今回は、
✅ テンスとは?
✅ テンスに関する副詞的成分
✅ テンスが制限される場合
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
テンスとは?
日本語のテンスは、
① 図書館に行く。
② 図書館に行った。
のように、述語の① 非過去形・② 過去形の形態的な対立によって表されます。
アスペクトは、「動きの時間的局面の取り上げ方」を表す文法カテゴリなので、現れるのは動詞述語文のみでした。
テンスには、述語の制限はありません。
【動詞文】
行く ⇔ 行った
行きます ⇔ 行きました
【イ形容詞文】
美しい ⇔ 美しかった
美しいです ⇔ 美しかったです
【ナ形容詞文】
素敵だ ⇔ 素敵だった
素敵です ⇔ 素敵でした
【名詞文】
先生だ ⇔ 先生だった
先生です ⇔ 先生でした
のように、どの述語タイプにも現れます。
テンスに関わる副詞的成分
発話時を基準とする副詞的成分
昨日、図書館に行った。
であれば、発話時である「今日」よりも1日前であることが
明日、図書館に行く。
であれば、発話時である「今日」よりも1日後であることがわかりますね。
「昨日」「明日」という副詞的成分に合わせて、述語の形態も変化しており、
× 昨日、図書館に行く。
× 明日、図書館に行った。
のように、副詞的成分と述語の形態が噛み合わないと、文として成立しません。
発話時を基準とした副詞的成分には、
今、現在
一昨日、昨日、今日、明日、明後日
先週、今週、来週
先月、今月、来月
去年、今年、来年
などがあります。
発話時を基準としない副詞的成分
○ 昨日、図書館に行った。
× 昨日、図書館に行く。
のように、発話時を基準として過去にあたる「昨日」は、非過去形である「行く」と一緒に用いることができません。
一方、
○ 19時に帰宅する。
○ 19時に帰宅した。
のように、「19時に」は、非過去形である「帰宅する」・過去形である「帰宅した」のどちらでもOKですね。
- 発話が帰宅前の17時であれば、非過去形の「帰宅する」
- 発話が帰宅後の21時であれば、過去形の「帰宅した」
が用いられます。
発話時を基準としない副詞的成分には、
1時、1日、1月
2024年、令和6年
21世紀
元日、クリスマス
などがあります。
テンスが制限される場合
基本的なテンスの考え方
① 図書館に行く。
② 図書館に行った。
①は「非過去形」・②は「過去形」ですね。
①は現在~未来・②は過去を表しています。
通常、非過去形⇔過去形という形態の対立によってテンスが表されるのですが、文によっては、この対立が存在しない場合があります。
非過去形・過去形というテンス形式を持たない場合
③ 明日までに宿題を終わらせなさい。
④ 明日までに宿題を終わらせよう。
③は「命令」・④は「意志」を表していますね。
「宿題を終わらせる」のは発話時よりも後…という時間的な特徴はありますが、これらの文で過去形が現れることはありません。
また、
⑤ アルバイトで授業料を稼ぎながら、大学に通った。
⑥ 大学を卒業して、商社に就職した。
のような⑤ 従属節の内部・⑥ テ形による節の述語の場合も、過去形が現れることはないですね。
これらの場合も、テンスが制限されています。
非過去形が脱時間的になる場合
1 玉ねぎをみじん切りにする。
2 玉ねぎをサラダ油で炒める。
3 玉ねぎの粗熱を取る。
のような何らかの手順を説明する場合や、
彼の方を向く。
ゆっくりと歩み寄り、手前で立ち止まる。
のようなシナリオのト書きの場合にも、テンスが制限されます。
テキストの性質から非過去形が脱時間的になって、テンス的な意味を表さなくなるからです。
これらは、ただ動きの概念を示し、文を並べた順に事態が進行することを表しています。
形態としては非過去形ですが、テンス的な意味はありません。
参考書籍
今回は、
✅ テンスとは?
✅ テンスに関わる副詞的成分
✅ テンスが制限される場合
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。
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