
令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題11
の解説をしていきます。
お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。
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前の問題はこちら
問1 内発的動機づけ
解説 内発的動機づけ
「内発的動機づけ」とは、自分の内側から湧き起こる動機づけのことです。
「興味がある」「おもしろい」などが、例として挙げられます。
解説 外発的動機づけ
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「外発的動機づけ」とは、何らかの報酬を得ることが目的である動機づけのことです。
「ほめられたい」「お金が欲しい」などが、例として挙げられます。
その答えになる理由
2が正解で、その他は「外発的動機づけ」の内容です。
問2
その答えになる理由
1のように、細かすぎる指摘は学習者の意欲を削いでしまいます。
これが正解です。
2のように、少し上のゴール設定をすることは、学習者の意欲向上につながります。
3のように、プラスでわかりやすいゴール設定をすることは、学習者の意欲向上につながります。
4のように、適宜ポジティブな言葉をかけることは、学習者の意欲向上につながります。
問3 ビリーフ
解説 ビリーフ
「ビリーフ」とは、言語習得において、どのようにすれば身に付けられるかの「考え方・信念」のことです。
教師側のビリーフと学習者側のビリーフがあり、両者が一致していればプラスな影響、異なっていればマイナスな影響を受けます。
その答えになる理由
学習者の言語習得における考え方が変わることで、習熟度が大きく伸びたり、逆に伸び悩んでしまったりすることは多々あります。
1は間違っていません。
母国の教育方針が文法中心であった学習者が、コミュニケーション中心の授業を受けると上手くいかないことがあります。
2は間違っていません。
ビリーフは「考え方」なので、授業活動の影響を受けて変化します。
3が間違いです。
ビリーフは「考え方」なので、行動と合致しないこともありえます。
4は間違っていません。
問4 言語適性
解説 言語適性
「言語適性」とは、外国語の習得のしやすさのことです。
その答えになる理由
外向的・内向的が言語習得に影響を与えることはありますが、どちらが最終的な言語能力の高さに有利…というわけではありません。
1は、間違いです。
音を語のまとまりとして認識し再生する能力は、「言語適性(センス)」によるものであり、習得の初期段階で有利に働きます。
2が、正解です。
相手や状況に合わせて言葉選びができる能力は、「言語適性(センス)」ではなく「言語能力(訓練)」の影響を受けます。
3は、間違いです。
指導方法が学習者の特性に合えば効果はプラスになり、合わなければマイナスになります。
4は、間違いです。
問5 オートノミー
解説 オートノミー
「オートノミー」とは、その人の「自律性」のことです。
その答えになる理由
目標設定をして、それを達成するための学習活動を自分で考えさせることで自律性が育ちます。
1が、正解です。
教師が自身の教育経験のみから学習法を指定するのでは、学習者の自律性は育ちません。
2は、間違いです。
教師が独習用のテキストを決めるのでは、学習者の自律性は育ちません。
3は、間違いです。
この選択肢が間違いやすいですね。
一見正解のようなのですが、教師が授業をするのは自律学習ではありません。
4は、間違いです。