試験Ⅱ 問題2 「発音上の問題点」の攻略!【日本語教育能力検定試験 過去問を解くための準備運動】

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「日本語」を基礎から、もう1度

日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。

「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。

本講座では、主に

言語学全般

日本語文法

について取り扱っていきます。

日本語教育能力検定試験の学習のため

以外にも、

日本語教師としてレベルアップしていきたい

現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい

という方は、ぜひご一読ください。

こんなお悩みはありませんか?

選択肢の内容がどのような間違いなのか、イマイチよくわからない…

ドンドン問題が進んでいってしまい、落ち着いて考えられない…

今回の記事では…

「発音上の問題点」の問題を解くために必要な知識を一通り確認すること

を目標に解説していきます。

日本語教育能力検定試験において、試験Ⅱ 問題2はどのように出題されるか?

問題用紙には、選択肢だけが記載されています。

a アクセントの下がり目 と プロミネンス
b アクセントの下がり目 と 句末・文末イントネーション
c プロミネンス
d 特殊拍の種類

音声は、学習者が発音上誤った箇所のある文を話し、教師が誤った箇所だけを言い直します。

(学習者)答えをマックしました。
(教 師)マーク
(学習者)答えをマックしました。
(教 師)マーク

学習者の発話の中でどこが問題点かは、教師の訂正で確実にわかります。
(試験Ⅱ 問題6では教師の訂正がないので、学習者の発音だけでどこが誤りかを判断しなければなりません。)

上の例題だと、「マーク」と発音すべきところが「マック」になっていますね。
長音「ー」とすべきところを撥音「ッ」にする誤用です。

長音・撥音は「特殊拍」なので、dが正解です。

この問題が音声で流れたとしても、教師の発話での「マーク」・学習者の発話での「マック」は問題なく聴き取れるのではないでしょうか?

正解できるかどうかは

「ー」「ッ」の混同なので、特殊拍の種類だ!

というのが反射的に出てくるかです。

このように、試験Ⅱ 問題2で1番大切なポイントは

△ 誤っている箇所の聴き取り

ではなく

◎ 聴き取った内容と選択肢の紐づけ

だと言えます。

ここからは、試験Ⅱ 問題2で提示される選択肢を解説していきます。

用語を覚えるだけではイメージがつきにくいので、どのような誤用になるかも見ていきましょう。

特殊拍の種類

日本語では
・かな1文字 「あ」「か」「さ」
・小さい文字を伴った2文字 「ちゃ」「すぃ」
がほぼ同じ長さで話されると感じられる「等時性」を持つことから、このまとまりを「拍」と呼んでいます。

「着物」であれば「き・も・の」で3拍
「試着室」であれば「し・ちゃ・く・し・つ」で5拍
です。

「拍」における「特殊拍」とは、

・長音 「ー」
・促音 「っ」
・撥音 「ん」

のことです。

これらの特殊音は、厳密には「当時性」を持つ(他の拍と同じ長さで発音されている)とは限りませんが、同じ長さで発音されていると捉えて「1拍」としてカウントします。

「教育」であれば、「きょ・ー・い・く」で4拍
「発達」であれば、「は・っ・た・つ」で4拍
「日本語」であれば「に・ほ・ん・ご」で4拍
です。

発音上の問題が「特殊拍の種類」であるのは、次のような場合です。

「はてん」と発音すべきところが、「はてん」になっていた。

↓↓↓

促音「っ」で撥音すべきところが、撥音「ん」になっていた。

↓↓↓

「促音」「撥音」は、どちらも「特殊拍」!

特殊拍の位置

「特殊拍」とは

・長音 「ー」
・促音 「っ」
・撥音 「ん」

のことです。

前述の「特殊拍の種類」の誤りの場合、

「はてん」と発音すべきところが、「はてん」になっていた。

↓↓↓

促音「っ」で撥音すべきところが、撥音「ん」になっていた。

↓↓↓

「促音」「撥音」は、どちらも「特殊拍」!

のように「同じ位置で、特殊拍の種類が違う」ものでしたが、今回の「特殊拍の位置」の誤りは、「特殊拍の種類は同じで、配置される場所が違う」ものです。

具体的には、次のような場合です。

「ながしまスパランド」と発音すべきところが、「ながしまスパランド」になっていた。

↓↓↓

特殊拍の種類はどちらも長音「ー」だが、配置される場所が違う!

プロミネンス

「特殊拍」関連以外の 試験Ⅱ 問題2 の選択肢は、「プロソディ(韻律)」に分類される用語たちです。

「プロソディ(韻律)」とは、言語の音素的な表記からは判別できない、イントネーション・リズム・プロミネンス・ポーズ・アクセントなどの文脈によって異なる特徴のことです。

「その仕事、私がやります⤵」のように下降調のイントネーションだと、申し出ているように聞こえます。

これが「その仕事、私がやります⤴」のように上昇調のイントネーションだと、どうでしょうか?

なんだが、「忙しいのに、その仕事まで私がやるの…?」という不満があるように聞こえませんか?

どちらも「その仕事、私がやります」という文字の羅列ですが、イントネーションによる文脈によってまったく違う意味になりますね。

このように、文字のような言語の音素的表記からは判別できない音声学的な性質全般のことを「プロソディ」と言います。

「プロソディ」の1つである「プロミネンス」とは、何らかの意図をもって、文中の特定の部分を際立たせて発音することです。

「プロミネンス」が置かれる場所は、

「昨日、USJに行ったんだ」

「へー、誰と行ったの?」

高校のときの友達だよ」

のように、疑問詞や疑問文の答えであることが多いです。

プロミネンスを置いた場合、特定の部分を

強く発音する
弱く発音する
速く発音する
ゆっくりと発音する
前後にポーズを置く

などすることで「相手にしっかりと伝えたい」という意図を伝えます。

「昨日は、どこに行きましたか?」

と聞かれたときに、通常であれば、プロミネンスが置かれるのは「どこ?」の答えです。

◎ 「昨日は、図書館に行きました」

しかし、「プロミネンス」に発音上の問題がある場合、違う場所が強調されます。

× 「昨日は、図書館に行きました」

このように、「文章は変わらないが、強調される部分が間違っている」のがプロミネンスの誤りです。

ポーズの位置

「ポーズ」とは、会話における「間」のことです。

「プロミネンス」の手段の1つとして、強調したい語の前後に入れられることが多いです。

「昨日 ガールフレンドと ディズニーランドに行きました。

「ポーズ」に発音上の問題がある場合、強調されるべきではないところに「間」が置かれます。

「いつ、日本に帰ってきたの?」

「昨年の10月に 妹の結婚式のために 帰ってきました。

また、「ポーズ」に発音上の問題があるときは

① 不要なポーズが挿入されている
② ポーズの位置が間違っている

のどちらかです。

①は明らかに発話が不自然に聞こえるので、問題なくわかると思います。

②は「プロミネンス」の1つで、強調するために「間」を置いたが、そもそも強調する対象が間違っていた場合です。

「間」がおかしいのに、「ポーズの位置」が選択肢にない…
というときは、「プロミネンス」を選ぶようにしましょう。

アクセントの下がり目

アクセントの「下がり目」と書かれていると、なんだか難しく感じてしまいますね。

日本語は「高低アクセント」で、下がる直前の拍を「アクセント核」「滝」と呼ぶことからもわかるように、「どこで下がるか?」が重視されています。

「アクセントの下がり目」に発音上の問題があるときは、

本来下がるところが、下がっていない

ということですが、難しく考えずに

東京方言のアクセントから見て、不自然な語はないか?

を聴き取ればOKです。

後述しますが、アクセントとは

個々の語について、社会的な慣習として恣意的に決まっている
相対的な強さや高さの配置

なので

単語の中で、肯定が不自然ではないか?

であることに注意しましょう。

単語の枠を超えて、「句末」「文末」の高低に違和感がある場合は、「アクセントの下がり目」ではなく「句末・文末イントネーション」に発音上の問題があります。

句末・文末イントネーション

「文末」とは文の最後、「句末」とは「、」の直前のことです。

学校から帰ってから、何をしましたか?

であれば、句末イントネーションは

学校から帰ってから ⤵

のように「下降調」となり、文末イントネーションは

何をしましたか? ⤴

のように「上昇調」となります。

「句末・文末イントネーション」に発音上の問題がある場合、通常は「下降調」になる句末が

学校から帰ってから ⤴

のように「上昇調」になっていたり、通常は「上昇調」になる疑問文の文末が

何をしましたか ⤵

のように「下降調」になっていたりします。

注意するのは、「アクセントの下がり目」との区別です。

本来は「低高高高」である「学校」が「高低低低」になっている

のような「個々の語」についてはアクセントの誤りですが、文全体における「、」「。」の前の高低は「句末・文末」イントネーション」の誤りが該当します。

最後に

いかがでしたか?

試験Ⅱ 問題2 は、選択肢の用語の意味を知っているだけでは不十分で

選択肢が「どのような誤りなのか?」のイメージができていること

が重要です。

この下準備ができていることで、「誤りがどこか?」の聴き取りだけに集中することができます。

年度によって選択肢は大きく変わらないので、まずは本記事で選択肢の内容理解をすることから始めていきましょう。

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