今回は、
✅ 形容動詞(ナ形容詞)とは?
✅ 形容動詞(ナ形容詞)の活用表
✅ 「意味」による形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の分類
✅ 形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の見分け方
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
形容動詞(ナ形容詞)とは?
形容動詞(ナ形容詞)は、事物の性質や状態を表す語
形容動詞(ナ形容詞)は、単独で述語になることができる「用言」の1つです。
用言には、
- 動詞
- 形容詞(イ形容詞)
- 形容動詞(ナ形容詞)
の3つがあり、動詞は
雪が降る。
池の水が凍る。
のように【動作・作用】を表すのに対して、形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)は
【形容詞(イ形容詞)】
空が青い。
【形容動詞(ナ形容詞)】
空がきれいだ。
のように【性質・状態】を表す単語です。
形容詞(ナ形容詞)の性質
自立語とは?
毎日日本語の勉強をする。
文節で区切ると、
- 毎日
- 日本語の
- 勉強を
- する
ですね。
文節とは?
文節とは、文を
- 意味がわかり
- 発音上不自然にならない程度に
- できるだけ短く
区切ったもののことです。
毎日ネ 日本語のネ 勉強をネ する。
のように「ネ」を入れて確認してみましょう。
文節の中身は、「自立語のみ」「自立語+付属語」です。
- 毎日
- 日本語の
- 勉強を
- する
「毎日」のような名詞・「する」のような動詞は、単独で文節をつくることができる自立語ですね。
「の」「を」のような助詞は、単独で文節をつくることができる「日本語」「勉強」のような自立語にくっついている付属語です。
品詞名 | 自立語or付属語 | 文における主な働き |
動詞 | 自立語 | 述語になる |
形容詞 (イ形容詞) | 自立語 | 名詞を修飾する 述語になる |
形容動詞 (ナ形容詞) | 自立語 | 名詞を修飾する 述語になる |
名詞 | 自立語 | 助詞がついて主語や補語になる 「だ」などがついて述語になる |
副詞 | 自立語 | 動詞・形容詞・形容動詞・ほかの副詞を修飾する |
連体詞 | 自立語 | 名詞を修飾する |
接続詞 | 自立語 | 文と文などを接続する |
感動詞 | 自立語 | 驚きなどの感情や応答を表す |
助動詞 | 付属語 | 動詞や形容詞などについて、複雑な述語をつくる |
助詞 | 付属語 | 名詞や動詞などについて、意味関係や伝達的な態度などを表す |
形容動詞(ナ形容詞)を含めた日本語の品詞については、以下で詳しく解説しています。
こちらも合わせてご確認ください。
活用とは?
次の文の( )に「読む」を入れてみましょう。
図書館で本を( )ます。
この本を( )ば、概要がわかると思う。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
図書館で本を( 読み )ます。
この本を( 読め )ば、概要がわかると思う。
あとに何が続くか?などの用いられ方によって、単語の終わりの部分が変化しましたね。
これが活用です。
「読む」のような動詞には、活用があることがわかります。
それでは、次はどうでしょうか?
( )に「本」を入れてみましょう。
図書館で( )を読みます。
この( )なら、概要がわかると思う。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
図書館で( 本 )を読みます。
この( 本 )なら、概要がわかると思う。
あとに続くのは「を」「なら」と違いますが、入るのはどちらも「本」そのままですね。
「本」のような名詞には、活用がないことがわかります。
品詞名 | 活用の有無 | 文における主な働き |
動詞 | 活用する | 述語になる |
形容詞 (イ形容詞) | 活用する | 名詞を修飾する 述語になる |
形容動詞 (ナ形容詞) | 活用する | 名詞を修飾する 述語になる |
名詞 | 活用しない | 助詞がついて主語や補語になる 「だ」などがついて述語になる |
副詞 | 活用しない | 動詞・形容詞・形容動詞・ほかの副詞を修飾する |
連体詞 | 活用しない | 名詞を修飾する |
接続詞 | 活用しない | 文と文などを接続する |
感動詞 | 活用しない | 驚きなどの感情や応答を表す |
助動詞 | 活用する ※ | 動詞や形容詞などについて、複雑な述語をつくる |
助詞 | 活用しない | 名詞や動詞などについて、意味関係や伝達的な態度などを表す |
形容動詞(ナ形容詞)を含めた日本語の品詞については、以下で詳しく解説しています。
こちらも合わせてご確認ください。
にぎやかな雰囲気
素敵な人
のように名詞を修飾したり、
君が必要だ。
ピーマンが苦手だ。
のように述語になったり、
静かに待つ。
きれいに掃除する。
のように述語を修飾したりします。
言い切りの形は、
- 「読む」「走る」などの動詞…ウ段の音
- 「きれいだ」「必要だ」などの形容動詞(ナ形容詞)…「~だ」
であるのに対して、
- 「赤い」「軽い」などの形容詞(イ形容詞)…「~い」
です。
形容動詞(ナ形容詞)の活用表
国文法での形容動詞(ナ形容詞)の活用表
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
きれいだ | きれい | -だろ | -で -に | -だっ-だ | -な | -なら | ○ |
必要だ | ひつよう | -だろ | -で -に | -だっ-だ | -な | -なら | ○ |
好きだ | すき | -だろ | -で -に | -だっ-だ | -な | -なら | ○ |
元気だ | げんき | -だろ | -で -に | -だっ-だ | -な | -なら | ○ |
どの形容動詞(ナ形容詞)も、活用の仕方が同じですね。
命令形に当たるものはないので、命令の意味を表すためには
- きれいにしろ
- きれいにせよ
のように、「連用形+しろ」「連用形+せよ」の形をとります。
形容動詞(ナ形容詞)は、「ない」がつく場合の活用形に注意
注意するのは、「ない」が下につく場合です。
動詞は
彼とはもう話さない。
のように「ない」が下につく場合は「未然形」でしたが、形容動詞(ナ形容詞)は
彼は元気でない。
のように「連用形」を用います。
形容動詞(ナ形容詞)の各活用形については、以下をご確認ください。
未然形 | 「う」に連なる形 例)きれいだろう |
連用形 | 「た」に連なる形 例)きれいだった 「なる・ない」などに連なる形 例)きれいになる・きれいでない |
終止形 | 言い切る形 例)きれいだ |
連体形 | 「とき・こと」などに連なる形 例)きれいなとき・きれいなこと |
仮定形 | 「ば」に連なる形 例)きれいならば |
命令形 | なし |
日本語教育文法での形容動詞(ナ形容詞)の活用表
きれいだ kireida | 必要だ hituyouda | |
語幹 | kirei- | hituyou- |
辞書形 | kirei-da | hituyou-da |
連体形 | kirei-na | hituyou-na |
ナイ形 | kirei-denai | hituyou-denai |
中止形 | ○ | ○ |
テ形 | kirei-de | hituyou-de |
タ形 | kirei-datta | hituyou-datta |
バ形 | kirei-deareba | hituyou-deareba |
命令形 | ○ | ○ |
意向形 | ○ | ○ |
「意味」による形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の分類
属性形容詞とは?
形容詞(イ形容詞)では
- 大きい
- 小さい
- 赤い
- 青い
形容動詞(ナ形容詞)では
- 便利が
- 有名だ
- 便利だ
- 真面目だ
などが該当します。
感情・感覚形容詞とは?
形容詞(イ形容詞)では
- 楽しい
- 悲しい
- だるい
- 痛い
形容動詞(ナ形容詞)では
- 好きだ
- 嫌いだ
- 心配だ
- 不安だ
などが該当します。
感情・感覚形容詞を用いるときの注意点
【一人称】○ 私は、試験に合格できてうれしい。
【二人称】× あなたは、試験に合格できてうれしい。
【三人称】× 彼女は、試験に合格できてうれしい。
一人称は自然ですが、二人称・三人称が主体だと不自然ですね。
これは、感情や感覚はその主体だけが知りえるものだからです。
話し手は、自分が知りえない内容を断定することができないので、平叙文では、基本的に感情・感覚形容詞の主体になれるのは一人称に限られます。
【二人称】○ あなたは、試験に合格できてうれしいですか?
【三人称】× 彼女は、試験に合格できてうれしいですか?
のように疑問文になると、二人称でも自然ですね。
これは、聞かれる対象になることで、感情・感覚を断定できる主体になるからです。
三人称の場合は、疑問文であっても感情・感覚を断定できる主体にはなりません。
ただし、「好きだ」「嫌いだ」のような長く続く感情・感覚は、三人称の主体を取ることができます。
【三人称】○ 長男は、消防車が好きだ。
これは、長期的な状態で外から観察できる(=感情・感覚を断定できる)状態になっているからです。
なお、長く続く感情・感覚でなくても、「がる」をつけることで三人称の主体を取ることができます。
【三人称】× 彼女は、足をぶつけて痛い。
↓
【三人称】○ 彼女は、足をぶつけて痛がっている。
これは、「がる」をつけて動詞化することで、外から観察できる(=感情・感覚を断定できる)状態になっているからです。
形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の見分け方
わたし、きれい?
下線部が形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)のどちらかを考えてみましょう。
「きれい」の言い切りの形が「きれいだ」だと知っていれば、楽勝ですね。
言い切りの形が「~だ」になるのは、形容動詞(ナ形容詞)です。
言い切りの形がわからない場合は、名詞を修飾する形にしてみます。
きれいな顔
のように、「~な」になるので、形容動詞(ナ形容詞)ですね。
見分け方のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらも合わせてご確認ください。
参考書籍
今回は、
- 形容動詞(ナ形容詞)とは?
- 形容動詞(ナ形容詞)の活用表
- 「意味」による形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の分類
- 形容詞(イ形容詞)・形容動詞(ナ形容詞)の見分け方
について、解説してきました。
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