
日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。
「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。
本講座では、主に
・言語学全般
・日本語文法
について取り扱っていきます。
・日本語教育能力検定試験の学習のため
以外にも、
・日本語教師としてレベルアップしていきたい
・現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい
という方は、ぜひご一読ください。
そもそも、私たちが勉強している「音声」はどのような学問で取り扱われているのでしょうか?
「音声学」と「音韻論」
人間は、言語を使ってコミュニケーションを行っています。
言語を使って複雑な情報を伝え合うことができるのが、人間という動物の大きな特徴です。
人間によるコミュニケーションには「音声」「文字」「ジェスチャー」の3つの主要な手段があります。
その中でも重要なのが「音声(音声言語)」です。
「音声(音声言語)」は、単に音を出すだけ…ではありません。

話し手(Aさん)は「①意味(伝えたい内容)」を「②形式(文字や文)」に記号化して、それを「③音波」として聞き手(Bさん)に伝えています。
聞き手(Bさん)は、受け取った「③音波」を頭の中で「④形式(文字や文)」に変えて、そこから「⑤意味(伝えたかった内容)」を理解しようとしています。
なんだか複雑に見えてしまうかもしれませんが、音声言語によるコミュニケーションはこのような「話し手による記号化と聞き手による解読」の繰り返しによって行われています。
Aさんが自信なさそうに小さな声で伝えていたら、「③音波」の部分がBさんに届きません。
仮に「①意味(伝えたい内容)」が『Bさんとデートしたい』だったとしても、「②形式(文字や文)」の選択を間違えたら、Bさんにその想いが伝わらないことも…。
ひょっとしたら、きちんと言葉にして伝えたとしても、Bさんからすれば「Aさんはただの友達」なので「④→⑤形式の解読」で『ただ、映画に誘われただけ』だと思われてしまうかもしれません。
話が逸れました。
言語学において、この音声そのものを研究するのは「音声学(phonetics)」と「音韻論(phonology)」です。
「音声学」は、話し手による音声を作り出す過程と、聞き手による音声の知覚の過程を探る分野です。
音声実験で詳細な音声データを収集・分析します。
上の図であれば、③の部分です。
物理的に言語音を研究する分野なので、音声学を物理学の一部だと見なして、言語学の外側にある分野として扱うこともあります。
一方の「音韻論」は、人間が頭の中で行っている操作を研究する分野です。
音声現象の背後にある音韻規則や原理を明らかにしようとします。
上の図であれば、②の部分です。
「音声学」で取り扱う内容
「音声学」は、何を研究テーマにするかによって細分化されます。
発音に関わる器官をどのように使って個々の音声が作り出されるのかという観点から音声の特徴を記述する「調音音声学」、空気中を伝わる物理的な波動として特別な機械などを使用して音声の特徴を分析する「音響音声学」などです。
「調音音声学」は、日本語教育能力検定試験でも
試験Ⅰ 問題1 (1)
試験Ⅱ 問題3
などで出題されているので、イメージが湧きやすいかと思います。
「音響音声学」は、コンピュータを使って分析するので、より工学に近づくイメージです。
医学・生理学に近づいた分野では、「聴覚音声学」があります。
人間による音声の認識がどのような過程で実行されているかを対象としており、鼓膜や聴覚神経・脳などの意缶が音声の認識においてどのような役割を果たすのかを研究しています。
「音韻論」で取り扱う内容
「藤」は音読みで「トウ」ですが、「佐藤」は「トウ」なのに「近藤」だと「ドウ」です。
「それでは、他の●藤さんは濁るの?濁らないの?」
「このパターンだと濁る!」
というような音声現象の背後にある規則・原理を探るのが「音韻論」です。
(ちなみに、私は↑の規則性を見つけられませんでした。わかった方はぜひ教えてください。)
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参考書籍
今回は、以下を参考にしています。