今回は、
✅ 調音点(調音位置)とは?
✅ 国際音声記号(IPA)における調音点一覧
について、一緒に勉強していきましょう。
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基礎から学ぶ 音声分野
調音点(調音位置)とは?
音声学において、呼気をせき止めたり、通り道を狭めたりして音をつくることを「調音」と言います。
この「調音」が行われる位置が「調音点」です。
調音器官とは、人が言語音をつくるときに使用する音声器官のことで、
- 口腔上部のような固定されている受動的調音器官
- 舌のような動いて接触・接近する能動的調音器官
に分かれています。
上の図を見ながら、調音点を確認していきましょう。
- 唇
- 歯
- 歯茎
あたりは、大丈夫ですね。
注意するのは、医学では「歯」「歯茎」とはすべての「歯」「歯茎」ですが、音声学では「調音に関わる部分だけ」であることです。
具体的には、「歯」は上顎の前歯2本、「歯茎」は上顎の前歯2本の歯茎を指しています。
舌を歯→歯茎のように、そのまま喉奥に向かって下げていくと、少し出っ張っている部分がわかると思います。
この出っ張っている部分が「歯茎硬口蓋(しけいこうこうがい)」です。
そこから、さらに下がっていくと、口の中と鼻の中を隔てる壁である「口蓋(こうがい)」があります。
「口蓋」は頭骨の一部が通っていて硬さのある「硬口蓋(こうこうがい)」と、骨が通っておらず柔らかい「軟口蓋(なんこうがい)」に分かれています。
調音点としては出てきませんが、軟口蓋の後半の上下動する部分が「口蓋帆(こうがいはん)」です。
口蓋帆が下がると鼻腔への通路が確保され、上がると閉ざされて呼気が口腔に流れます。
口蓋帆の終端から垂れ下がっている小さな肉片を「口蓋垂(こうがいすい)」と言います。
いわゆる「のどびこ」「のどちんこ」のことです。
「口蓋帆」自体は調音点として出てきませんが、「口蓋垂」は語末の「ン」の音の調音点として出てきます。
唇は上唇と下唇で調音ができますが、歯・歯茎などはその器官だけで呼気を止めたり、通路を狭めたりすることはできないですね。
そこで登場するのが「舌」です。
医学では「した」と読みますが、音声学では「ぜつ」と読みます。
「舌(ぜつ)」は先端から「舌尖(ぜっせん)」「舌端(ぜったん)」「前舌(ぜんぜつ)」「中舌(ちゅうぜつ)」「後舌(こうぜつ)」「舌根(ぜっこん)」に分かれます。
これらは語からイメージできるので、図がなくても大丈夫ですね。
国際音声記号(IPA)における調音点一覧
両唇音 | ※ 日本語の「マ行」「パ行」「バ行」「フ・ファ・フェ・フォ」の子音 | 上唇と下唇で調音
唇歯音 | ※ 日本語の子音にはない音 ※ fix や van の最初の子音が該当 | 下唇と上歯で調音
歯音 | ※ 日本語の子音にはない音 ※ thank や that の最初の子音が該当 | 舌尖あるいは舌端と上歯の裏とで調音
歯茎音 | ※ 日本語の「ナ・ヌ・ネ・ノ」「タ・テ・ト」」「ダ・デ・ド」の子音 | 舌端と歯茎とで調音
後部歯茎音 | ※ 日本語の子音にはない音 ※ ship の最初の子音が該当 | 舌端と歯茎の後部とで調音
そり舌音 | ※ 日本語の子音にはない音 | 舌尖と歯茎の後部とで調音
硬口蓋音 | ※ 日本語の「ヒ・ヒャ・ヒュ・ヒョ」の子音 | 前舌と硬口蓋とで調音
軟口蓋音 | ※ 日本語の「カ行」「ガ行」の子音 | 後舌と軟口蓋とで調音
口蓋垂音 | ※ 日本語の語末の「ン」の子音 | 後舌と口蓋垂とで調音
咽頭音 | ※ 日本語の子音にはない音 | 舌根と咽頭壁とで調音
声門音 | ※ 日本語の「ハ・へ・ホ」の子音 | 左右の声帯で調音
「あれ…?歯茎硬口蓋音がない…!!」と気づいた方は、さすがです。
実は、「歯茎硬口蓋」は日本語の音声を記述する上では超重要なのですが、国際音声記号(IPA)では基本的な調音点(調音位置)としての地位を与えられていないんです。
上記の表と同じように表現するのであれば、
歯茎硬口蓋音 | ※ 日本語の「ニ・ニャ・ニュ・ニョ」「チ・チャ・チュ・チョ」「シ・シャ・シュ・ショ」「ジ・ジャ・ジュ・ジョ」の子音 | 舌端と歯茎および硬口蓋とで調音
となります。
最後に
今回は、
✅ 有声性とは?
✅ 日本語では、どれが有声音でどれが無声音なのか?
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。
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