
日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。
「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。
本講座では、主に
・言語学全般
・日本語文法
について取り扱っていきます。
・日本語教育能力検定試験の学習のため
以外にも、
・日本語教師としてレベルアップしていきたい
・現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい
という方は、ぜひご一読ください。
こんなお悩みはありませんか?
「●●節」のような文法用語に抵抗感がある…
「従属度が高い」ってどういうこと…?
モダリティ・テンスなど、ほかの文法が混ざってきて難しい…

この連載記事では…
「複文」の問題を解くために必要な知識を一通り確認すること
を目標に解説していきます。
前の記事はこちら
前回は、「そもそも、複文って何?」について解説しています。
複文の種類
複文は、
従属節が、主節に対してどのような役割になっているか?
によって、大きく4つに分類することができます。
「主節」「従属節」って…?という場合は、前の記事で詳しく解説しているので、先にそちらを参照してみてください。
4つの分類とは、
① 補足節
② 名詞修飾節
③ 副詞節
④ 等位節・並列節
のことです。
今回の記事では、「① 補足節」について解説していきます。
「補足節」とは?
私は、日本酒が好きだ。
この文の述語は、「好きだ」ですね。
それでは、この文の「補語」は何でしょうか…?
「目的語」ではないの…?
と思った方もいるかもしれません。
英語では、
I am a student.
の下線部が「補語」で
I play baseball.
の下線部を「目的語」として勉強したかと思います。
日本語では、「述語の意味を補完する語」のことを「補語」と言います。
私は、日本酒が好きだ。
何が「好き」かと言うと…日本酒ですね。
この文の「補語」は、「日本酒」です。
少し、練習してみましょう。
次の例文における「補語」は何でしょうか?
ねずみがネコにかみついた。
図書館で本を読んだ。
上の例文の述語は、「かみついた」です。
何にかみついたかと言うと…「ネコ」ですね。
上の例文の「補語」は、「ネコ」です。
また、下の例文の述語は、「読んだ」です。
何を読んだかと言うと…「本」ですね。
下の例文の「補語」は、「本」です。
「日本酒が」「ネコに」「本を」のように、格助詞の「が」「に」「を」などがついて述語の意味を補完する語を「補語」と言います。
日本語では、補語をとる動詞を「他動詞」・とらない動詞を「自動詞」と言います。
以下の記事で解説しているので、ぜひご参照ください。
ここまでの内容で、文中のどの語が補語にあたるかは大丈夫かと思います。
それでは、次の例文で「補語の役割を果たす」のはどこでしょうか?
私は、日本酒を集めることが好きだ。
この文の述語は、「好きだ」です。
何が好きかと言うと…「日本酒を集めること」ですね。
この文の「補語」は、「日本酒を集めること」です。
「日本酒を集めること」の述語は、「集める」ですね。
このような「述語を中心としたまとまり」のことを「節」と言います。
先ほどの
私は、日本酒が好きだ。
では、述語が「好きだ」・補語が「日本酒」でした。
上の例文の「日本酒を集めること」という「節」は、下の例文の「補語」にあたる「日本酒」と同じ役割をしていますね。
このように、「補語」の役割をしている「節」のことを「補足節」と言います。
少し、練習してみましょう。
次の例文における「補足節」は、どの部分でしょうか?
彼は、Aさんが犯人だと言っている。
私には、誰が犯人かわからない。
上の例文の述語は、「言っている」です。
何を言っているかと言うと…「Aさんが犯人だ」ですね。
上の例文の「補足節」は、「Aさんが犯人だ」です。
また、下の例文の述語は、「わからない」です。
何がわからないかと言うと…「誰が犯人か」ですね。
下の例文の「補足節」は、「誰が犯人か」です。
それでは、次の例文ではどうでしょうか?
どこの部分が「補足節」にあたるかを考えてみてください。
私の趣味は、日本酒を集めることだ。
日本酒を集めることが、私の趣味だ。
「???」となった方は、ここまでの内容がきちんと理解できています…!!
「補足節」とは、「補語」の役割をする「節」のこと
「補語」とは、述語の意味を補完する語のこと
として、ご案内してきました。
そのため、
私は、日本酒が好きだ。
私は、地元でつくられた日本酒が好きだ。
のように、「補語の位置にポンとあてはめられる節」が「補足節」のよくある形なのですが、別の形として
私の趣味は、日本酒を集めることだ。
のように、「だ」「である」などがついて「述語化」したり、
日本酒を集めることが、私の趣味だ。
のように、「主語化」することがあります。
少し、練習してみましょう。
次の例文における「補足節」は、どの部分でしょうか?
1番嬉しかったのは、日本語教育能力検定試験に合格できたことだ。
用語を丸暗記しないことが、大切だ。
上の例文の「補足節」は、「日本語教育能力検定試験に合格できたこと」
下の例文の「補足節」は、「用語を丸暗記しないこと」
です。
このように、「補足節」とは
1)述語の意味を補完する「補語」の役割をする「節」
2)「だ」「である」などがついて、述語化する「節」
3)述語に対する「主語」の役割をする「節」
だと整理しておきましょう。
最後に、例文で確認してみます。
次の例文における「補足節」は、どの部分でしょうか?
① 彼の使命は、世界の平和を守ることである。
② 娘は、父の正体がスパイだと知っている。
③ 寝る前に過去問を解くのが、私の習慣だ。
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① 彼の使命は、世界の平和を守ることである。
② 娘は、父の正体がスパイだと知っている。
③ 寝る前に過去問を解くのが、私の習慣だ。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、「補足節」とは
1)述語の意味を補完する「補語」の役割をする「節」
2)「だ」「である」などがついて、述語化する「節」
3)述語に対する「主語」の役割をする「節」
であることをご案内してきました。
次の記事では、
「補足節」の種類
について、ご案内します。