令和5年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅱ 問題4
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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1番 問1
その答えになる理由
学習者の発話に繰り返し見られた発音の誤りは、
× ちょと
○ ちょっと
× むずかしかた
○ むずかしかった
× よかた
○ よかった
× ずと
○ ずっと
× うれしかた
○ うれしかった
などですね。
いずれも、促音「っ」の脱落によって拍の長さが変わる誤用です。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、長音「ー」が挿入されて拍の長さが変わる誤用ですね。
音声のものとは違うタイプの間違いです。
2は、母音が脱落して拍の長さが変わる誤用ですね。
音声のものとは違うタイプの間違いです。
3は、促音「っ」が脱落して拍の長さが変わる誤用ですね。
音声のものと同じタイプなので、これが正解です。
4は、長音「ー」が脱落して拍の長さが変わる誤用ですね。
音声のものとは違うタイプの間違いです。
1番 問2
その答えになる理由
△ 勉強したんです
△ よか(っ)たんです
△ 教えてくれたんですから
△ とてもうれしか(っ)たんです
などの文末が気になりますね。
「んです」は、「のだ」の丁寧体「のです」の口語表現です。
「んです」の「ん(の)」には、前部をまとめて名詞化する働きがあります。
主にまとめの文で用いる表現なので、多用すると不自然です。
△ 勉強したんです
○ 勉強しました
△ よか(っ)たんです
○ よかったです
△ 教えてくれたんですから
○ 教えてくれたので
△ とてもうれしか(っ)たんです
○ とてもうれしかったです
などの方が自然ですね。
dが正解です。
2番 問1
その答えになる理由
男子留学生は、韓国出身でしょうか…?
くー
は、韓国語で見られる会話のつなぎとなる表現です。
日本語における
あの…
えっと…
そうだなあ…
などと同じ扱いなので、フィラーの一種ですね。
aが正解です。
2番 問2
その答えになる理由
女子留学生の会話では、男子留学生が野菜の海苔巻きを勧めてくれたことに対する
食べません
野菜は嫌いです
ニンジンも嫌いです
のような直接的な表現が気になりますね。
日本語母語話者だと
ありがとうございます。
ただ、野菜が苦手で…
のような婉曲的な表現を使うことが多いのではないかと思います。
dが正解です。
3番 問1
その答えになる理由
コミュニケーションストラテジーとは、発話の意図が理解できなかったとき・伝わらなかったときにとる方法のことです。
今回は、外国人住民が市役所の窓口で住民票を取得するための手続きをしています。
市役所の職員の
この書類に記入して、提出していただけますか?
に対して、
記入…えーと、もう1度お願いします
と伝えています。
「記入」という理解できなかった語を繰り返しているので、aのコミュニケーションストラテジーは使用していますね。
また、「もう1度お願いします」のように、相手に再度発話するように求めているので、bのコミュニケーションストラテジーも使用しています。
残ったのは、c・dです。
このあと、市役所職員が
記入していただけますか?
↓
書いていただけますか?
と言い換えたことで用紙に住所などを書くことは伝わりましたが、外国人住人は
住所と名前を書いて………何をいただきますか?
のように、「いただく」の部分が理解できていないことを伝えています。
dのコミュニケーションストラテジーも使用しているので、最後に残ったcが正解です。
3番 問2
その答えになる理由
「記入する」がわからなかった外国人住人に対して、市役所の職員は
記入していただけますか?
↓
書いていただけますか?
と言い換えています。
- 「記入する」は、漢語
- 「書く」は、和語
なので、cが正解です。