令和4年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題16
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 日本語指導が必要な外国籍児童生徒の母語
その答えになる理由
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P6より、令和3年度調査での日本語指導が必要な外国籍児童生徒の母語は
ポルトガル語 | 11,386人 |
中国語 | 5,831人 |
フィリピノ語 | 3,367人 |
スペイン語 | 3,634人 |
ベトナム語 | 4,357人 |
の順に多い結果となっています。
4が正解です。
問2 日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒
その答えになる理由
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P2・3より、令和3年度(2021年度)における日本語指導が必要な児童生徒は、
- 外国籍 47,627人
- 日本国籍 10,726人
でした。
日本国籍は約10,000人なので、3が正解です。
問3 外国籍の子どもの就学を希望した場合
その答えになる理由
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また、外国人については就学義務が課せられていませんが、その保護する子を公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合には、これらの者を受け入れることとしており、受け入れた後の取扱いについては、授業料不徴収、教科書の無償給与など、日本人児童生徒と同様に取り扱うことになっています。このような外国人児童生徒の我が国の学校への受入れに当たっては、日本語指導や生活面・学習面での指導について特段の配慮が必要です。
文部科学省 HP
トップ > 教育 > 国際教育 > CLARINETへようこそ > 帰国・外国人児童生徒教育情報 > 帰国・外国人児童生徒教育等に関する施策概要
外国籍の子どもであっても、受け入れ後の授業料の徴収なし・教科書代等無償提供等の取扱いは日本人児童生徒と同様ですね。
4が正解です。
問4 JSLカリキュラム
その答えになる理由
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学習に参加するための学ぶ力の育成
外国人児童生徒教育はいま転換期を迎えている。1990年に「出入国管理及び難民認定法」が改正されたことなどにより、日系人を含む外国人の滞日の増加とこれらの外国人に同伴される子どもが増加したため、日本の学校は、日本語教育という課題に直面している。これまでも、各学校は日本語を母語としない子どもたちの教育に大きな関心を払い、日本語指導については一定の成果の蓄積がみられた。しかし、滞在の長期化とともに、学習に参加できない子どもたちの増加という新しい事態に直面することになった。日常生活では流暢に日本語を操っている子どもたちも、いったん、学校の授業に参加するとその授業内容が理解できないことが多い。ここに、単に日常的な会話の力ではなく、学習に参加するための力、たとえば、違いを見つける力、関連づけて見る力などの「学ぶ力」の育成が大きな課題になってきたのである。しかも、こうした「学ぶ力」を基礎にして、各教科の授業に日本語で参加できる力を育成することが重要な課題になっている。
文部科学省 HP
トップ > 教育 > 国際教育 > CLARINETへようこそ > 帰国・外国人児童生徒教育情報 > 帰国・外国人児童生徒教育等に関する施策概要 > 「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発について」(最終報告)小学校編 > 1 JSLカリキュラム開発の基本構想
2は、記述がありますね。
「各教科の授業に日本語で参加する」ことは、日本語指導と教科指導の統合だと言えます。
日本語の力と学習内容の理解度をどう評価するか
教師・指導者は、学習を進めていく過程で、子どもたちの日本語の力と学習内容の理解度を常に把握しなければならない。あらかじめ、明確な到達目標を設定し、それをもとに子どもたちを評価するのではなく、一人一人の子どもたちの実態に応じて次の学習課題を提示するための評価、すなわち形成的な評価が必要になる。あくまでも一人一人の子どもたちの実態に応じて、日本語表現を工夫し、学習活動を展開させていくことが重要である。だが、このことは、学習内容の到達度をまったく無視するというものではない。各授業の後に、その学習に準拠したワークシート等を用意することで、必ず子どもたちの学習内容の理解度をみるということも必要になる。したがって、各実践事例を示すとともに、それに準拠したワークシートの作成などの仕方も提案している。これまで、日本語力テストの結果や日本語学級の在籍期間といった基準で所属学級へ移行するという考え方が非常に強かった。しかし、この一見客観的にみえる方法も、子どもたちの個々の実情を把握したものではない。子どもたちの学習状況によって柔軟に対応することが大切になる。
文部科学省 HP
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3は、記述がありますね。
具体物、直接体験に支えられた学び
また、JSLカリキュラムにおいては、具体物や直接的体験にもとづいて学習内容の理解を図るようにしている。教科の学習は、一般的に言えば抽象的、概念的な一般命題の学習が中心である。日本語が十分でない子どもたちにとっては、こうした命題理解よりも、具体物や直接体験から学ぶ方が理解しやすい。命題理解を学習の中心に据えると、どうしても語彙や辞書的な言葉理解が先行し、子どもたちの理解を深めることが難しくなる場合が多い。特に、学習活動に参加するための力が十分でない子どもたちにとって、新しい課題を理解するには、自分の既存の認識構造にそれを組み入れたり、あるいは子どもたちのもつ既有知識を活性化させたりしていくことが必要である。学習活動に参加するための力を育成する上では、可能な限り具体物や直接体験を通した学習が重要であり、母語や母文化の支えも必要になる。また、子どもたちを現実の学習場面から切り離し日本語指導という枠組みにとどめるのではなく、学習活動に参加させることがJSLカリキュラムの主要なねらいである。
文部科学省 HP
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4は、記述がありますね。
残った1が正解です。
問5 「特別の教育過程」による日本語指導
その答えになる理由
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・教育現場に対して、日本語指導に関する指導計画の作成や学習評価の実施を求めることによる、日本語指導が必要な児童生徒一人一人の実態に応じたきめ細かな指導の実現。
文部科学省
2014/3/13
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
指導内容は児童生徒一人一人の実態に合わせた「取り出し指導」であるため、在籍する学年に関する指定はありません。
1は間違いです。
(Ⅳ)授業時数
文部科学省
年間10単位時間から280単位時間までを標準とする。
※1 授業時数の1単位時間は、学校教育法施行規則別表に定める小・中学校等の1単位時間(45分又は50分)に準じるものとする。
※2 なお、児童生徒の実態に応じて特別の必要がある場合に年間280単位時間を超えて指導することを妨げるものではない。
2014/3/13
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
授業時数(授業時間数)は年間10~280単位が標準ですが、児童生徒の実態に応じてそれを超えることが可能です。
2が正解です。
(Ⅲ)指導者
文部科学省
①日本語指導担当教員(主たる指導者):教員免許を有する教員(常勤・非常勤講師を
含む)
②日本語指導補助者:日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者、子供の母語がわか
る支援者
※ ②日本語指導補助者は必置ではない。
2014/3/13
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
日本語指導担当教員は、教員免許を持っている教員である必要があります。
「推奨」でなく「必須」なので、3は間違いです。
(Ⅴ)指導の形態及び場所
文部科学省
児童生徒の在籍する学校における「取り出し指導」を原則とする。ただし、指導者の
確保が困難な場合には、他校における指導も認める。
※ さらに、学校に空き教室がない場合や地理的条件等により学校内に当該指導を行う場所を設けることが困難である場合など、やむを得ない事情がある場合には、一定の要件の下、例外的に、学校外施設における指導も認めることとする。
2014/3/13
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
他校における「日本語能力に応じた特別の指導」であっても、在籍校の校長の判断により、在籍校の「特別の教育過程」に係る授業とみなすことができます。
在籍学校に限るものではないため、4は間違いです。