平成30年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題4
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 「に」の用法
その答えになる理由
これは楽勝ですね。
「庭に…」の場合は、別の場所から「庭」に荷物を移動させているので「着点」の用法です。
また、「庭で…」の場合は、「庭」の中で運ぶ動作をする「場所」の用法です。
問2 主語
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「象は鼻が長い」の述語は「長い」、主語は「鼻が」です。
「象は」は主題とされることが多いのですが、どう捉えるかは様々な論説があります。
また、「春だなあ」は「(季節が)春だなあ」であったり、「(気温が)春だなあ」であったりと主語を特定することができません。
1が正解です。
「彼は」の「は」は主題、「彼が」であれば「が」は主格とされることが多いかと思います。
「彼は悲しい」と言いにくいのは、「彼は悲しいようだ」「彼は悲しいらしい」のようにしないと不自然だからです。
2は間違いです。
「鉛筆が居る」が不自然なのは、「鉛筆」が無生物だからです。
日本語の存在動詞では、
私には姉がいる
あそこに犬がいる
ここに彼の鉛筆がある
のように、有生性の高いもの(有生物)には「いる」を有生性の低いもの(無生物)には「ある」を用います。
3は間違いです。
「私は」の「私」を主題、「私は」の「私」を主格と分類することはありますが、どちらも主語であることに違いはありません。
4は間違いです。
問3 意味的な役割と文法的な関係
その答えになる理由
本文の内容から、
意味的な役割…今回の選択肢であれば「ヲ格」の意味
文法的な関係…主語・述語など
です。
「部屋を出た」「岸を離れた」の「ヲ格」は、どちらも「起点」を表しているため、意味的な役割は同じです。
また、どちらも「起点を~した」の構造になっているため、文法的な関係も共通しています。
そのため、1・2は間違いです。
「ラジオを壊した」「木を切った」の「ヲ格」は、どちらも動作の「対象」を表しているため、意味的な役割は同じです。
また、どちらも「対象を~した」の構造になっているため、文法的な関係も共通しています。
3は間違いで、4が正解です。
問4 ガ格
その答えになる理由
「太郎が走る」のガ格は「動作主」、「窓が開く」のガ格は「動作の対象」を表しています。
選択肢におけるガ格が
1つ目…動作主
2つ目…動作の対象
になっているものが正解です。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1 1つ目…動作主 2つ目…動作主
「太郎が跳ぶ」
「太郎が歩く」
2 1つ目…動作の対象 2つ目…動作主
「砂糖が水に溶ける」
「太郎が騒ぐ」
3 1つ目…動作主 2つ目…動作の対象
「太郎が泳ぐ」
「窓が割れる」
4 1つ目…動作の対象 2つ目…動作の対象
「肉が焼ける」
「日が暮れる」
3が正解です。
問5
その答えになる理由
例文を作って考えてみましょう。
「太郎が走っている」「窓が開いている」
どちらもテイル形は作りにくくありません。
1は間違いです。
「太郎に走ってもらう」「窓に開いてもらう」
「走る」タイプはテモラウ形を作りやすいですが、「開く」タイプは作りにくいです。
2が正解です。
「走れ」「開け」
「走る」タイプは命令形を作りやすいですが、「開く」タイプは作りにくいです。
3は間違いです。
「太郎に走らせられる」「窓を開がせられる」
「走る」タイプは使役受身文を作りやすいですが、「開く」タイプは作りにくいです。
4は間違いです。