今回は、
✅ 連体助詞「の」の意味・使い方
✅ 連体助詞「の」を用いた名詞修飾の2つのタイプ
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
連体助詞「の」の意味・使い方
連体助詞「の」とは?
① 私の本が置いてある。
② 先生の到着が待ち遠しい。
①は、「本」を「私」が修飾しています。
この場合、「私」が修飾名詞(修飾する側)・「本」が被修飾名詞(修飾される側)です。
間にある「の」が連体助詞ですね。
②は、「到着」を「先生」が修飾しています。
この場合、「先生」が修飾名詞(修飾する側)・「到着」が被修飾名詞(修飾される側)です。
同じく、間にある「の」が連体助詞ですね。
このように、連体助詞「の」には、被修飾名詞・修飾名詞をセットにする役割があります。
1つの文に1つだけ…という縛りはないので、
風の谷のナウシカ
崖の上のポニョ
のような「名詞+の+名詞+の+名詞…」という長いパターンでもOKです。
連体助詞を用いる名詞修飾の2つのタイプ
① 私の本が置いてある。
② 先生の到着が待ち遠しい。
①の例文では、修飾名詞「私」が被修飾名詞「本」の所属先を表しています。
②の例文では、被修飾名詞「到着」が事態を表していて、修飾名詞「先生」が事態を構成する補語になっていますね。
連体助詞を用いて名詞を修飾する場合、被修飾名詞⇔修飾名詞の関係は、大きく分けて
という2つのタイプがあります。
1つずつ見ていきましょう。
① 修飾名詞が被修飾名詞の所属先・性質・基準点を表すもの
①-1 私の本
①-2 日本語教育の教科書
①-3 授業の後
どの例文も
修飾名詞(修飾する側)+連体助詞「の」+被修飾名詞(修飾される側)
の形です。
形は共通していますが、修飾名詞⇔被修飾名詞の関係は、微妙に異なります。
①-1 私の本
だと、修飾名詞「私」は、被修飾名詞「本」の所属先を表し、
①-2 日本語教育の教科書
だと、修飾名詞「日本語教育」は、被修飾名詞「教科書」の性質を表し、
①-3 授業の後
だと、修飾名詞「授業」は、被修飾名詞「後」の基準を表していますね。
このように、
のが1つ目のタイプです。
② 被修飾名詞が主に事態を表す名詞で、修飾名詞が事態を構成する補語にあたるもの
②-1 先生の到着
②-2 金属の加工
②-3 東京での開催
どの例文も
修飾名詞(修飾する側)+連体助詞「の」+被修飾名詞(修飾される側)
の形です。
形は共通していますが、修飾名詞⇔被修飾名詞の関係は、微妙に異なります。
②-1 先生の到着
だと、修飾名詞「先生」と被修飾名詞「到着」の関係は、「先生が到着する」です。
「先生」は、「到着する」という動作の主体にあたります。
②-2 金属の加工
だと、修飾名詞「金属」と被修飾名詞「加工」の関係は、「金属を加工する」です。
「金属」は、「加工する」という動作の対象にあたります。
②-3 東京での開催
だと、修飾名詞「東京」と被修飾名詞「開催」の関係は、「東京で開催する(される)」です。
「東京」は、「開催する(される)」という動作の起こる場所にあたります。
「到着・加工・開催」が事態を表しており、「先生・金属・開催」は、それぞれの述語に対する補語の役割をしていますね。
このように、
が2つ目のタイプです。
ここで気になるのは、
②-3 東京での開催
の「での」の部分ではないでしょうか?
ほかは、
修飾名詞(修飾する側)+連体助詞「の」+被修飾名詞(修飾される側)
なのに、②-3だけ
修飾名詞(修飾する側)+格助詞「で」+連体助詞「の」+被修飾名詞(修飾される側)
になっていますね。
2つ目のタイプでは、格助詞も表された上で、連体助詞「の」を介して被修飾名詞を修飾することがあります。
例文で見てみましょう。
妹とケンカする。
この格助詞「と」の用法は、相互動作の相手です。
連体助詞「の」を用いた名詞修飾の形にしてみると…
○ 妹とのケンカ
× 妹のケンカ
のように、格助詞「と」を残さないと意味が変わってしまいますね。
ほかの格助詞も確認してみましょう。
教室へ移動する。
この格助詞「へ」の用法は、移動の着点です。
連体助詞「の」を用いた名詞修飾の形にしてみると…
○ 教室への移動
× 教室の移動
のように、先ほどと同じく、格助詞「へ」を残さないと意味が変わってしまいますね。
それでは、次の例文ではどうでしょうか?
Aさんが参加する。
この格助詞「が」の用法は、動きの主体です。
連体助詞「の」を用いた名詞修飾の形にしてみると…
○ Aさんの参加
× Aさんがの参加
のように、先ほどまでとは異なり、格助詞「が」を削らないと文が成り立たないですね。
また、
父親に反抗する。
だと、格助詞「に」の用法は、動きの相手です。
連体助詞「の」を用いた名詞修飾の形にしてみると…
× 父親の反抗
× 父親にの反抗
のように、格助詞を残す・残さないに関係なく、そもそも「の」を用いた名詞修飾の形で同じ意味を表すことができないですね。
2つ目のタイプでは、元の文→連体助詞「の」を用いた名詞修飾に変換する際に
という3パターンがあります。
格助詞と用法ごとにパターンが異なるので、「この場合はどうなのか…?」を考えてみましょう。
格助詞の用法については、以下に掲載しています。
こちらも、あわせてご確認ください。
【+α】① 修飾名詞が被修飾名詞の所属先を表すもの
渋滞の原因
プロジェクトの目的
- 「渋滞」しているのには、何らかの「原因」がある
- 「プロジェクト」には、何らかの「目的」がある
被修飾名詞(原因・目的)が修飾名詞(渋滞・プロジェクト)によって表される事態を成り立たせる要素にあたります。
事故の影響
プロジェクト完遂の達成感
- 「事故」が起きたことにより、「影響」が出ている
- 「プロジェクト完遂」により、「達成感」が生じた
修飾名詞(事故・プロジェクト完遂)の事態が先行して発生→被修飾名詞(影響・達成感)がその事態によって発生という意味関係になっていますね。
これらも、広義では「① 修飾名詞が被修飾名詞の所属先・性質・基準点を表すもの」に含まれます。
具体的には、修飾名詞=被修飾名詞の所属先です。
連体助詞「の」の練習問題
概要を把握したあとは、練習問題で知識の定着を図っていきましょう。
以下のページに掲載しているので、ぜひtやレンジしてみてください。
参考書籍
今回は、
✅ 連体助詞「の」の意味・使い方
✅ 連体助詞「の」を用いた名詞修飾の2つのタイプ
について、解説してきました。
について解説してきました。
を主に参考にしています。
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