、過去形の場合は既に事態が成立しているからです。
「なくてはいけない」の場合は、実際に彼に真実を告げたかはわかりません。
これは、「なくてはいけない」は不可避・必然的の強度が低く、単に必要であることを表しているからです。
- 彼に真実を告げなければならなかったので、そうした。
- 彼に真実を告げなければならなかったが、できなかった。
のどちらの解釈も可能ですね。
参考書籍
今回は、
✅ 「ざるを得ない」の意味・使い方
✅ 「ざるを得ない」の類似表現
について、解説してきました。
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