令和元年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題16
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 「国語教育」と「日本語教育」
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「国語教育」の歴史は、明治33年(19世紀)の「国語科」の制定まで遡ることができます。
出典元はこちら
「日本語教育」の歴史は、キリシタン教師の渡来があった16世紀後半まで遡ることができます。
日本語ポルトガル語の対訳辞書「日葡辞書」(1603年)やジョアン・ロドリゲスによる文法書「日本大文典」(1608年)の刊行がこの頃です。
年代の記述に誤りがあり、1は間違いです。
「日本語教育」は外国人の「成人」相手に限定したものではありません。
2は間違いです。
3は何も問題ありません。
これが正解です。
「日本語教育」で用いられるのは検定教科書に限定されていません。
4は間違いです。
問2 国語
その答えになる理由
これ、難しいですね。。
日本における近代とは、江戸時代末期以降を指す場合が多いかと思います。
「廃藩置県」などの背景を考えると、1が最も適当だと言えそうです。
その他の選択肢も見ていきましょう。
1と逆の内容であり、お国言葉の使用を止めていく方向へ舵が切られているため、2は間違いです。
「古典」と活用法や仮名遣いを変えており、古典に基づく日本思想の研究を発展させた…とは言えなそうです。
3は間違いです。
「標準語」は東京の教養のある層をモデルとしており、語彙や文法が簡略化されたとは考えにくいです。
4は間違いです。
問3 標準語
その答えになる理由
4が明らかに間違いですね。
これが正解です。
「標準語」や「共通語」と対立する概念は「方言」です。
問4 言文一致体の成立
解説 言文一致
「言文一致」とは、文章の言葉遣いを話し言葉に一致させることを言います。
以前は文章には文語を用いてきましたが、明治初期に言文一致運動が起こり、二葉亭四迷・山田美妙・尾崎紅葉らが話し言葉に近い文章を作品に取り入れていったことで普及していきました。
その答えになる理由
2がそのままですね。
これが正解です。
問5 「日本語教育」に関する事業
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
青年海外協力隊を派遣しているのは、国際研修協力機構ではなく「独立行政法人国際協力機構(JICA)」です。
1は間違いです。
中国帰国者に対する日本語の学習支援等を行っているのは、定住促進センターではなく「中国帰国者支援・交流センター」です。
2は間違いです。
国立国語研究所では、海外との学術交流は行っていますが、日本語教育専門家の派遣は行っていません。
3は間違いです。
4は機関・内容ともに間違っていません。
これが正解です。