日本語を基礎から学ぶ方・学び直す方向けの講座です。
「こう教えてもらっていればわかったのに…」
を実現してくことを目的としています。
本講座では、主に
・言語学全般
・日本語文法
について取り扱っていきます。
・日本語教育能力検定試験の学習のため
以外にも、
・日本語教師としてレベルアップしていきたい
・現場知識だけでなく、きちんと土台も固めておきたい
という方は、ぜひご一読ください。
今回は、調音法について1つずつ確認していきましょう。
前の記事はこちら
調音法
音声は、声帯振動の有無や調音点のほかに、「調音法」によっても分類されます。
「調音法」とは、呼気の流れの性質をどう変えるかの方法のことです。
ざっくりと分類すると、
1)閉鎖(いったん呼気をせき止める)
2)強い狭め(小さな隙間をつくって呼気を通す)
3)弱い狭め(広めの隙間をつくって呼気を通す)
4)呼気の阻害なし
の4種類です。
呼気の妨げがない場合は「母音」になり、呼気がどこかで妨げられる場合は「子音」になります。
「じゃあ、↑の1~3が子音で4が母音だ!」となってくれれば簡単なのですが、中間的なヤツらが存在します。
そう、「半母音」です。
日本語の子音んではワ行・ヤ行が該当します。
調音点と同じように、国際音声記号(IPA)でも確認しておきましょう。
国際音声記号(IPA)では、次の8つの調音法が認められています。
① 破裂音
・調音点で呼気が完全に閉鎖され、
かつ軟口蓋(口蓋帆)が挙上することで
鼻腔への通路も遮断される調音
・呼気は開放されることもあれば、開放されずにそのままのこともある
・閉鎖の開放が必須ではないことから「閉鎖音」とも呼ばれる
② 鼻音
・口腔内の調音点が完全に閉鎖されるのと同時に
軟口蓋(口蓋帆)が下がり、呼気が鼻音を通過する調音
③ ふるえ音
・調音点で呼気が完全に閉鎖されるが
閉鎖は瞬間的 かつ それが2回以上繰り返される調音
④ はじき音(弾き音)
・ふるえ音の閉鎖が1回バージョン
⑤ 摩擦音
・調音器官が別の調音器官に近づくことで、その間に狭い気流の
通路が形成され、そこを通る呼気に持続的な乱流が生じる調音
⑥ 側面摩擦音
・摩擦音の「呼気の流れが脇に確保されて中央には閉鎖が形成
される」バージョン
⑦ 接近音
・調音器官が別の調音器官に近づくが、乱流が生じるほどには
狭められていない調音
⑧ 側接近音
・接近音の「呼気の通路が脇に確保されて中央には閉鎖が形成
される」バージョン
前回と同じく、通常の日本語の子音に現れる調音法にだけ赤線を引きました。
最低限、この調音法だけは覚えておきましょう。
「あれ…?破擦音がない…」となった方は、さすがです。
実は調音点のときの「歯茎硬口蓋」と同じように、「破擦音」も国際音声記号(IPA)では基本的な調音法としての地位を与えられていないんです。
日本語の子音を記述する上では超重要なので、上記と同じように記載しておきます。
破擦音
・破裂音の状態+同じ調音位置の摩擦音
前々回の「声帯振動の有無」
前回の「調音点」
今回の「調音法」まで整理できれば、具体的に子音の内容に入ることができます。
「まだ、自信がないかも…」という方は、ぜひ読み返してみてください。
今回はここまでにしましょう。
次回は、国際音声記号(IPA)についてご案内します。
参考書籍
今回は、以下を参考にしています。