今回は、
✅ 格助詞「で」
✅ 接続助詞「で」
✅ 2つの「で」の違い・見分け方
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
助詞の「で」は、格助詞または接続助詞
この「で」は、格助詞?接続助詞?
公園でサッカーをする。
鳥が飛んでいる。
これらの「で」は、
- 単独で文節をつくることができない付属語
- 活用がない
ので、いずれも「助詞」に分類されます。
助詞として用いられる「で」は、格助詞または接続助詞です。
公園でサッカーをする。
の「で」が格助詞で
鳥が飛んでいる。
の「で」が接続助詞なのですが、これだけを見てもよくわからないですね。
助詞の種類から順に確認していきましょう。
「そもそも、品詞自体がよくわからない…」という方は、以下の記事を参考にしてみてください。
助詞の種類
格助詞 | 名詞について、その名詞と述語との意味関係を表す |
連体助詞 | 名詞によって名詞を修飾するときに間に入る |
並列助詞 | 名詞と名詞を対等な関係で結びつける |
とりたて助詞 | ほかの要素との関係を背景に、文中のある要素に焦点を当てて、累加・限定などを表す |
接続助詞 | 従属節と主節の関係を表す |
終助詞 | 文末に用いられ、事態に対する疑問や話し手に対する伝達の態度などを表す |
雨が降っているので、犬の散歩と買い物はやめておこうよ。
「が」は、格助詞です。
述語「降っている」という動きの主体が「雨」であることを表しています。
「ので」は、接続助詞です。
犬の散歩と買い物をやめておく理由が「雨が降っている」という事態であることを表しています。
「の」は、連体助詞です。
「犬」という名詞で「散歩」を修飾するために、間に入っています。
「と」は、並列助詞です。
「犬の散歩」と「買い物」を対等な関係で結びつけています。
「は」は、とりたて助詞です。
「ほかのことはするが、犬の散歩と買い物は…」という対比を表しています。
「よ」は、終助詞です。
「やめておこう」と言い切るのではなく、確認の意図が足されています。
助詞については、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
格助詞「で」
格助詞「で」(デ格)には、
- 場所
- 手段
- 起因・根拠
- 主体
- 限界
- 領域
- 目的
- 様態
の8つの用法があります。
①【動きの場所】
図書館で勉強した。
②【手段(道具)】
スコップで穴を掘った。
③【判断の根拠】
後ろ姿で彼女だとわかった。
④【動きの主体】
チームでこの問題に取り組んだ。
⑤【範囲の上限】
先着50名で締め切ります。
⑥【評価の成り立つ領域】
エベレストが世界で1番高い山だ。
⑦【動作の目的】
日本には観光で来ました。
⑧【動きの様態】
はだしで走り回った。
上の例文は、いずれも「名詞+で」の形で、述語とどのような意味関係になるかを表していますね。
①【動きの場所】
図書館で勉強した。
であれば、述語「勉強した」の動きをした場所が名詞「図書館」であり、
③【判断の根拠】
後ろ姿で彼女だとわかった。
であれば、述語「わかった」の根拠が名詞「後ろ姿」だとわかります。
このように、名詞について、述語との意味関係を表すのが、格助詞「で」の役割です。
格助詞「で」の用法については、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
接続助詞「で」
友だちを呼んで、パーティーをした。
主節が「パーティーをした」・従属節が「友達を呼んで」です。
従属節「友達を呼んで」→主節「パーティーをした」のように、順に事態が起きていることがわかります。
たくさんお酒を飲んで、二日酔いになった。
主節が「二日酔いになった」・従属節が「たくさんお酒を飲んで」です。
従属節「たくさんお酒を飲んで」が主節「二日酔いになった」の原因・理由になっていることがわかります。
これらの文には、「呼ぶ・する」「飲む・なる」のように、それぞれ述語が複数ありますね。
述語が1つだけの文を単文・2つ以上の文を複文といいます。
複文の中で、サブとなる従属節末に用いられるのが、接続助詞「で」の1つ目の用法です。
また、
友だちが呼んでいる。
の「呼んでいる」のように、述語の中で用いられることもあります。
「呼んでいる」は、「呼ぶ」「いる」の2つの動詞が使われていますね。
この場合、「呼ぶ」は動詞本来の使い方をする本動詞・「いる」は動詞本来の使い方が薄れて、ほかの動詞と一緒に使われる補助動詞です。
友だちが教室にいる。
のように、「いる」が本動詞として使われた場合は「存在する」ことを表していますが、
友達が呼んでいる。
のように、補助動詞として使われた場合は、「呼ぶ」という本動詞に「●●している」という意味を付け足す役割をしています。
述語の中で動詞と補助動詞をつなぐ役割をするのが、接続助詞「で」の2つ目の用法です。
2つの用法の「で」は、いずれも接続助詞「て」の異形態であり、
たくさん運動して、疲れてしまった。
たくさんお酒を飲んで、二日酔いになった。
文字を書いている。
友だちが呼んでいる。
のように、「て」と全く同じ働きをもっています。
通常は「て」が用いられ、異形態の「で」となるのは、
- Ⅰグループ(五段活用)動詞のイ音便形
- Ⅰグループ(五段活用)動詞の撥音便形
につくときです。
【イ音便】
泳ぐ → 泳いで
砥ぐ → 砥いで
【撥音便】
読む → 読んで
飛ぶ → 飛んで
どのような場合に音便形が現れるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
助詞「で」の見分け方
ドリルで穴を掘った。
名詞「ドリル」についていますね。
この「で」は、格助詞です。
述語「掘った」をどのような手段(道具)で行ったかを表しています。
まっすぐ進んで、突き当りで左に曲がってください。
従属節末についていますね。
この「で」は、接続助詞です。
従属節「まっすぐ進んで」→主節「突き当りで左に曲がってください」のように、順に事態が起きていることがわかります。
お前はもう死んでいる。
動詞「死ぬ」と補助動詞「いる」の間にありますね。
この「で」も、接続助詞です。
「●●している」という意味を付け足しています。
これだけだと、名詞についていれば格助詞・そうでなければ接続助詞……という見方もできてしまうのですが、本質的な考え方ではありません。
ほかのものでも応用できるように、
- どのような品詞があり
- それぞれがどのような働きをしているのか?
を見る癖をつけるようにしていきましょう。
参考書籍
今回は、
✅ 格助詞「で」
✅ 接続助詞「で」
✅ 2つの「で」の違い・見分け方
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。
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