今回は、
✅ 格助詞「で」の用法【デ格】
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
【復習】「格」とは何か?
イメージがつきにくいと思うので、例文で見ていきましょう。
雨が降る。
この文の述語は、「降る」です。
何が「降る」かというと…
雨が降る。
のように、「雨」ですね。
「雨が」の形で、述語「降る」という【動きの主体】を表しています。
それでは、次の文はどうでしょうか?
逆上がりができる。
この文の述語は、「できる」です。
何が「できる」かというと…
逆上がりができる。
のように、「逆上がり」ですね。
「逆上がりが」の形で、述語「できる」という【能力の対象】を表しています。
「格」とは、名詞と述語の間に成り立つ意味関係を表す文法的手段のことです。
日本語の文には必ず述語があり、文中の名詞は述語との間に何らかの意味関係を持っています。
日本語の「格」は格助詞を使って表されますが、格助詞は「が・を・に・へ・と・から・より・で・まで」の9つがあり、それぞれの用法は1つずつではありません。
上の例文でも、同じ格助詞「が」なのに、【動きの主体】【能力の対象】のように用法が違いますね。
今回は、9つの格助詞のうちの1つである「に」の用法を確認していきましょう。
格助詞「で」(デ格)の用法
【場所】の用法
【動きの場所】
図書館で勉強した。
【手段】の用法
【手段(道具)】
スコップで穴を掘った。
【手段(方法)】
ランニングでダイエットに取り組んだ。
【手段(材料)】
布で、てるてる坊主を作った。
【手段(構成要素)】
このチームは、5人のメンバーで構成されている。
【手段(内容物)】
この棚は本でいっぱいになっている。
【手段(付着物)】
泥で服が汚れた。
【起因・根拠】の用法
【変化の原因】
台風で看板が飛ばされた。
【行動の理由】
急病で会社を早退した。
【感情・感覚の起因】
会社の人間関係のことで悩んでいる。
【判断の根拠】
後ろ姿で彼女だとわかった。
【主体】の用法
【動きの主体】
チームでこの問題に取り組んだ。
【限界】の用法
【範囲の上限】
先着50名で締め切ります。
【領域】の用法
【評価の成り立つ領域】
エベレストが世界で1番高い山だ。
【目的】の用法
【動作の目的】
日本には観光で来ました。
【様態】の用法
【動きの様態】
はだしで走り回った。
格助詞「で」(デ格)の練習問題
下線部は、【場所】【手段】【起因・根拠】【主体】のどの用法でしょうか?
① 駅のホームは人で埋め尽くされていた。
② 冷蔵庫にあった食材で晩御飯を作った。
③ 先生にほめられたことで、やる気が出てきた。
④ 庭で犬が走り回っている。
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① 駅のホームは人で埋め尽くされていた。
【手段(内容物)】
② 冷蔵庫にあった食材で晩御飯を作った。
【手段(材料)】
③ 先生にほめられたことで、やる気が出てきた。
【起因・根拠(感情・感覚の起因)】
④ 庭で犬が走り回っている。
【動きの場所】
下線部の中で、他の選択肢と用法が異なるものはどれでしょうか?
① 庭でバーベキューをした。
② 包丁で肉を切り分けた。
③ 彼の皿は肉でいっぱいだった。
④ 油で手が汚れてしまった。
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① 庭でバーベキューをした。 【動きの場所】
② 包丁で肉を切り分けた。 【手段(道具)】
③ 彼の皿は肉でいっぱいだった。 【手段(内容物)】
④ 油で手が汚れてしまった。 【手段(付着物)】
①だけ【場所】の用法ですね。
文法書によって言葉の定義が異なるので、「道具」「内容物」「付着物」までは覚えなくても大丈夫です。
大分類の名称(今回であれば【場所】【手段】など)だけ覚えておいて、そこからの細分化は区別だけできるようにしていきましょう。
下線部は、【限界】【領域】【目的】【様態】のどの用法でしょうか?
① 部屋着でコンビニに行った。
② 彼がこのクラスで1番成績が良い。
③ 旅行で京都を訪れた。
④ このキャンペーンは100名で打ち切ります。
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① 部屋着でコンビニに行った。
【動きの様態】
② 彼がこのクラスで1番成績が良い。
【評価の成り立つ領域】
③ 旅行で東京を訪れた。
【動作の目的】
④ このキャンペーンは100名で打ち切ります。
【限界(範囲の上限)】
下線部の中で、他の選択肢と用法が異なるものはどれでしょうか?
① 下見で試験会場に行ってみた。
② 試験勉強で図書館に通いつめた。
③ ここ最近で1番勉強している。
④ 教育実習で母校に行った。
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① 下見で試験会場に行ってみた。 【動作の目的】
② 試験勉強で図書館に通いつめた。 【動作の目的】
③ ここ最近で1番勉強している。 【評価の成り立つ領域】
④ 教育実習で母校に行った。 【動作の目的】
③だけ【領域】の用法ですね。
文法書によって言葉の定義が異なるので、「動作」「評価の成り立つ」までは覚えなくても大丈夫です。
大分類の名称(今回であれば【目的】【領域】など)だけ覚えておいて、そこからの細分化は区別だけできるようにしていきましょう。
接続助詞「で」との違い・見分け方
ドリルで穴を掘った。
名詞「ドリル」についていますね。
この「で」は、格助詞です。
述語「掘った」をどのような手段(道具)で行ったかを表しています。
まっすぐ進んで、突き当りで左に曲がってください。
従属節末についていますね。
この「で」は、接続助詞です。
従属節「まっすぐ進んで」→主節「突き当りで左に曲がってください」のように、順に事態が起きていることがわかります。
お前はもう死んでいる。
動詞「死ぬ」と補助動詞「いる」の間にありますね。
この「で」も、接続助詞です。
「●●している」という意味を付け足しています。
これだけだと、名詞についていれば格助詞・そうでなければ接続助詞……という見方もできてしまうのですが、本質的な考え方ではありません。
ほかのものでも応用できるように、
- どのような品詞があり
- それぞれがどのような働きをしているのか?
を見る癖をつけるようにしていきましょう。
接続助詞「で」との違い・見分け方については、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
「格」のほかの記事はこちら
格助詞「が」の用法 | 主体、対象 |
格助詞「を」の用法 | 対象、起点、経過域 |
格助詞「に」の用法 | 着点、相手、場所、起因・根拠、主体、対象、手段、時、領域、目的、役割、割合 |
格助詞「へ」の用法 格助詞「まで」の用法 | 着点 |
格助詞「と」の用法 | 相手、着点、内容 |
格助詞「から」の用法 | 起点、主体、起因・根拠、経過域、手段 |
格助詞「より」の用法 | 起点 |
格助詞「で」の用法 | 場所、手段、起因・根拠、主体、限界、領域、目的、様態 |
参考書籍
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