令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題6
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 OPI Oral Proficiency Interview
解説 OPI Oral Proficiency Interview
ACTFL(American Council on the Teaching of Foreign Languages:米国外国語教育委員会)が開発した試験で、資格を持つテスターが被験者に1対1で最長30分のインタビューを行い、
- 総合的タスクと機能
- 場面/話題
- 正確さ
- テキストの型
の4つの基準により判定されます。
判定の尺度は、以下の10段階です。
- 初級ー下
- 初級ー中
- 初級ー上
- 中級ー下
- 中級ー中
- 中級ー上
- 上級ー下
- 上級ー中
- 上級ー上
- 超級
解説 ロールプレイ
- 与えられた状況に限定して会話をする
- 役割だけ与えて、自由に会話させる
など、学習者のレベルに応じて様々なやり方を取ることができます。
その答えになる理由
OPIはインタビューやロールプレイを通じて、受験者がどれくらいのレベルまでできるかを10段階で測定します。
これが選択肢内の「上限や下限を確認する」に該当するため、1が正解です。
問2 過剰般化
解説 過剰般化
ナ形容詞を否定形にするときの
必要です
↓
必要じゃないです
というルールをイ形容詞にも当てはめて
美しいです
↓
美しいじゃないです
と言ってしまうこと場合などが、よく例として出てきます。
その答えになる理由
「難しい」は、イ形容詞なので
○ 難しいと思います
が正しい形ですね。
× 難しいだと思います
は、
このチームには、彼が必要だと思います。
このチームのリーダーにふさわしいのは、彼だと思います。
のように、ナ形容詞文・名詞文で用いられる形です。
ナ形容詞文・名詞文のルールをイ形容詞文にも転用してしまう過剰般化の例ですね。
3が正解です。
問3 けど
解説 けど
「けど」は「けれど」のくだけた言い方で、逆接・添加・前置きの用法があります。
【逆接】
彼は若いけど、優秀な人材だ。
【添加】
紅茶も好きだけど、コーヒーも好きだ。
【前置き】
私は●●だと思うけど、あなたはどうですか?
その答えになる理由
下線部は、前置きの用法ですね。
「作り方を教えてもらえませんか」という本題の前置きとなる4が正解です。
1と2は、関連する事柄をさらに述べる添加の用法です。
また3は、「毎日勉強した」と「テストの成績が悪かった」という相反する事柄をつなぐ逆接の用法です。
「が」や「しかし」に言い換えただけでは解けない良問だと思います。
問4
その答えになる理由
「はやめー」に対する会話で、学習者にわかるように「少し早く」と言い換えています。
3が正解です。
問5
その答えになる理由
どれくらいの内容であれば、OPIの中級に該当するか…まで覚える必要はありません。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、途中で補助がありながらも、自分で会話を始めて最後まで続けられています。
選択肢の内容自体は、間違っていません。
これが正解です。
2は、「難しいだと思います」など、言語的な正確さが維持できていません。
これは、選択肢の内容自体が間違いです。
3は、1文が短く、長い段落で話せていたとは言えないですね。
これも、選択肢の内容自体が間違いです。
4は、ロールカードには、「明日アルバイトに来られない理由を伝えて、休む許可を得る」という目的が書かれています。
会話は、「休む許可を得た」のあとも代わりに出勤する日程の調整が続いていますが、「予期していなかった内容か?」と言われると……そこまでではないですね。
これも、選択肢の内容自体が間違いです。