
令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題15
の解説をしていきます。
お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。
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問1 アイヌ語
解説 膠着語
「膠着語」とは、形態的類型論から言語を分類したときに「語形変化が規則的」な特徴を持つタイプを指します。
代表的な言語は、
●日本語
●韓国語
などです。
実質的な意味を持つ「語幹」に「接辞」がつく構造であり、その切れ目がはっきりしています。
日本語であれば「話す→話した」、英語であれば「play→played」などの語形変化が該当します。
※ 英語は、膠着語・屈折語・孤立語のいずれの語形変化も持っています。
解説 屈折語
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「屈折語」とは、形態的類型論から言語を分類したときに「語形変化が変則的」な特徴を持つタイプを指します。
代表的な言語は、
●ロシア語
●ドイツ語
などです。
語そのものが変化することによって示され、その境界ははっきりとしません。
英語の「go→went」のような語形変化が該当します。
解説 孤立語
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「孤立語」とは、形態的類型論から言語を分類したときに「語形変化がない」特徴を持つタイプを指します。
代表的な言語は、
●中国語
●ベトナム語
などです。
名詞・動詞・形容詞など、全ての語が語形変化を持ちません。
英語の「put→put」のような語形変化が該当します。
解説 抱合語
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「抱合語」とは、形態的類型論から言語を分類したときに「語に他の意味が複合されて、語だけで文に相当するような意味を持つ」特徴を持つタイプを指します。
●アイヌ語
が代表的です。
その答えになる理由
アイヌ語は「抱合語」に分類されますが、語順は日本語と変わりません。
2が正解です。
問2 アイヌ民族支援法
解説 アイヌ民族支援法
「アイヌ民族支援法」とは、アイヌ民族を初めて先住民族と明記し、従来の文化振興や福祉政策に加えて、地域や産業の振興などを含めたさまざまな課題を解決することを目的とした法律のことです。
その答えになる理由
サービス問題ですね…‼
「アイヌ民族支援法」の内容を知らなくても解けます。
3が正解です。
「公用語」とは公文書などで使われる「国家がその使用を公的に認めている言語」のことです。
日本では法律で公用語自体を定めていないため、アイヌ語が公用語だという明記はありません。
問3 ヤマトグチ
解説 ヤマトグチ
「ヤマトグチ」は、漢字だと「大和口」と書きます。いわゆる標準語のことです。
解説 ピジン クレオール
お互いに異なる言語を話す人同士が出会ったときに、コミュニケーションのためにお互いの言語の要素を混成して作る言語のことを「ピジン」と言います。
また、ピジンが、長期間使用されているうちに共通の言語として使用されるようになった場合、区別して「クレオール」と言います。
その答えになる理由
基本的に、方言は隣接する地域と近しくなります。
1は間違いです。
第二次世界大戦後、沖縄では「ウチナーヤマトグチ(沖縄大和口)」という方言が確立されていきました。
沖縄の住民が標準語を受容していった結果できた方言で、文法は標準語とほぼ同じ・アクセントや語彙に特徴があります。
2が正解です。
歴史の授業からわかるように、文書資料が残っていないということはありません。
3は間違いです。
現在の沖縄方言が英語の影響で生じたクレールであれば、英語由来の言葉が残っているはずです。
4は間違いです。
問4
解説 アーカイブ
「アーカイブ」とは、重要記録を保存・活用し、未来に伝達することを指します。
一般的には、公的な記録の保存のことです。
解説 方言札
言語の標準化政策の中で行われた取り組みの中で、学校で方言を使うと「方言札」というものを首からぶら下げられる罰を与えられていました。
「方言撲滅運動」と呼ばれる活動の1つです。
特に沖縄県では特に強く推し進められ、標準語の使用を強制させる「方言矯正教育」が行われていました。
その答えになる理由
「方言札」の内容を知っているか・知らないかですね。
4が正解です。
問5 手話
その答えになる理由
手話は、平成25年度試験以来の出題です。久しぶりですね。
「ディスレクシア(dyslexia)」とは、文字の読み書きに限定した困難さを持つ疾患のことです。
ろう者は関係ないので、1は間違いです。
言語が異なるように、手話も国によって異なります。
2は間違いです。
日本では公的場面での手話通訳は、義務まではされていません。
3は間違いです。
日本手話は、ろう者同士の交流から生まれているので、日本語と同じ言語体系にはなっていません。
4が正解です。