
日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。
「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。
本講座では、主に
・言語学全般
・日本語文法
について取り扱っていきます。
・日本語教育能力検定試験の学習のため
以外にも、
・日本語教師としてレベルアップしていきたい
・現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい
という方は、ぜひご一読ください。
「ガ格」「ニ格」……、なんとなく心理的な抵抗感はありませんか?
【復習】「格」とは何か?
「格」とは「名詞と述語の間に成り立つ意味関係」を表す文法用語です。
…なんだかイメージしづらいですよね。
例文で考えてみましょう。
雨が降る。
であれば、「降る」という【動きの主体】が「雨」であることを表しています。
私は逆上がりができる。
であれば、「できる」という【能力の対象】が「逆上がり」であることを表しています。
同じ「が」でも、意味関係が違いますね。
「雨が」は【動きの主体】、「逆上がりが」は【能力の対象】です。
これらの意味関係は、名詞につく「格助詞」によって示されます。
言い換えれば、「直前の名詞が、述語に対してどのような関係か?」を格助詞で表しています。
格助詞は「が」「を」「に」「へ」「と」「から」「より」「で」「まで」です。
まずは、この9つを覚えましょう。
「で」の用法
「で」は大きく分けて【場所】【手段】【起因・根拠】【主体】【限界】【領域】【目的】【様態】の8個の用法があります。
盛りだくさんなので、2回に分けて勉強していきましょう。
今回は【場所】【手段】【起因・根拠】【主体】です。
【場所】の用法
【動きの場所】
図書館で勉強した。
【手段】の用法
【道具】
スコップで穴を掘った。
【方法】
ランニングでダイエットに取り組んだ。
【材料】
布で、てるてる坊主を作った。
【構成要素】
このチームは、5人のメンバーで構成されている。
【内容物】
この棚は本でいっぱいになっている。
【付着物】
泥で服が汚れた。
【起因・根拠】の用法
【変化の原因】
台風で看板が飛ばされた。
【行動の理由】
急病で会社を早退した。
【感情・感覚の起因】
会社の人間関係のことで悩んでいる。
【判断の根拠】
後ろ姿で彼女だとわかった。
【主体】の用法
【動きの主体】
チームでこの問題に取り組んだ。
下線部は、【場所】【手段】【起因・根拠】【主体】のどの用法でしょうか?
① 駅のホームは人で埋め尽くされていた。
② 冷蔵庫にあった食材で晩御飯を作った。
③ 先生にほめられたことで、やる気が出てきた。
④ 庭で犬が走り回っている。
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① 駅のホームは人で埋め尽くされていた。
【手段(内容物)】
② 冷蔵庫にあった食材で晩御飯を作った。
【手段(材料)】
③ 先生にほめられたことで、やる気が出てきた。
【起因・根拠(感情・感覚の起因)】
④ 庭で犬が走り回っている。
【動きの場所】
下線部の中で、他の選択肢と用法が異なるものはどれでしょうか?
① 庭でバーベキューをした。
② 包丁で肉を切り分けた。
③ 彼の皿は肉でいっぱいだった。
④ 油で手が汚れてしまった。
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① 庭でバーベキューをした。 【動きの場所】
② 包丁で肉を切り分けた。 【手段(道具)】
③ 彼の皿は肉でいっぱいだった。 【手段(内容物)】
④ 油で手が汚れてしまった。 【手段(付着物)】
①だけ【場所】の用法ですね。
文法書によって言葉の定義が異なるので、「道具」「内容物」「付着物」までは覚えなくても大丈夫です。
大分類の名称(今回であれば【場所】【手段】など)だけ覚えておいて、そこからの細分化は区別だけできるようにしていきましょう。
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格助詞「で」の用法① ←今回の内容
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格助詞「から」の用法
格助詞「より」の用法
格助詞「と」の用法
参考書籍
今回は、以下を参考にしています。