令和5年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題9
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 2022年末現在における日本国内の在留外国人の状況
その答えになる理由
皆さん、過去問演習は順調に進んでいますか?
— むきえび|日本語教育ナビ運営 (@E6b4eQSNWEXYZXB) August 4, 2023
時事問題対策で資料を見るときのポイントは
① 上位3項目は何か?
② 前回調査と比べて、数値・上位項目はどう変化したか?
です。
要点を抑えればそこまで難しくないので、早めに得点源にしてしまいましょう(^^)#日本語教育能力検定試験
出典元はこちら
在留外国人関連は、法務省 出入国在留管理庁の管轄です。
日本語教育能力検定試験の出典元となるのは、
報道発表資料
のようなトピックスだけのものではなく、ページの末尾にある
【令和4年末】公表資料(PDF:1.8MB)
なので、他の時事問題でも必ず元資料を確認するようにしましょう。
P1より、2002年末(令和4年末)現在における在留外国人数は
1 中国 761,563人
2 ベトナム 489,312人
3 韓国 411,312人
ですね。
1は間違いです。
P1より、2022年末(令和4年末)現在における在留外国人数は
総数 3,075,213人
で過去最高を更新しました。
300万人を超えたのが初めてなので、出題されやすいポイントですね。
2020年末(令和2年末)から上位3か国・地域は変わらず、
1 中国
2 ベトナム
3 韓国
となっています。
2が正解です。
P1の1番右の列に「対前年末増減率」が記載されています。
2021年末(令和3年末)と2022年末(令和4年末)を比べているので、この列が負の数になっていれば前年割れ・正の数になっていれば前年よりも増えているということです。
上位10か国・地域は「その他」以外ですが、すべて正の数になっています。
上位10のすべての国・地域で前年プラスですね。
3は間違いです。
P1の1番右の列に「対前年末増減率」が記載されています。
この列の数字が1番高い(=前年からの増加率が1番高い)のは、
インドネシア 65.3%
ですね。
4は間違いです。
問2 心理的援助を日本語教師が行ううえで考慮すべきこと
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
心理的援助に限らず、学習者のサポートをするときは、まず学習者が言おうとしていることを傾聴することが大切です。
先回りすることで、学習者が口をつぐんでしまったり・教師側が間違った解釈をしたりする可能性がありますね。
1は不適当な内容です。
専門家の力を借りることは非常に大切ですが、100%任せきりになるのではなく、チームを組んで上手く対応していけると良いですね。
2は不適当な内容です。
学習者が教師のことを信頼して相談してくれた以上、相談内容の取扱いには細心の注意を払わなければなりません。
学校運営に関わる内容等であれば教員間で共有する必要が出てくることもありますが、「広く共有する」のは良くないですね。
3は不適当な内容です。
学習者をサポートするために専門家の力を借りることは、非常に大切です。
知識面でも・時間面でも日本語教師だけでできることには限界があり、それによってサポートが停滞してしまうことは学習者のためになりません。
4は適当な内容です。
問3 情緒的サポート
解説 ソーシャルサポート
以下の4つに分類することができます。
- 道具的サポート
- 情緒的サポート
- 情報的サポート
- 評価的サポート
解説 道具的サポート
解説 情緒的サポート
解説 情報的サポート
解説 評価的サポート
その答えになる理由
例年、「ソーシャルサポート」が出題されるときは
- 道具的サポート
- 情緒的サポート
- 情報的サポート
- 評価的サポート
の4分類であることが多いのですが、本文では
- 道具的サポート
- 情緒的サポート
の2つしか出てきていないですね。
選択肢を4分類で考えると
1 評価的サポート
2 道具的サポート
3 情報的サポート
4 道具的サポート
に当たるのですが、これでは情緒的サポートがないので問題が解けません。
これは、シンプルに「ストレスに苦しむ学習者へのサポートとして最も適当なもの」を選ぶだけの問題ですね。
ストレスの原因は書かれていないので、何かを提供しても原因をなくせるかどうかはわかりません。
1 励ますようなフィードバックや評価
2 問題解決に適した信頼できる人材
3 物的リソースに関する詳細な情報
4 経済的な援助
1が正解です。
問4 エポケー
解説 エポケー
その答えになる理由
カリスマ塾講師時代に、よく経験しました。
小学校高学年の女の子からの「先生~○○ちゃんってさぁ…」というちょっとした陰口…
- 「それは嫌だよね~」という同情
- 「こうした方がいいんじゃない?」という助言
- 「そうだよね~」という同調
は、すべて悪手です。
生徒からの発話を「いや、そういう話はやめておこう」とバシッと切り捨てられるわけではないので、
- 誰1人傷つけずに
- 話を前にも後ろにも進めないこと
が大切ですね。
1は、ソンさんに同情した発言です。
判断を中止していないので、適当な内容ではありません。
2は、ソンさんに助言をしています。
判断を中止していないので、適当な内容ではありません。
3は、ソンさんに同調しています。
判断を中止していないので、適当な内容ではありません。
4は、オウム返しで事実確認をしているだけですね。
判断を中止しているので、適当な内容です。
問5 異文化間対人関係を構築する際の留意点
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
異文化交流では、これまで接してこなかった文化の人と関わるので、様々なトラブルも起こりえます。
それでも異文化交流を行うのは、自文化の中では経験できないプラスな面があるからですね。
1は、異文化間対人関係を構築する際の留意点として適当です。
生まれた瞬間から、自文化の全てを取り入れられているわけではありません。
これは異文化交流においても同様で、関わり合う中で成長し・経験を重ねることでより深く異文化に触れることができます。
2は、異文化間対人関係を構築する際の留意点として適当です。
自文化と異文化に優劣はありません。
どちらかに偏ることなく、自文化にない視点を異文化から取り入れられると良いですね。
3は、異文化間対人関係を構築する際の留意点として不適当です。
異文化交流で大切なのは、自文化と異文化の違いを自覚することです。
それを否定せずに理解しようとする過程が、異文化との関わり合いの中で1番楽しいところですね。
4は、異文化間対人関係を構築する際の留意点として適当です。