【平成30年度 日本語教育能力検定試験 過去問】試験Ⅰ 問題1の解説!

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平成30年度_試験Ⅰ

(1)二重調音

解説 二重調音

「二重調音」とは、2つの調音点で同時に調音(呼気の妨害)がなされることを言います。
※ 今回出題された「両唇軟口蓋音」だけ覚えておけば十分です。

その答えになる理由

[ɸ] 無声両唇摩擦音 調音点は「両唇」のみです。
[kh] 無声軟口蓋破裂音 調音点は「軟口蓋」のみです。
[ʃ] 無声後部歯茎摩擦音 調音点は「後部歯茎」のみです。
[w] 有声両唇軟口蓋接近音 調音点は「両唇」「軟口蓋」です。
[ç] 無声硬口蓋摩擦音 調音点は「硬口蓋」のみです。

4が正解です。

[kh] の h は、「有気音」であることを表しています。
「有気音」とは、破裂音・摩擦音・破擦音において、調音器官の開放より少し遅れて母音の声帯振動が始まる子音のことです。
中国語などで見られ、閉鎖の開放後に息の流れる音(破擦音の場合は摩擦音)が聞こえます。

(2)二重母音の取り入れ方

解説 二重母音

「二重母音」とは、1つの音節を形成する中で、母音から母音へ連続して発音される音のことです。

日本語の「愛」[ai]は、それぞれが別の拍であり、切って発音できるので「二重母音」ではなく「短母音」です。
英語の「sky」[skai]の [ai] は、[a] の舌の位置から [i] の位置を目指して舌を動かしながら切れ目なく発音しているため、「二重母音」です。

その答えになる理由

ゲーム センター
セールス
メール
ケーキ
ブーツ
については、外来語として取り入れられる際に、二重母音の部分が「長音」になっています。
「レイン」[reɪn] のみ [eɪ] が二重母音として残っています。

5が正解です。

(3)音節数

解説 音節

「音節」とは、前後に切れ目があり、内部には切れ目のない音声連続のことです。
基本的には、母音が音節の主音になり、その前後に子音が配置された形を取ります。

日本語では、
① 単独で発音可能な「拍」は、それぞれ「音節」を形成する
② 単独で発音できない促音・撥音などの「特殊拍」は、直前の拍と一緒になって「2拍の音節」を形成する
とされています。

その答えになる理由

「拍」の問題ではないので、注意してください。

ちょう / せん (2音節)
きょう / い / く (3音節)
さん / ぽ (2音節)
けっ / か (2音節)
か / たん (2音節)

2だけ、音節の数が異なります。
これが正解です。

(4)アクセント

その答えになる理由

語を前後に分けて考えてみましょう。

一喜(頭高型)+一憂(平板型)
大同(平板型)+小異(頭高型)
不可(平板型)+抗力(頭高型)
大盤(平板型)+振舞(頭高型)
誠心(平板型)+誠意(頭高型)

2だけ、アクセント型の組み合わせが異なります。
これが正解です。

アクセント型については、以下をご参照ください。

(5)短縮語形成

その答えになる理由

短縮される前の形を見ていきましょう。

スターティング メンバー
アカデミック ハラスメント
エアロビクス
リモート コントローラー
プロ レスリング

3のみ後ろの言葉を省略していて、他と省略の方法が違います。
これが正解です。

(6)転訛形

解説 転訛

「転訛」とは、語の本来の音がなまって変わることを言います。

その答えになる理由

各選択肢の「本来の音」と「転訛形」を並べると、以下の通りです。

やめておく → やめとく
すごく → すげえ
なにしてるの → なにしてんの
帰らなければ(帰らなくては) → 帰らなきゃ
やってしまいなよ → やっちゃいなよ

「すごく」→「すっごく」は、促音を挟むことで後に続く語を強調しています。
「とても」→「とっても」なども、同じ用法です。

2のみ転訛形ではありません。
これが正解です。

(7)漢字の読みとつくり

その答えになる理由

各選択肢の「読み」と「つくり(漢字の右側)」を見ていきましょう。

1 ぎ・義
2 ほう・方
3 ご・呉
4 にん・忍
5 けい・十

5のみ、「読み」と「つくり」の読み方が一致していません。
これが正解です。

(8)熟字訓

解説 熟字訓

2字以上の漢字が結合して1つの概念を表すようになった語を「熟字」と言います。
「熟字訓」とは熟字に訓読みを当てたもので「五月雨さみだれ」「時雨しぐれ」などが該当します。

その答えになる理由

1のみ、熟字訓ではないですね。
これが正解です。

熟字訓は、語の集まりに対して読みを当てているので語を分割できないのが特徴です。

(9)テ形の音便化

その答えになる理由

各選択肢を「テ形」に変えてみましょう。

歩く → 歩いて (イ音便)
話す → 話
飲む → 飲んで (撥音便)
鳴る → 鳴って (促音便)
呼ぶ → 呼んで (撥音便)

2のみ、音便ではありません。
これが正解です。

(10)イ形容詞の作り方

その答えになる理由

各選択肢をイ形容詞にしてみましょう。

青 → 青い
黒 → 黒い
赤 → 赤い
黄 → 黄色い
白 → 白い

4だけ「色」をつけないとイ形容詞にできません。
これが正解です。

(11)「こと」の用法

解説 「~ことだ」

「辞書形 or 否定形 +ことだ」は、大きく分けて2つの用法があります。

●何らかの目的や問題解決のために最も重要な行為を表す用法
「なかなか体調が良くならなくて…」→「とにかく、ゆっくりと休むことです
「試験に合格するためには、まず全体像を把握することだ

●感嘆・詠嘆を表す用法
「こんな事故の中、よく無傷だったことだ
「こんな賞を取るなんて、なんて立派になったことだ

その答えになる理由

1~4は、 何らかの目的や問題解決のために最も重要な行為を表す用法
5のみ、 感嘆・詠嘆を表す用法
です。

(12)「~直す」の用法

解説 「~直す」

「~直す」には、大きく分けて2つの用法があります。

●「もう1度~する」の用法
動作の結果に不満があり、同じ動作を繰り返すことを表します。

●「(元の状態に)戻る」の用法

その答えになる理由

2のみ、「(元の状態に)戻る」の用法
その他は、「もう1度~する」の用法
です。

(13)比喩

解説 直喩 シミリー

「直喩(シミリー)」とは、「~ような」「~みたい」などを使い、あるものを直接別のものに例える方法です。
「見ろ!人がゴミのようだ!」

解説 隠喩 メタファー

「隠喩(メタファー)」とは、具体的でわかりやすいカテゴリーの事例を用いて、抽象的でわかりにくいカテゴリーの事例を示す方法です。
「目の前が真っ暗になった」
「記憶が飛んだ」

解説 換喩 メトニミー

「換喩(メトミー)」とは、Aという事例を用いて、それと隣接関係にあるBを表す方法です。
「風呂が沸いた」
(「風呂(浴槽)」そのものが沸いたのではなく、「風呂の中の水」が沸いたことを表す)

解説 提喩 シネクドキー

「提喩(シネクドキー)」とは、上位概念下位概念を指したり、下位概念上位概念を指したりする方法です。
「花見に行く」
(上位概念「花」が、下位概念「桜」を表している)

その答えになる理由

比喩の問題は、「直喩(シミリー)」だと簡単すぎるので他の3つがよく出題されます。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。

1の「追い風」は、「我が社(自社)にとって有利な状況」を表しています。
抽象的な内容具体的な内容で例えているので「隠喩(メタファー)」の用法です。

2の「漱石」は、「夏目漱石」そのものではなく「夏目漱石が書いた本」を表しています。
隣接関係をもとに例えているので「換喩(メトニミー)」の用法です。

3の「洗濯機を回す」は、「洗濯機」そのものではなく「洗濯機の中にある洗濯槽」を表しています。
隣接関係をもとに例えているので「換喩(メトニミー)」の用法です。

4の「黒板」は、「黒板」そのものではなく「黒板に書いてある字」を表しています。
隣接関係をもとに例えているので「換喩(メトニミー)」の用法です。

5の「永田町」は、「永田町」そのものではなく「永田町にある国会議事堂等の政界」を表しています。
隣接関係をもとに例えているので「換喩(メトニミー)」の用法です。

1のみ、隠喩(メタファー)
その他は、換喩(メトニミー)
です。

(14)応答詞の用法

その答えになる理由

4のみ、Yes or No の Yes
その他は、要望に対する承諾
です。

(15)結果の評価

その答えになる理由

各選択肢の後ろに来る内容を考えてみましょう。

1 「~失敗した」
2 「~失敗した」
3 「~成功した」
4 「~失敗した」
5 「~失敗した」

3のみ、後ろがプラスな内容
その他は、マイナスな内容
がきます。

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