令和元年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題15
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 日本語能力検定試験(JLPT)
解説 日本語能力検定試験(JLPT)
「日本語能力検定試験(JLPT)」は、日本語を母語としない人を対象に日本語能力を測定・認定する試験です。
国際交流基金と日本国際教育支援協会が共催しています。
N5(初級前半レベル)からN1(上級レベル)の5段階に分かれています。
その答えになる理由
2018年7月における「日本語能力試験」の受験者数は以下の通りです。
N1 | N2 | N3 | N4 | N5 | 計 | |
国内の受験者数 | 36,791 | 54,619 | 58,126 | 16,737 | 2,903 | 169,176 |
海外の受験者数 | 68,235 | 89,320 | 58,417 | 42,468 | 42,463 | 300,903 |
日本国内の受験者数は、各レベルでバラバラに分布しています。
1は間違いです。
また、国内の受験者数と海外の受験者数を比べると、海外の方が多いことがわかります。
2が正解です。
「日本語能力試験」のレベルはN1~N5の5段階ですが、CFERは6段階に区分されています。
3は間違いです。
「日本語能力試験」における合否判定は、以下の通りです。
相対評価でなく、絶対評価で判定されます。
4は間違いです。
合格・不合格はどうやって決まりますか。合格に必要な得点は何点ですか。
すべての試験科目を受験して、①総合得点が合格に必要な点(=合格点)以上で、②すべての得点区分の得点が、区分ごとに設けられた合格に必要な点(=基準点)以上なら合格です。得点区分の得点が1つでも基準点に達していない場合は、総合得点がどんなに高くても不合格になります。
参考:日本語能力試験 よくある質問
解説 ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)
「ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR)」とは、どの言語にも当てはまる言語能力の「測定基準」を設定したものです。
「日本語能力試験」や「BJTビジネス日本語能力テスト」などの難易度を決める際の基準になっている「JF日本語教育スタンダード」もCFERの考え方がベースになっています。
「ヨーロッパ言語共通参照枠組み(CEFR)」 は、低い順から
① A1
② A2
③ B1
④ B2
⑤ C1
⑥ C2
の6段階に分けられています。
問2 BJTビジネス日本語能力テスト
解説 BJTビジネス日本語能力テスト
「BJTビジネス日本語能力テスト」は、日本語によるビジネス・コミュニケーション能力を測るテストです。
日本語を母語としない学生やビジネス関係者を対象にしています。
結果は、項目応答理論(IRT)に基づいた統計処理により800点満点で採点され、J5~J1+までの6段階のレベルで評価されます。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「BJTビジネス日本語能力テスト」は、CBT(Computer Based Testing)方式ですが、自宅では受けられず、コンピュータセンターで受験する必要があります。
1は間違いです。
「BJTビジネス日本語能力テスト」の試験結果は、
● 0~800点のスコア
● J5~J1+のレベル
で判定されます。
2が正解です。
「BJTビジネス日本語能力テスト」は、CBT(Computer Based Testing)方式のため、多肢選択式のみで記述式問題は含まれません。
3は間違いです。
「BJTビジネス日本語能力テスト」の公式ウェブサイトでは、
● レベルガイド
● サンプル問題
等は公開されていますが、出題基準の掲載はありません。
4は間違いです。
問3 日本留学試験
解説 日本留学試験
「日本留学試験」は、日本の大学などに入学を希望する外国人留学生を対象として、日本語力及び基礎学力を評価する試験です。
日本学生支援機構(JASSO)が主催しています。
その答えになる理由
出典元はこちら
「日本留学試験」の日本語科目におけるシラバスには
① 直接的理解能力
② 関係理解能力
③ 情報活用能力
の3つが問われる能力として挙げられています。
この中にない「問題解決能力」の1が正解です。
問4 主観テスト
解説 主観テスト
「主観テスト」とは、学習者に自由に表現させ、総合的な運用能力を見るテスト形式です。
● スピーチ
● プレゼンテーション
● ロールプレイ
● 作文
● レポート
などが例として挙げられます。
〇 問題作成が簡単
△ 実施も採点も時間がかかる
△ 採点基準を一定に維持するのが難しい
といった特徴があります。
解説 客観テスト
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「客観テスト」とは、明確な正答があり、採点者の主観が入らないテスト形式のことです。
〇 採点が短時間でできる
〇 項目分析がしやすい
〇 採点基準に沿って、誰でも公正に採点できる
〇 広範囲から多くの学習項目を出題できる
△ 問題作成に時間がかかる
△ 断片的な知識を問う問題になりがちである
△ まぐれ当たりする可能性がある
といった特徴があります。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は「客観テスト」の特徴です。
2は「客観テスト」の特徴です。
3が「主観テスト」の特徴です。
4は「客観テスト」の特徴です。
3が正解です。
問5 学習者のニーズとそれに対応するテスト
解説 OPI(Oral Proficiency Interview)
「OPI」とは、外国語の口頭運用能力を測定するためのインタビュー試験のことです。
資格を持つテスターが受験者に1対1で最長30分のインタビューを行い、4つの基準に沿って結果を判定します。
判定は
① 総合的タスクと機能
② 場面/話題
③ 正確さ
④ テキストの型
の4つの基準で、判定レベルは
● 初級 上・中・下
● 中級 上・中・下
● 上級 上・中・下
● 超級
の10段階です。
解説 JSL対話型アセスメント(DLA)
「JSL対話型アセスメント(DLA)」とは、学校において外国人児童生徒の日本語の能力を把握し,その後の指導方針を検討する際の参考になるものとして作成されたガイドです。
文部科学省が開示しているもので、テストではありません。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「OPI」はインタビュー形式の試験なので、作文能力のレベルは測れません。
1は間違いです。
「BJTビジネス日本語能力テスト」で480点以上・400点以上の場合、それぞれ高度人材としてのポイントが加算されます。
2が正解です。
出典元はこちら P6 問15・16
「JSL対話型アセスメント(DLA)」は、そもそもテストではありません。
3は間違いです。
「日本留学試験」は記述式問題もあり、WEB上での受験はできません。
4は間違いです。