令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題12
の解説です。
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問1 席次計画
解説 言語計画
「言語計画」は、
- 席次計画(地位計画)
- 実体計画(本体計画)
- 普及計画
の3つに分類されます。
解説 席次計画(地位計画)
解説 実体計画(本体計画)
解説 普及計画
その答えになる理由
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言語政策には大きく次の3つの分野があります。
1)地位計画(Status Planning):席次計画とも呼ばれます。どの言語を公用語・国語とするか、司法、行政はどの言語で行うか、教育用言語をどうするか、新聞やテレビではどの言語を用いるか(用いないか)などを決めることです。
2)本体計画(Corpus Planning):コーパス計画、実体計画と呼ばれることもあります。標準語や正書法を定めたり、使用語彙を選定することです。明治初期の日本では地域や社会階層で異なっていた話し言葉を統一し、それに基づく書き言葉を確立するという大きな課題がありました。現在も、ラ抜き言葉が話題になったり、漢字の数や書体、外来語の言い換えなどが問題になったりします。
3)普及計画(Acquisition Planning):習得計画ともいいます。言語をどのように習得させ、普及させていくかを決定することです。かつて標準語の普及を図る一方で、方言をなくそうという運動が行われたこともありました。小学校での英語必修化も普及計画と言えます。
国際交流基金
日本語教育通信 日本語・日本語教育を研究する 第34回
「ある言語に特定の地位を与えること」が「どの言語を用いるか(用いないか)」にあたります。
2が正解です。
問2 普及計画
その答えになる理由
問1の解説より、「どの言語を共通語にしていくか」を決めて民衆に広く伝えていく一連の計画が「言語計画」であり、言語計画は、
- 席次計画(地位計画)
- 実体計画(本体計画)
- 普及計画
の3つに分類されます。
1が正解です。
問3 古代に導入された文字
その答えになる理由
日本史における「古代」とは、古墳時代もしくは飛鳥時代から平安時代中期または後期までを指すことが多いです。
「万葉仮名」のことかも…と気づけるかがポイントですね。
日本語を表記するために、当時の上位文化である「中国」の漢字の音を借用して万葉仮名がつくられました。
3が正解です。
問4 近代化のための日本語のあり方
その答えになる理由
テクニック的なのですが…
2と4が相反する内容なので、どちらかが正解ですね。
日本語の標準化関連で頻出である「方言札」が思い出せれば、このタイミングでは地方の方言を守るのではなく、東京方言に統一を図っていたことがわかります。
2が正解です。
問5 常用漢字の改定
その答えになる理由
文化庁の常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)そのものよりも、こちらの方がわかりやすいです。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
P15より、「今回、字体を変更することは、表外漢字字体表に従って改定された文字コード及びそれに基づいて搭載される情報機器の字体に大きな混乱をもたらすことになる」として字形の統一はされていません。
1は間違いです。
P157より、「岡」「茨」ともに追加されています。
2が正解です。
Ⅱ 漢字表 P1より、2010年改定時の字種の数は2,136字です。
3は間違いです。
2 本表 P3より、「亞」は削除されずに記載されています。
4は間違いです。