平成30年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題12
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 フォーカス・オン・フォーム(FonF)
解説 フォーカス・オン・フォーム(FonF)
「フォーカス・オン・フォーム」とは、コミュニカティブな活動を重視するなかで、意味の理解に注目するだけでなく、そこで使われる言語形式にも焦点を当てることです。
言語学者のロングは、意味交渉にフォーカス・オン・フォームを促す効果があり、気づきが起きやすくなると説明しています。
その答えになる理由
「フォーカス・オン・フォーム」は、問2の「フォーカス・オン・フォームズ」と対比させて設問になることが多いです。
●重視する活動
フォーカス・オン・フォーム … 意味理解等のコミュニケーション
フォーカス・オン・フォームズ … 文法等の言語形式
●活動内容
フォーカス・オン・フォーム … 学習者同士の意味交渉
フォーカス・オン・フォームズ … 教師主導の反復練習
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1が「フォーカス・オン・フォーム」の説明そのままですね。
これが正解です。
オーディオリンガル・メソッドの流れをくんでいるのは、「フォーカス・オン・フォームズ」です。
2は間違いです。
学習者の母語で形式の理解を確認するのは、オーディオリンガル・メソッドの内容です。
「フォーカス・オン・フォームズ」にあたるため、3は間違いです。
教師主導での形式理解は、「フォーカス・オン・フォームズ」の内容です。
4は間違いです。
問2 フォーカス・オン・フォームズ(FonFs)
解説 フォーカス・オン・フォームズ(FonFs)
「フォーカス・オン・フォームズ」とは、コミュニケーションや意味理解を軽視し、文法を中心とした言語の形式面に注目することです。
代表的な教授は、オーディオリンガル・メソッドです。
解説 フォーカス・オン・ミーニング(FonM)
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「フォーカス・オン・ミーニング」とは、コミュニケーションを重視し、意味のやり取りに意識を向けさせることです。
代表的な教授法は、ナチュラル・アプローチやコミュニカティブ・アプローチです。
その答えになる理由
理解可能なインプットを大量に与えるのは、「ナチュラル・アプローチ」の内容です。
「フォーカス・オン・ミーニング」にあたるため、1は間違いです。
学習者にストーリーを語らせるのは、意味重視の活動のため「フォーカス・オン・ミーニング」です。
2は間違いです。
目標言語を使って教科学習を行うのは、「内容言語統合型学習(CLIL)」の内容です。
3は間違いです。
参考はこちら
文法の問題集を解くのは、「フォーカス・オン・フォームズ」の内容です。
4が正解です。
問3 ディクトグロス
解説 ディクトグロス
「ディクトグロス」とは、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を組み合わせた言語活動のことです。
個人学習とピア・ラーニングを同時に行うことができる統合的な学習指導法です。
① 教師が短めの文章を複数回読み、学習者はキーワードなどを聞き取ってメモを取る。
② 学習者が各自、メモをもとに文章を復元する。
③ グループで話し合いながら、元の文章を完成させていく。
その答えになる理由]
3が「ディクトグロス」の説明そのままですね。
これが正解です。
問4 プロンプト
解説 プロンプト
「プロンプト」とは、学習者に間違えを気づかせ、自発的な訂正を促すフィードバックの一種です。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、教師側で間違いを訂正しています。
2は、「きれいでした」と教師が正解を説明しています。
3も同じく、「きれいでした」と教師が正解を説明しています。
4が正解です。
問5 プライミング効果
解説 プライミング効果
「プライミング効果」とは、あらかじめ入った情報(プライム)により、その後の学習が効果的に進むことを言います。
その答えになる理由
1が「プライミング効果」の説明そのままですね。
これが正解です。