平成29年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題13
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 本来の発音を簡略化した言い方
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1 「だめになる」「やりなさい」
2 「書いてはだめ」「飲んではだめ」
3 「持っていく」「置いておく」
4 「分からない」「そうなのです」
2が正解です。
問2 アコモデーション理論
解説 アコモデーション理論
「アコモデーション理論」とは、ジャイルズらが提唱した相手によって自分の話し方を調節する現象を説明するための理論のことです。
現地の人との距離を縮めるためにその地方の方言を使用したり、逆に心理的距離を遠ざけるために自分の出身地の方言を使用し続けたり…といったことが例として挙げられます。
前者のことを「言語的収束(コンバージェンス)」、後者のことを「言語的分岐(ダイバージェンス)」と言います。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、校長先生が小学生の話し方に近づけているので、アコモデーション理論における「言語的収束(コンバージェンス)」の例です。
2は、東北出身者が方言に否定的な友人から距離を取る話し方をしているので、アコモデーション理論における「言語的分岐(ダイバージェンス)」の例です。
3は、丁寧体・普通体を使い分けているだけなので、問3で聞かれている「スピーチレベルが切り替わる(スピーチレベルシフト)」例です。
4は、旅行代理店の社員が客の話すスピードに近づけているので、アコモデーション理論における「言語的収束(コンバージェンス)」の例です。
3が正解です。
問3 スピーチレベルが切り替わる例
解説 スピーチレベルシフト
スピーチレベルを切り替えることを「スピーチレベルシフト」と言います。
「スピーチレベルシフト」とは、同場面内で1人の話者が普通体から丁寧体/丁寧体から普通体へと切り替えて、丁寧さの度合いを変化させることです。
その答えになる理由
4のように、話者が普通体・丁寧体を使い分けて丁寧さの度合いを変化させるのが「スピーチレベルシフト」です。
これが正解です。
問4 フォリナー・トークには見られないティーチャートークの特徴
解説 フォリナー・トーク
「フォリナー・トーク」とは、その言語を習得できていない人でも理解できるように配慮した話し方のことです。
ゆっくり話す・簡単な語彙を使用するなどが該当します。
解説 ティーチャー・トーク
「ティーチャー・トーク」とは、教師が学習者の習得段階に応じて、教室で使用する言葉を調整する話し方のことです。
その答えになる理由
「フォリナー・トーク」「ティーチャー・トーク」のいずれも学習者に配慮した話し方のことですが、1番大きな違いは「ティーチャー・トーク」は教室内で使用する話し方である点です。
2が適切ですね。
その授業で学ぶ内容外の情報でが学習者が混乱しないように配慮するのは、「フォリナー・トーク」に見られない「ティーチャー・トーク」の特徴です。
問5 学習者側から母語話者にフォリナー・トークを減らすように働きかける方策
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「フォリナー・トーク」は学習者に配慮して内容を調整した話し方です。
学習者が話し方を近づけたからといって、フォリナー・トーク自体が減るわけではありません。
1は間違いです。
「フォリナー・トーク」は学習者に配慮して内容を調整した話し方です。
学習者側が聞くターンが長くなったからと言って、フォリナー・トーク自体が減るわけではありません。
2は間違いです。
「フォリナー・トーク」の内容が理解できた際にそれを母語話者に伝えることで、その内容についてはフォリナー・トークではなくなることが期待できます。
3が正解です。
「フォリナー・トーク」で使われた内容を訂正したからといって、フォリナー・トーク自体が減るわけではありません。
4は間違いです。