平成30年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題3B
の解説です。
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(6) 対義語
解説 両極的対義語
「両極的対義語」とは、「入会」⇔「退会」のようにAとBが両極的で、中間段階を持たない関係のことを言います。
「退会ではない」≠「入会」とならないのが特徴です。
解説 連続的対義語
「連続的対義語」とは、「長い」⇔「短い」のようにAとBが両極的だが、中間段階を持つ関係のことを言います。
中間段階がある=程度差があるということなので、「少し長い」「かなり短い」なども表現が成立するのが特徴です。
解説 視点的対義語
「視点的対義語」とは、「行く」⇔「来る」のように同じ事柄を表すAとBの両語が、異なる視点から表現される関係のことを言います。
「書店で本を買う」であれば、同じ事柄でも、書店側から見れば「売る」、自分側から見れば「買う」となります。
解説 相補的対義語
「相補的対義語」とは、「表」⇔「裏」のように、一方が否定されれば他方が肯定される関係のことを言います。
その答えになる理由
一方が肯定されれば、他方が否定される関係である「相補的対義語」を選ぶ問題です。
1 AとBが両極的かつ中間関係があるので、「連続的対義語」です。
2 一方が否定されれば他方が肯定されるので、「相補的対義語」です。
3 AとBが両極的かつ中間関係がないので、「両極的対義語」です。
4 同じ事柄を表すAとBが異なる視点から表現されているので、「視点的対義語」です。
2が正解です。
(7) 副詞
解説 頻度副詞
「頻度副詞」とは、ある期間に繰り返される物事の割合を表す副詞のことです。
「ときどき」
「しばしば」
「たまに」
解説 陳述副詞
「陳述副詞」とは、述語の陳述の仕方を表す副詞のことです。
通常、文末と呼応します。
【推量】「おそらく(~だろう)」
【仮定】「もし(~なら)」
【否定】「けっして(~ない)
解説 程度副詞
「程度副詞」とは、状態性の意味のある語にかかって、その程度を限定する副詞のことです。
「だいぶ」
「けっこう」
「かなり」
解説 様態副詞(情態副詞・状態副詞)
「様態副詞(情態副詞)」とは、動作の変化の仕方や出来事のあり方を表す副詞のことです。
擬音語(ピカッと)・擬態語(ガツンと)・畳語(ごろごろ)なども「様態副詞」に含まれます。
その答えになる理由
「大きい」「小さい」は状態性のある対義語なので、「程度副詞」で修飾することができます。
3が正解です。
(8) 互いに相手の存在を前提にしている対義語
その答えになる理由
「医者」⇔「患者」、「(学校の)先生」⇔「生徒」のように、互いの存在を前提にしている対義語になっているものを選ぶ問題です。
4が正解です。
(9) 対義語における語種の例外
解説 語種
「語種」とは、語彙がどのように生じたかに注目した分類のことです。
日本語では
●和語 (日本固有の語)
●漢語 (中国語を起源とする漢字音を用いた語)
●外来語 (主に欧米の言語からの借用語)
の3種類+これらの混ざった「混種語」があります。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1 外来語 ー 外来語
2 漢語 ー 漢語
3 漢語 ー 和語
4 和語 ー 和語
語種の組み合わせがことなる3が正解です。
(10) 対義語同士の品詞の関係
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「違う」⇔「正しい」
「正しい」はイ形容詞なので、1は間違いです。
「間に合う」⇔「遅れる」
「遅れる」は動詞なので、2は間違いです。
「嫌い」⇔「好きだ」
「好きだ」はナ形容詞なので、3は間違いです。
「若い」に対応する語は「老けている」「老いている」「年とった」などです。
いずれもイ形容詞ではないので、4が正解です。