平成29年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅱ 問題4
の解説をしていきます。
お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。
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1番 問1
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「帰るです」「呼びて」のように活用の誤りは見られますが、テンスの誤りはありません。
aは間違いです。
「フィラー」とは、会話のつなぎとなったりする「えーと」「あのー」のような表現のことです。
今回の会話で出てきたのは「あ」のみなので、多用なフィラーを使用しているとは言えません。
bは間違いです。
相手の発話を聞き返している場面はありません。
cは間違いです。
「お世話になって、ありがと」を「お世話になりました」と言い直すなど、正しい表現の算出を試みている場面がありました。
dが正解です。
1番 問2
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
日本人の大学生の発話で、留学生が気分を害してい場面はありません。
aは間違いです。
日本人の大学生が社交辞令で「家に来いよって言ったけど…」と発話していますが、意図が留学生に伝わらずに困る場面がありました。
bが正解です。
留学生の発話を聞き返すような場面はありません。
cは間違いです。
「帰るです」「呼びて」のように留学生の発話に文法の誤りはありましたが、日本人の大学生はそのまま会話を進めています。
dは間違いです。
2番 問1
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「ベジタリアンなんですから」「人によって違うんですから」と両名ともに「~んです」の使い方に誤りが見られます。
「~のだ」の文型が適切に使用されていないので、aが正解です。
学習者の発言の中には、応答詞が含まれる場面がありませんでした。
bは間違いです。
学習者の発言の中には、複文が含まれる場面はありませんでした。
cは間違いです。
学習者の発言の中に接続詞はありましたが、用法の誤りはありませんでした。
dは間違いです。
2番 問2
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
学習者の答えに対して否定的な反応はしていません。
aは間違いです。
学習者をその国の代表者として、国の特徴について尋ねています。
一方で学習者は「私はベジタリアンなので…」「人によって違うので…」とかみ合っていない場面が見られます。
bが正解です。
学習者からは「わかりません」などの反応があるので、発話させているのは既知の情報ではありません。
cは間違いです。
1人目・2人目と順に当てているので、特定の学習者に集中して答えさせているわけではありません。
dは間違いです。
3番 問1
1・2番と比べて選択肢が難しく書いてありますが、スピーチの内容自体はシンプルですね。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
アクセントの誤りは複数ありましたが、平板化だけでなく様々なパターンが見られました。
aは間違いです。
ポーズがなくわかりづらいのですが、イントネーションの誤りはほぼ見られなかったと思います。
bは間違いです。
無声音が有声化する場面は見られませんでした。
cは間違いです。
全体的に矢継ぎ早に話しており、適切にポーズを挟むことができていませんでした。
dは間違いです。
3番 問2
スピーチの中で述べた有名な間欠泉について述べたあと、「この間欠泉は…」とすべきところを「あの間欠泉は…」としています。
前方照応の文脈指示が適切に使えていないので、aが正解です。
c・dは一見怪しいですが、「現場指示」とあるので明確に違います。
(目の前にある本を指して…)「この本は…」のような表現が「現場指示」なので、今回のスピーチで出てきている「こそあど」は現場指示ではなく、全て「文脈指示」です。