現職の日本語教師でない場合、「登録日本語教員」を取得するためにどのルートを選ぶべきか悩みますよね…
この記事では、各ルートのメリット・デメリットとそれぞれのルートで今後どのような動きが必要かについて解説しています。
そもそも登録日本語教員って…?という場合は、まずこちらからご確認ください。
国家資格「登録日本語教員」の創設で現職の日本語教師はどうなる?資格取得の経過措置・移行期間を徹底解説!
未経験者が国家資格「登録日本語教員」を取得するルートは、大きく2つ
日本語教師に求められている教育内容が身についていることを
- 養成課程のカリキュラムを修了する
- 基礎試験と応用試験からなる日本語教員試験に合格する
のいずれで証明するかによって、下の図のように分かれています。
養成機関ルートが2つに分かれていますが、これは
- 登録実践研修機関・登録教員養成機関の両方で登録を受けている
- 登録教員養成機関としてだけ登録を受けている
という違いによるものです。
兼 登録教員養成機関 | 登録実践研修機関登録教員養成機関 |
大学等26単位~ 専門学校等420単位時間~ | 大学等25単位~ 専門学校等375単位時間~ |
となっており、大学等で1単位・専門学校等で45単位時間の差分がありますね。
これは、養成課程の中での教育実習の実施有無によるものです。
「養成課程を受ける先を2か所探すのは大変なので、①のように登録実践研修機関を兼ねているところの方が良いのでは…?」なるかと思いますが、必ずこの選択肢があるわけではありません。
2024年(令和6)年3月31日までの旧制度でも日本語教師養成講座が地方だと選択肢がないように、登録実践研修機関・登録教員養成機関の両方で登録を受けるだけの規模感がある養成課程が近くにないこともありえるからです。
その場合は、通いやすいところにある登録教員養成機関を修了した上で、スポットで別の登録実践研修機関に通うことになります。
養成機関ルートと試験ルート、どちらが良いの?
一時的な費用と見るか、長期的な投資と見るか?
費用だけ見れば、講座受講だけで数十万円かかる養成機関ルートに比べて、基礎試験+応用試験で18,900円の試験ルートの方がお得に見えますね。
この費用を安く抑えられる点が、試験ルートの最大のメリットだと言えます。
一方の養成機関ルートの最大のメリットは、体系的に求められている教育内容を網羅できる点です。
これを試験ルートで実現できる可能性は、限りなく低いのではないでしょうか?
養成課程で求めれるカリキュラムと日本語教員試験の試験範囲は、どちらも同じ「必須の50項目」です。
「必須の50項目」とは?
「必須の50項目」とは、2019年(平成31年)3月4日に文化審議会国語分科会が提出した「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」に記載されている「日本語教師【養成】における教育内容」の項目のことです。
上記リンクのP43を見てみましょう。
「必須の教育内容」の列で
(1)世界と日本の社会と文化
(2)日本の在留外国人施策
と続いているのが「必須の50項目」です。
養成課程ではこの50項目を一通り取り扱いますが、日本語教員試験では多肢選択式である関係上、触れられない分野が出てきます。
4択が作りやすい分野・作りにくい分野があるからです。
もちろん学習段階できちんと網羅的にクリアできれば良いのですが、プロが420時間かけて教えるカリキュラムを適切なテキストなしで同時間・より少ない時間でこなすのは、かなり難しそうですね。
多くの場合、
- 養成課程経由…お金をかけて、時間を削る
- 試験経由…時間をかけて、お金を削る
なので、どちらに重点を置くかがポイントです。
「登録日本語教員」取得に向けて、いつから動き出せるのか?
養成機関ルートの場合、通える範囲の養成講座が
- 登録教員養成機関だけ
- 登録実践研修機関だけ
- 登録教員養成機関・登録実践研修機関の両方
の登録を受けているかは、2024(令和6)年秋頃までわかりません。
各養成課程に問い合わせれば、どの区分で文部科学省に申請をしているかは教えてもらえるかもしれませんが、登録のタイミングを待った方が確実です。
試験ルートの場合、2024(令和6)年秋頃に試験実施なので、試験申込は2024(令和6)年夏頃が想定できます。
従来の日本語教育能力検定試験と同タイミングだとすれば、7月中旬~末に申込・10月第4週に試験実施です。
文部科学省に登録申請ができるのは、いつからか?
養成機関ルートの場合、
- 養成講座を選べるようになるのが、2024(令和6)年秋頃から
- 養成講座は、トータルが最低420時間なので、通学期間の目安が約6ヶ月
試験ルートの場合、
- 試験実施が2024(令和6)年秋頃なので、合格発表は同冬頃を想定
- 合格後に実践研修を修了する必要がある
であるため、2024(令和6)年度中に登録申請までたどりつくのは、かなりハードルが高いことが想定されます。
最後に
- 未経験者が国家資格「登録日本語教員」を取得するための2つのルート
- 養成機関ルートと試験ルート、どちらが良いの?
- 「登録日本語教員」取得に向けて、いつから動き出せるのか?
- 文部科学省に登録申請ができるのは、いつからか?
について、解説してきました。
これ以外にも、一次情報をベースにした登録日本語教員の記事を多数掲載しています。
ぜひ、あわせてご確認ください。