
日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。
「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。
本講座では、主に
・言語学全般
・日本語文法
について取り扱っていきます。
・日本語教育能力検定試験の学習のため
以外にも、
・日本語教師としてレベルアップしていきたい
・現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい
という方は、ぜひご一読ください。
「ガ格」「ニ格」……、なんとなく心理的な抵抗感はありませんか?
【復習】「格」とは何か?
「格」とは「名詞と述語の間に成り立つ意味関係」を表す文法用語です。
…なんだかイメージしづらいですよね。
例文で考えてみましょう。
雨が降る。
であれば、「降る」という【動きの主体】が「雨」であることを表しています。
私は逆上がりができる。
であれば、「できる」という【能力の対象】が「逆上がり」であることを表しています。
同じ「が」でも、意味関係が違いますね。
「雨が」は【動きの主体】、「逆上がりが」は【能力の対象】です。
これらの意味関係は、名詞につく「格助詞」によって示されます。
言い換えれば、「直前の名詞が、述語に対してどのような関係か?」を格助詞で表しています。
格助詞は「が」「を」「に」「へ」「と」「から」「より」「で」「まで」です。
まずは、この9つを覚えましょう。
「に」の用法
「に」は大きく分けて【着点】【相手】【場所】【起因・根拠】【主体】【対象】【手段】【時】【領域】【目的】【役割】【割合】の12個の用法があります。
盛りだくさんなので、3回に分けて勉強していきましょう。
今回は【主体】【対象】【手段】【時】です。
【主体】の用法
【所有の主体】
私には日本語教師になるという夢がある。
【能力の主体】
彼にこの問題が解けるはずがない。
【心的状態の主体】
私には彼女の合格が非常に嬉しい。
【対象】の用法
【動作の対象】
父に反抗した。
【心的活動の対象】
彼の雄姿に憧れた。
【手段】の用法
【内容物】
彼女は希望に満ち溢れた顔をしていた。
【付着物】
全身が毛におおわれている。
【時】の用法
【時点】
3時に学校で集まりましょう。
下線部は、【主体】【対象】【手段】【時】のどの用法でしょうか?
① 午前中に課題を終えた。
② 海外に思いをはせる。
③ 私には時間を取れない事情があった。
④ 雨に濡れた。
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① 午前中に課題を終えた。
【時(時点)】
② 海外に思いをはせる。
【心的活動の対象】
③ 私には時間を取れない事情があった。
【所有の対象】
④ 雨に濡れた。
【手段(付着物)】
下線部の中で、他の選択肢と用法が異なるものはどれでしょうか?
① 彼にこの本が読めるはずがない。
② 午後にはこの仕事を終えてください。
③ 私には深刻な悩みがある。
④ 私には彼女の成功が心から嬉しい。
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① 彼にこの本が読めるはずがない。【能力の主体】
② 午後にはこの仕事を終えてください。【時(時点)】
③ 私には深刻な悩みがある。【所有の主体】
④ 私には彼女の成功が心から嬉しい。【心的状態の主体】
②だけ【時】の用法ですね。
文法書によって言葉の定義が異なるので、「能力」「所有」「時点」「心的状態」までは覚えなくても大丈夫です。
大分類の名称(今回であれば【主体】【時】など)だけ覚えておいて、そこからの細分化は区別だけできるようにしていきましょう。
他の記事はこちら
格助詞「が」の用法
格助詞「を」の用法
格助詞「に」の用法 ①
格助詞「に」の用法 ② ←今回の内容
格助詞「に」の用法 ③
格助詞「へ」「まで」の用法
格助詞「で」の用法①
格助詞「で」の用法②
格助詞「から」の用法
格助詞「より」の用法
格助詞「と」の用法
参考書籍
今回は、以下を参考にしています。