今回は、
✅ 「につき」の意味・使い方
✅ 「につき」の類似表現
について、一緒に勉強していきましょう。
複合格助詞「につき」の意味・使い方
「につき」は、原因・割合を表す
【原因】
明日は棚卸しにつき終日閉店します。
この文の述語は、「閉店します」です。
なぜ閉店するかというと…
【原因】
明日は棚卸しにつき終日閉店します。
のように、「棚卸し」を行うことが理由ですね。
「棚卸しにつき」の形で、述語「閉店します」という行動の原因を表しています。
【割合】
1人につき3万円まで補助金が出ます。
この文の述語は、「出ます」です。
どれくらい補助金が出るかというと…
【割合】
1人につき3万円まで補助金が出ます。
のように、「1人3万円」ですね。
2人であれば6万円・10人であれば30人なので、割合の使い方です。
「1人につき」の形で、述語「出ます」がどれくらいかの割合を表しています。
格助詞とは?
子どもたちが 公園で 遊んでいる。
のように、「名詞+格助詞」の形で述語との意味関係を表します。
この例文であれば、「子どもたちが」の形で、述語「遊んでいる」という動きの主体を表していること・「公園で」の形で、述語「遊んでいる」という動きの場所を表していることがわかりますね。
複合格助詞とは?
どちらの用法であっても、複合格助詞であることは変わりありません。
格助詞と同様に、直前にくるのは名詞です。
「原因」「割合」の2つの用法の見分け方
100人につき1名が当選します。
であれば、
- 基準となる単位が「100人」
- そのうちの部分量が「1人」
です。
割引券1枚につき、5名まで割引料金が適用されます。
であれば、
- 基準となる単位が「割引券1枚」
- そのうちの部分量が「5名」
ですね。
原因を表す「につき」は、このような単語の並びにはなりません。
【原因】
工事につき道路が使用できません。
【割合】
利用料金は、1時間につき500円です。
のように、「どのような語で挟まれているか?」によって見分けることができます。
「につき」の類似表現
原因を表す「につき」の類似表現は、「のため」「のために」
明日は棚卸しにつき終日閉店します。
明日は棚卸で終日閉店します。
明日は棚卸のため終日閉店します。
明日は棚卸のために終日閉店します。
のように、「につき ⇔ で ⇔ のため ⇔ のために」を置き換えても違和感がないですね。
「につき」は、この中で1番書き言葉に近いので
明日なんですが、棚卸しにつき終日閉店するんですよ。
明日なんですが、棚卸しで終日閉店するんですよ。
明日なんですが、棚卸しのため終日閉店するんですよ。
明日なんですが、棚卸しのために終日閉店するんですよ。
のように、くだけた表現になると、違和感が出てくる場合があります。
割合を表す「につき」の類似表現は、「に・について・に対して」
1人につき3万円まで補助金が出ます。
1人に3万円まで補助金が出ます。
1人について3万円まで補助金が出ます。
1人に対して3万円の割合で補助金が出ます。
のように、「につき ⇔ に ⇔ について」は、そのまま置き換えても違和感がないですね。
注意するのは、「に対して」です。
「に対して」だけは、後ろに「の割合で」を伴わないと「に・につき・について」と同じ割合の用法で用いることができません。
以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。
参考書籍
今回は、
✅ 「につき」の意味・使い方
✅ 「につき」の類似表現
について、解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。