【平成30年度 日本語教育能力検定試験 過去問】試験Ⅲ 問題10の解説!

日本語教育能力検定試験

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問1 モニターモデル

解説 モニターモデル

「モニターモデル」とは、クラッシェンが提唱した
● 自然習得順序仮説
● 習得・学習仮説
● モニター仮説
● インプット仮説
● 情意フィルター仮説
などの第二言語習得理論全体のことです。

教授法ではナチュラル・アプローチとして具現化されています。

解説 自然習得順序仮説

「自然習得順序仮説」とは、言語を習得するにあたり、教える順序は関係なく、習得する自然な順序があるとする仮説のことです。

解説 習得・学習仮説

「習得・学習仮説」とは、幼児が母語を身に着ける際の「習得」と、学校などで意識的に身に着ける「学習」があるとし、「学習」で得た知識は「習得」の知識にはつながらないとする仮説のことです。

解説 モニター仮説

「モニター仮説」とは、「学習」は「習得」にはならないが、発話の際に修正・チェックをする「モニター」として働くとする仮説のことです。

解説 インプット仮説

「インプット仮説」とは、学習者が言語を身に着ける際に「理解可能なインプット(i+1)」を通して進むという仮説のことです。
「i」はその時点での学習者の言語能力を、「+1」は少し高いレベルを指しています。
未習の語彙であっても文脈などから推測できる範囲のインプットを与えることで、言語習得が進むとされています。

解説 情意フィルター仮説

「情意フィルター仮説」とは、学習者の動機の低迷や不安などがフィルターとなり、その「情意フィルター」が高くなることで言語習得が進まなくなるとする仮説のことです。

その答えになる理由

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

1 「モニター仮説」の内容ですが、前半が間違っています。
モニターの役割を果たすのは、
 × 習得によって得た知識
 〇 学習によって得た知識 
です。

2 「習得・学習仮説」の内容です。これが正解です。

3 クラッシェンの「モニターモデル」の内容ではなく、ロングの「インターアクション仮説」の内容です。
「インターアクション仮説」では、他者との言語を使ったやり取り(インターアクション)をする中でお互いに意味交渉することが言語習得を促すとされています。

4 「インプット仮説」の内容ですが、前半が間違っています。
言語習得を促進するのは、未習の語彙や表現がないように調整したインプットではなく、「理解可能なインプット(i+1)」です。

問2 ナチュラル・アプローチ

解説 ナチュラル・アプローチ

「ナチュラル・アプローチ」とは、テレルによって提唱・クラッシェンによって理論化された成人のための外国語教授法のことです。

● 学習者が自然に話し出すまで、発話を強制しない
● 学習者の発話に誤りがあっても、不安を抱かせないために直接的な訂正は行わない
● 学習者が話し始める前の段階では聴解のみ行い、動作による反応や「はい」「いいえ」のみで理解を確認する
といった特徴があります。

その答えになる理由

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

「ロッド」「サウンド・カラー・チャート」などの専用の教具が出てくるのは、ガッテーニョが提唱した「サイレント・ウェイ」です。
1は間違いです。

「ナチュラル・アプローチ」では、学習者に不安を抱かせないために「適宜指導」のような直接的な訂正は行いません。
2は間違いです。

インプットの繰り返しにより言語構造の習得を目指すのは「オーディオリンガル・メソッド」です。
3は間違いです。

「ナチュラル・アプローチ」は、クラッシェンの「モニターモデル」が理論背景にあります。
「モニターモデル」における「インプット仮説」の内容にあたるため、4が正解です。

問3 社会言語能力

解説 文法能力

「文法能力」とは、カナルが唱えた伝達能力を構成する能力の1つで、語彙や文法を正確に使用できる力のことです。

解説 社会言語的能力

「社会言語能力」とは、カナルが唱えた伝達能力を構成する能力の1つで、場面に応じて適切な表現を使用できる力のことです。

解説 ストラテジー能力

「ストラテジー能力」とは、カナルが唱えた伝達能力を構成する能力の1つで、コミュニケーションを円滑に行うための力のことです。
伝達が上手くいかなった際の対応の仕方などが含まれます。

解説 談話能力

「談話能力」とは、カナルが提唱した伝達能力を構成する能力の1つで、発話を理解し構成する力のことです。
会話の切り出し方や、発話の順番の取り方などが含まれます。

その答えになる理由

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

1 社会言語能力の内容です。これが正解です。
2 談話能力の内容です。
3 文法能力の内容です。
4 ストラテジー能力の内容です。

問4 「理解可能なアウトプット」を引き出す授業活動の例

解説 プロセシング・インストラクション(処理指導)

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「プロセシング・インストラクション」とは、学習者に文法形式を含んだインプットを与えることによって意味理解を集中的に経験させ、インプットからインテイクへと導く指導のことです。

解説 インフォメーション・ギャップ・タスク

「インフォメーション・ギャップ・タスク」とは、情報のギャップを意図的にタスク内に作ることで、学習者同士の活発なコミュニケーションを促す活動のことです。

解説 パラレル・リーディング

「パラレル・リーディング」とは、音声を聴き取りつつ、スクリプトを目で追いながら、流れる音声に自分の声を重ねて、音声を真似る要領で発話するトレーニングのことです。
「オーバーラッピング」とも言います。

解説 サイト・トランスレーション

「サイト・トランスとレーション」とは、文章を「チャンク」と呼ばれる意味の塊ごとに区切り、前から訳していくトレーニングの方法のことです。
通訳者を目指す人や通訳者の間では、同時通訳の一般的な練習方法の一つとして知られています。

その答えになる理由

「理解可能なアウトプット」を引き出すことが目的なので、他者とのやり取りが必要です。
2が正解です。

問5 日本語指導が必要な外国人児童生徒等

その答えになる理由

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

1 参考はこちら
JSLカリキュラム開発の基本構想では、継承語の保持について記載はありません。

2 選択肢自体は正しいですが、国際交流基金の管轄は文部科学省ではなく外務省です。

3 参考はこちら
文部科学大臣が定める一定の要件を満たす、「日本語の能力に応じた特別の指導」を行う場合、「特別の教育課程」を編成・実施することができるとされています。
これが正解です。

4 参考はこちら
「DLA」は単なる筆記テストではなく「話す」「読む」「書く」「聞く」の4技能を使用します。

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