令和6年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題7
の解説です。
執筆時点では、正式解答は公表されていません。
参考の1つとして、ご確認ください。
前の問題はこちら
問1 学習者オートノミー
解説 学習者オートノミー
その答えになる理由
4が学習者オートノミーの説明そのままですね。
これが正解です。
問2 学習目標と学習計画を立てる際の教師の支援
その答えになる理由
前提として、一連の計画・実行は、学習者オートノミーを育成するためのものです。
そのため、教師が必要以上に介入するのではなく、学習者自身で決定・実行することが求められています。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
学習者が具体的な目標を立てられたのであれば、あえてそれを抽象度の高いものに変更する必要はないですね。
1は、間違いです。
学期の途中で計画が変わった場合、予め立てた学習目標が高すぎたり・低すぎたりする場合があります。
その場合は、学習目標自体も適切なものに立て直した方が良いですね。
2は、間違いです。
3は、何も問題ありません。
これが正解です。
学習目標・学習計画の作成がなかなか進まない学習者に対しては、教師が巻き取るのではなく、立て方を指導して学習者自身でできるようにしていった方が良いですね。
4は、間違いです。
問3 学習の実行の段階
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
個々の学習者が学習目標・学習計画を立てているので、進展の確認も個々で行うのが適切ですね。
1は、学習の実行段階の内容として適当です。
「どのように学習を進めていけば良いか?」の選択肢が増えることで、学習者自身でより適切な手段を取ることができるようになっていきます。
様々な学習活動と学習方法についての知識を広げることで、より学習の効率が上がっていきますね。
2は、学習の実行段階の内容として適当です。
学習者は、自身で学習目標・学習計画を立て、それに基づいて日々の学習状況の振り返りを行います。
内省し、次回の計画を立てることで、より効率的な学習に近づけていくことができますね。
3は、学習の実行段階の内容として適当です。
ほかの学習者の学習状況を把握することで、自身の学習だけを見つめるよりも、視野が広がります。
学習者同士のアドバイスが効果的なこともあるので、まったく干渉しないのではなく、適切に関わっていけると良いですね。
4は、学習の実行段階の内容として不適当です。
問4 学習目標とその学習目標に合ったリソースの使い方
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1では、「取引先へのメールを書けるようになる」という学習目標に対して、「マニュアル本の参照・メールの添削」という手段が提示されています。
これは、リソースの使い方として適当です。
2では、「講義内容を聞き取り、ノートを取れるようになる」という学習目標に対して、「シナリオ・プレイをする」という手段が提示されています。
「ノートを取れるようになる」なるための手段ではあるのですが、リソースの使い方としては、やや過剰気味ですね。
日本人学生に講師になってもらう…までいかなくても、音声を流す・映像を流すなどでも十分そうです。
3では、「時事問題での片仮名語を身に付ける」という学習目標に対して、「新聞記事から該当する語を書き出して、リスト化する」という手段が提示されています。
これは、リソースの使い方として適当です。
4では、「イントネーションをつかむ」という学習目標に対して、「学習者同士でドラマのせりふをアフレコする」という手段が取られています。
「イントネーションをつかむ」ための手段ではあるのですが、好きなドラマからせりふを自由に選ぶところから進めるのは、やや過剰気味ですね。
好きなものから選んでいると、イントネーションのパターンも複数試せない可能性もあります。
正解は、2か4です。
公式解答が発表されたら、解説を修正します。
問5 言語学習のためのアドバタイジング
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
学習者は、失敗から学ぶこともあります。
学習者が失敗しないように学習方法を明確に指示するよりも、大きな失敗にならないように、小さくアドバイスをしていく方が良いですね。
1は、間違いです。
学習内容と学習過程は、切っても切り離せない両輪です。
学習の効率化を図るには、どのような内容を・どのように進めていくかの両方を意識させた方が良いですね。
2は、間違いです。
3は、何も問題ありません。
これが正解です。
学習者の目標言語で指導することは問題ないのですが、状況に応じて媒介語を使用した方が良い場面もあります。
4は、間違いです。