令和4年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅱ 問題2
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
「発音上の問題点」問題に関する攻略記事はこちら
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1番
その答えになる理由
× おんせんに⤴
○ おんせんに⤵
まず、「おんせんに」のイントネーションが不自然ですね。
学習者が上昇調で発音したものが、教師によって下降調に訂正されています。
また、「おんせん」のアクセントも
× 高高低低
○ 低高高高
のように、教師によって訂正されていますね。
aが正解です。
この問題は、「『おんせんに』のアクセントが違う!」と考えてしまうと解けません。
アクセントとは、「個々の語について、恣意的に決まっている相対的な高さや強さの配置」なので、助詞の「に」を含まずに考えるのが正しいです。
ただし、1拍・2拍のような短い語だと、後続する助詞まで含めないと相対的な高い・低いがわからないことがあります。
日が昇る
ひが → 低高
火が消える
ひが → 高低
のように、助詞の「が」をつけることがありますが、あくまでアクセント型の識別をするための措置です。
識別の対象は、「単語(助詞を含まない)」なので注意しましょう。
2番
その答えになる理由
× マーナ
○ マナー
特殊拍である長音(ー)の位置が違いますね。
この時点で、c・dに絞ることができます。
「マナーは難しいです」とすべきところが「マーナは難しいです」となっています。
cとdの違いは、「プロミネンスが合っているか?(=学習者が強調して発音すべき部分は合っているか?)」です。
「日本のマナー(マーナ)は難しいです」を聞いてみると、学習者の発音も、教師の訂正も特に強調している部分はありません。
そもそもプロミネンスに該当する部分がないので、cが正解です。
3番
その答えになる理由
× マグカープ
○ マグカップ
特殊拍である促音(ッ)とすべきところが、同じく特殊拍である長音(ー)になっています。
位置は、いずれも4拍目なので、特殊拍の種類の違いですね。
この時点で、a・bに絞ることができます。
aとbの違いは、「アクセントの下がり目が合っているか?(=アクセントが正しいか?)」ですね。
× 高低低低低
○ 高高高低低
のように、学習者のアクセントは、教師によって訂正されています。
bが正解です。
4番
その答えになる理由
× ゆか……だんぼうが
○ ゆかだんぼうが
のように、「ゆかだんぼうが」と一息に発音すべきところが、「ゆか / だんぼうが」となっています。
ポーズの位置が違いますね。
この時点で、c・dに絞ることができます。
また、「ゆかだんぼうが」の「が」に注目すると、
× ゆかだんぼうが⤴
○ ゆかだんぼうが⤵
のように、教師によって上昇調→下降調に訂正されていますね。
「ゆかだんぼう」のアクセントは、学習者・教師ともに
ゆかだんぼう
低高高低低低
で発音しており、訂正されていません。
cが正解です。
5番
その答えになる理由
× せんさんかんり
○ せーさんかんり
特殊拍である長音(ー)とすべきところが、同じく特殊拍である撥音(ん)になっています。
位置は、いずれも2拍目なので、特殊拍の種類の違いですね。
この時点で、a・bに絞ることができます。
また、「せいさんかんり」のアクセントが
× 高低高低高低低
○ 高高高高高低低
のように、教師によって訂正されています。
学習者・教師ともに
× せんさんかんり
○ せーさんかんり
と一息に発音していたので、どちらにもポーズは含まれていません。
bが正解です。
6番
その答えになる理由
いつごろになりそうですか?
という質問に対する答えなので、強調されるのは
× 来週には提出できると思います
○ 来週には提出できると思います
ですね。
強調している内容が違うので、プロミネンスの間違いです。
この時点で、c・dに絞ることができます。
また、「できる」のアクセントが
× 高低低
○ 高高低
のように、教師によって訂正されています。
dが正解です。