今回は、
✅ アスペクトとは?
✅ 「状態」を表すアスペクト形式
✅ 「状態」以外を表すアスペクト形式
✅ アスペクトに関わる副詞的成分
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
アスペクトが表す意味と使い方
…イメージが付きづらいですよね。
ここはしっかりと概念を理解していただきたい部分なので、もう少しお付き合いください。
述語にくる品詞は、
- 動詞
- イ形容詞
- ナ形容詞
- 名詞+だ
の4つです。
この中で、動きを表すのは「動詞」ですね。
そのため、アスペクトは、動詞述語文でのみ現れます。
① Aさんが教科書を読む。
のように、動詞の表す動きを丸ごと捉えるのか…
② Aさんが教科書を読んでいる。
のように、持続状態として捉えるのか…
③ Aさんが教科書を読み始める。
④ Aさんが教科書を読み終える。
のように、展開する局面のどこかの部分を捉えるのか…
動詞の表す動きの全過程のどの局面に焦点を置いて表現するかを表し分けるのが、アスペクトです。
①~④の例文は、それぞれ
① ~する
② ~している
③ ~し始める
④ ~し終える
ですね。
ですね。
動きは「読む」で共通していますが、
① Aさんが教科書を読む。
動きを丸ごと捉える
② Aさんが教科書を読んでいる。
動きを持続状態として捉える
③ Aさんが教科書を読み始める。
④ Aさんが教科書を読み終える。
動きの局面の最初・最後を捉える
のように、「読む」という動きの全過程の中で、どの局面に焦点を置くかが違います。
形を見てみると、
① 読む
「読む」に何も付加されていない
② 読んでいる
「読む」に「している」を付加
③ ~し始める
「読む」に「始める」を付加
④ ~し終える
「読む」に「終える」を付加
のように、①は何も付加されておらず、②~④は「●●●」が付加されていることがわかります。
文法において、付加的な形態を伴わない基本的な形式が「無標形式」・付加的な形態を伴う形式を「有標形式」です。
①はアスペクトにおける「無標形式」・②~④は「有標形式」ですね。
内容で見てみると、アスペクトは、大きく
- 状態を表すもの
- 状態以外を表すもの
に分類されます。
「状態」を表すアスペクト形式
~している
アスペクトの代表例といえば、「~している」ですね。
Aさんは本を読む。
であれば「動き」を表しますが、
Aさんは本を読んでいる。
だと「状態」を表します。
同様に「状態」を表すアスペクト形式には、
「~してある」
「~しつつある」
などがあります。
~してある
冷蔵庫に麦茶を冷やしてある。
では、「冷やす」という動きの結果の状態であることがわかりますね。
~しつつある
山から生き物が消えつつある。
では、「消える」という変化を含む動きが進行している状態であることがわかりますね。
「状態」以外を表すアスペクト形式
「複合動詞」によるアスペクト形式
動きの時間的推移の局面を細かく表し分ける形式
Aさんに話しかける。
Aさんが話しはじめる。
Aさんが話しだす。
Aさんが話しつづける。
Aさんが話しおわる。
- ~しかける
- ~しはじめる
- ~しだす
- ~しつづける
- ~しおわる
を付加することで、「話す」という動きの
- 開始の局面
- 動きの持続
- 終結の局面
などを表しています。
量的に限定のある動きを完遂することを表す形式
Aさんは、カラオケでミスチルの曲を歌いつくした。
Aさんは、カラオケでミスチルの新曲を歌いきった。
Aさんは、ミスチルのメドレーを最後まで歌いとおした。
- ~しつくす
- ~しきる
- ~しとおす
を付加することによって、動きを完全に終えたことを表しています。
「テ形+補助動詞」によるアスペクト形式
動きの時間的推移をある視点から取り上げた形式
この町も過疎化が進んできた。
過去問に取り組むことで、飛躍的に知識が体系化されていく。
- ~してくる
- ~していく
単なる動きの終結 or 望ましくない事態であるという話し手の捉え方を表す形式
【単なる動きの終結】
課題を終わらせてしまった。
【望ましくない事態】
野菜を腐らせてしまった。
- ~してしまう
その行為の結果の維持 or 事前の処置を表す形式
【行為の結果の維持】
換気のため、窓を開けておいた。
【事前の処置】
あらかじめ野菜を切っておいた。
- ~しておく
「形式名詞+だ」のアスペクト形式
動きの直前 or 直後 or 進行中を表す形式
【動きの直前】
朝食を食べるところだ。
【動きの直後】
朝食を食べたところだ。
【動きの進行中】
朝食を食べているところだ。
- ~ところだ
動きが終わってからほとんど時間が経過していないことを表す形式
朝食を食べたばかりだ。
- ~ばかりだ
動きがまさに進行中であることを表す形式
朝食を食べている最中だ。
- ~最中だ。
アスペクトに関わる副詞的成分
8時過ぎなのに、まだ朝食を食べている。
6時前なのに、もう朝食を食べている。
使われる副詞によっては、アスペクトの意味が変わることもあります。
【進行中の動作】
Aさんは、ゆっくりと制服を着ている。
【動作の結果】
Aさんは、きちんと制服を着ている。
「ゆっくりと」だと「着る」という動作が進行していることを表していますが、「きちんと」だと「着る」という動作がどのように行われたかの結果を表しています。
【1回の動作】
魚が死んでいる。
【繰り返しながら進行する動作】
汚染により、次々と魚が死んでいる。
副詞がない状態だと1回の動作を表しますが、「次々と」がつくことで「死ぬ」という動作が繰り返し行われていることを表します。
参考書籍
今回は、
✅ アスペクトとは?
✅ 「状態」を表すアスペクト形式
✅ 「状態」以外を表すアスペクト形式
✅ アスペクトに関わる副詞的成分
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
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