今回は、
✅ 「かねない」の意味・使い方
✅ 「かねない」の類似表現
について、一緒に勉強していきましょう。
「かねない」の意味・使い方
「かねない」は、可能性とマイナス感情を表す
今のままでは、落第する。
の場合、話し手は「落第する」という事態が起こることを確信しています。
今のままでは、落第するかもしれない。
の場合だと、話し手が「落第する」という事態が起こる可能性があることを認識しているのがわかります。
今のままでは、落第しかねない。
の場合だと、話し手が「落第する」という事態が起こる可能性があることを認識しているのと合わせて、「落第する」という事態が望ましくないというニュアンスであることがわかりますね。
この社内体制では、不正が起きかねない。
あの社長なら、そういうことを言いかねない。
のように、話し手が可能性があることをマイナスだと感じているときに用いられるのが「かねない」です。
「かねない」は、認識のモダリティの1つ
文は、命題とモダリティという2つの意味的な側面から成り立っています。
命題は、その文が伝える事柄的な内容を担い、
落第するかもしれない。
の例文では、「落第する」が命題です。
モダリティは、その文の内容に対する話し手の判断や聞き手に対する伝え方のような「文の述べ方」を担い、
落第するかもしれない。
の例文では、「かもしれない」がモダリティに当たります。
「かねない」は、「かもしれない」と同様に、認識を表すモダリティの1つです。
話し手がその事態に対して、どのように認識しているかがわかりますね。
「かねない」の接続
今のままでは、落第する。
動詞「落第する」の連用形(マス形の語幹)は、「落第し」ですね。
「かねない」を接続すると、
今のままでは、落第しかねない。
となります。
同じ認識のモダリティである「かもしれない」とは、接続が違うので注意しましょう。
「かもしれない」は、
今のままでは、落第するかもしれない。
のように、動詞の終止形(辞書形)に接続します。
「かねない」の類似表現
「かねない」の類似表現は、「おそれがある」
今のままでは、落第しかねない。
今のままでは、落第するおそれがある。
のように、「かねない ⇔ おそれがある」を置き換えても違和感がないですね。
今のままでは、落第するかもしれない。
の場合、話し手の個人的な判断を表していますが、
今のままでは、落第しかねない。
今のままでは、落第するおそれがある。
の場合だと、現実に即した客観的な可能性の存在を表しています。
「かねない」「おそれがある」の接続の違い
今のままでは、落第しかねない。
今のままでは、落第するおそれがある。
「かねない」に接続している「落第し」は、動詞「落第する」の連用形(マス形の語幹)です。
一方、「おそれがある」に接続している「落第する」は、動詞「落第する」の終止形(辞書形)ですね。
意味は似ていますが、前に来る動詞の形が異なります。
「かねない」の方が使える範囲が狭い
○ 父は体を壊すおそれがある。
△ 父は体を壊しかねない。
どちらも「体を壊す」という事態が起こる可能性があることを認識しており、その事態がマイナスだと感じていることがわかりますね。
ただ、「おそれがある」に比べて、「かねない」の例文に違和感があるのではないでしょうか?
「かねない」は、「おそれがある」よりも使える範囲が狭く、判断材料やその事態を引き起こす原因がある場合の方が相性が良い表現です。
上の例文であれば、
無茶な働き方を続けるのであれば、父は体を壊しかねない。
だと違和感がなくなりますね。
参考書籍
今回は、
✅ 「かねない」の意味・使い方
✅ 「かねない」の類似表現
について、解説してきました。
について解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。