今回は、
✅ 「だけでなく」の意味・使い方
✅ 「だけでなく」の類似表現
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
「だけでなく」の意味・使い方
「だけでなく」は、2つの事柄を重ねて示す表現
「だけでなく」は、同一人物や同一物があわせもっている2つの側面を累加的に示したり、重なって起きた出来事を述べたりすることができます。
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
上の例文では、Aさんの性質について、「仕事が早い」ということに加えて「周りへの気遣いもできる」ということを述べています。
この本は、面白いだけでなく、勉強にも役に立つ。
上の例文では、この本の性質について、「面白い」ということに加えて「勉強にも役に立つ」ということを述べています。
これらは、同一人物・同一物があわせもっている2つの側面についての内容ですね。
雨が降ってきただけでなく、風も強くなってきた。
この文は、天気や空の様子についての2つの側面について述べているわけではなく、重なって起きた出来事について述べています。
「雨が降ってきた→風も強くなってきた」という順ですが、風が強くなってきたときに雨が止んでいるわけではないですね。
「だけでなく」は、等位節をつくる表現
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
この本は、面白いだけでなく、勉強にも役に立つ。
雨が降ってきただけでなく、風も強くなってきた。
これらの例文は、それぞれ述語を2つ持っていますね。
文法用語で、述語を中心としたまとまりのことを「節」と呼んでいます。
このように、節を2つ以上持つ文を「複文」と言います。
複文において、メインとなる節が「主節」・サブとなる節が「従属節」です。
風が強くなってきたので、家の中に入ろう。
であれば、主節が「家の中に入ろう」・従属節が「風が強くなってきたので」ですね。
従属節が主節の行動をする原因・理由を表しています。
節を2つ以上持つ「複文」では、従属節が主節に付き従う形になることが多いのですが、
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
この本は、面白いだけでなく、勉強にも役に立つ。
雨が降ってきただけでなく、風も強くなってきた。
では、主節と従属節が対等な関係になっていますね。
このような関係の節のことを「等位節」と言います。
「だけでなく」は、
兄は弁護士だし、姉は医者だ。
本を読んだり、音楽を聴いたりして過ごした。
などと同じく、等位節をつくる表現の1つです。
「だけでなく」の接続
「だけでなく」は、
● 動詞の非過去形 / 過去形
● イ形容詞の非過去形 / 過去形
● ナ形容詞の語幹 + 「な / だった / である / であった」
● 名詞 + 「だった / である / であった」
に接続します。
「だけではなく」の形も現れる
「だけではなく」のように、とりたて助詞「は」が付与されることがあります。
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
Aさんは、仕事が早いだけではなく、周りへの気遣いもできる。
のように、「は」が付与されていても不自然ではないですね。
この「は」は、対比を表すとりたて助詞です。
付与されていた方が、「仕事が早いことは当然わかっているが、それだけではなく…」のような意図がわかりやすくなります。
「だけでなく」の類似表現
「だけでなく」の類似表現は、「ばかりか」
「だけでなく」の類似表現に、「ばかりか」があります。
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
Aさんは、仕事が早いばかりか、周りへの気遣いもできる。
のように、「だけでなく ⇔ ばかりか」を置き換えても不自然ではないですね。
「ばかりか」の接続
「ばかりか」は、
● 動詞の非過去形 / 過去形
● イ形容詞の非過去形 / 過去形
● ナ形容詞の語幹 + 「な / だった / である / であった」
● 名詞 + 「だった / である / であった」
に接続します。
接続方法も「だけでなく」と同じです。
「だけでなく」「ばかりか」が用いられにくい場合
「だけでなく」「ばかりか」は、同一人物・同一物についてであっても、同類の側面を捉えているとは言えない内容の場合は、用いられにくくなります。
Aさんは、仕事が早いだけなく、周りへの気遣いもできる。
Aさんは、仕事が早いばかりか、周りへの気遣いもできる。
であれば、Aさんについての「仕事での様子」という同類の側面を捉えているため、「だけでなく」「ばかりか」のどちらも不自然ではありません。
一方、
× Aさんは、仕事が早いだけでなく、食べるのが好きだ。
× Aさんは、仕事が早いばかりか、食べるのが好きだ。
のように、Aさんという人物についての側面であっても、それらが同類のものでないと不自然で用いられにくくなります。
参考書籍
今回は、
✅ 「だけでなく」の意味・使い方
✅ 「だけでなく」の類似表現
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
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