「上で」の2つの用法【例文で学ぶ 日本語文法】

「上で」の意味・使い方

「上で」には、同時点・時間的な先行の2つの用法がある

「上で」には、同時点を表す用法・時間的な先行を表す用法の2つがあります。

日本語を勉強する上で、難しかったことは何ですか？

• 日本語を勉強する
• ●●が難しかった

は、時間的な差がないですね。
主節の事態・従属節の事態のいずれかが先行するのではなく、同時点に発生していることがわかります。

これが1つ目の「同時点を表す用法」です。

上司に相談した上で、返答いたします。

• 上司に相談する
• 返答する

は、同時点での出来事ではないですね。
「上司に相談する → 返答する」の時系列であり、「上で」がついた従属節の事態が主節の事態よりも先行することを表しています。

これが2つ目の「時間的な先行を表す用法」です。

「上で」の接続

「上で」は、動詞の終止形（辞書形）に接続します。

【同時点を表す用法】
日本で暮らす上で、注意することはありますか？

【時間的な先行を表す用法】
十分に話し合った上で、結論を出そう。

からわかるように、

• 動詞の非過去形に接続 … 同時点を表す用法
• 動詞の過去形に接続 … 時間的な先行を表す用法

です。

「上で」の類似表現

同時点の「上で」の類似表現は、「にあたり」「にあたって」「に際して」

同時点を表す用法での「上で」の類似表現は、「にあたり」「にあたって」「に際して」です。

日本語を勉強する上で、難しかったことは何ですか？
日本語を勉強するにあたり、難しかったことは何ですか？
日本語を勉強するにあたって、難しかったことは何ですか？
日本語を勉強するに際して、難しかったことは何ですか？

のように、「上で ⇔ にあたり ⇔ にあたって ⇔ に際して」を置き換えても不自然ではないですね。

「にあたり」「にあたって」「に際して」は、動詞の辞書形以外にも名詞に接続することも可能です。
その場合は、

× 日本語の勉強上で、難しかったことは何ですか？
○ 日本語の勉強にあたり、難しかったことは何ですか？
○ 日本語の勉強にあたって、難しかったことは何ですか？
○ 日本語の勉強に際して、難しかったことは何ですか？

のように、「上で」を用いることができないので、注意しましょう。

時間的な先行の「上で」の類似表現は、「から」

時間的な先行を表す「上で」の類似表現は、「から」です。

上司に相談した上で、返答いたします。
上司に相談してから、返答いたします。

のように、「上で ⇔ から」を置き換えても不自然ではないですね。

「上で」が動詞の終止形（辞書形）に接続するのに対して、「から」は連用形+「て」（テ形）に接続します。

また、

× 父が帰宅した上で、母が出かけた。
○ 父が帰宅してから、母が出かけた。

のような主節・従属節で主語が違う場合や

× 家を出た上で、祝日であることに気づいた。
○ 家を出てから、祝日であることに気づいた。

のような主節の事態が無意志的な場合には、「上で」が使えないので注意しましょう。

参考書籍

今回は、
✅ 「上で」の意味・使い方
✅ 「上で」の類似表現
について、解説してきました。

を主に参考にしています。

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