【言語学】言語音のつくり方_声帯振動【日本語を基礎から、もう1度】

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「日本語」を基礎から、もう1度

日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。

「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。

本講座では、主に

言語学全般

日本語文法

について取り扱っていきます。

日本語教育能力検定試験の学習のため

以外にも、

日本語教師としてレベルアップしていきたい

現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい

という方は、ぜひご一読ください。

私たちの「言語音」は、どこを通ってきているのでしょうか?

前の記事はこちら

声帯振動

まず、周りに人がいないか確認しましょう。
……確認しましたね?

それでは、大きな声で「パー」と言ってみてください。
直前までは閉じていた口が開き、息の流れを感じることができたら、それでOKです。
「え…?よくわからなかった…」という方は、もう1回やってみましょう。
音声学は「実際にやってみる」がとても大切です。

肺からの空気が気管からのどを通り、口の中を通って外に出ていきましたね。
この肺から出てくる空気のことを「呼気(こき)」と言うので、覚えておいてください。

大半の言語音は、呼気の流れを加工することで作られます。
「呼気の流れを加工」とは、
・通り道を狭めたり
・完全に止めてみたり
・鼻の方に流してみたり
することです。

言語音をつくる際に使う器官を「音声器官」と言います。
・唇
・歯
・歯茎
などですね。

「あれ…?『調音器官』じゃないの…?」と思った方は、超優秀です。
「音声器官」とは、言語音を作るために使う器官すべてをさしています。
「調音器官」とは、「音声器官」のうち「声帯よりも上にあるもの」のことです。

図で見ていきましょう。

この図を「口腔断面図」と言います。
医学用語では「こうくう」ですが、言語学では「こうこう」なので、「こうこうだんめんず」です。
恥ずかしながら、私は日本語教育能力検定試験の受験時「こうくうだんめんず」だと思っていました。
(ちゃんと合格しました。)

肺から出た空気は気管を抜けて、「声門」を通ります。
「声門」は肺からつながる気管の出入り口です。

「声門」には、左右に「声帯」と呼ばれる薄い膜がついています。
通路が「声門」、「声門」についている膜が「声帯」です。
その隙間を呼気が通る際に「声帯」が振動して「声」になるのですが、この「声」は一般的に用いる「声」とは意味が異なります

冒頭でやったように、もう1度大きな声で「パー」と言ってみましょう。
「ー」の部分で、声帯が振動しているのを感じることができるのではないでしょうか?
音声学では、この「声帯振動」のことを「声」と呼んでいます。
声帯振動が「ある」音が「有声音」、声帯振動が「ない」音が「無声音」です。

「無声音」という言葉があるように、すべての言語音に「声帯振動」があるわけではありません。

今度は伸ばさずに、短く [p] だけ発音してみましょう。
唇で呼気を一時的に閉鎖→開放しただけで、声帯は振動していないはずです。

同じように、短く [ b ] だけ発音してみましょう。
唇で呼気を一時的に閉鎖→開放は同じですが、今回は声帯が振動しているのを感じられると思います。この場合、[ p ] は声帯振動がない「無声音」、[ b ] は声帯振動がある「有声音」です。

「あれ…?括弧の書き方変わった?」と気づいていただけましたか…?
音声学では、音声記号を [   ] で記載します。
これはルールなので「へぇ、そうなんだ」くらいの認識で大丈夫です。

また、一般的に「音声記号」と言われたら「国際音声記号(IPA)」のことを指しています。
色々なサイトがあるのですが、個人的にはWikipediaが見やすいです。

[ h ] この音声記号、覚えていますか…?
日本語のカナでは「ハ・へ・ホ」で使います。
[ h ] は「無声声門摩擦音」と表します。
「無声・声門・摩擦音」で、声帯振動の有無が「無声」・調音点が「声門」・調音法が「摩擦音」です。
(調音点・調音法については、次回以降の記事でご案内します。)

[ h ] は無声音なので、声帯は振動していません。
しかし、「声門」で呼気が「摩擦」されてできる音なので、「声門」の通り道は完全には閉鎖されてはいないものの狭まっていることがわかります。

子音の音声記号は、それぞれ「声帯振動の有無・調音点・調音法」が設定されています。
[ n ] 有声歯茎鼻音
[ k ] 無声軟口蓋破裂音
といった形です。

そのため、理論上は音声記号が載っている辞書さえあれば、その言語の発音を再現することができる…はずです。
なんだか、夢が広がりますよね。

今回はここまでにしましょう。
次回からは、少し細かい領域に入っていきます。

参考書籍

今回は、以下を参考にしています。

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