今回は、
✅ ヴォイスとは?
✅ ヴォイスの分類
✅ヴォイスに関する構文
について、一緒に勉強していきましょう。
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例文で学ぶ 日本語文法
ヴォイスとは?
についての文法カテゴリーです。
イメージがつきにくいと思うので、例文で見ていきましょう。
Aさんが 走った。
この文は、動詞「走る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん |
どのような形態の動詞とともに | 走った |
どのような格によって表現されるか? | Aさんが |
ですね。
動詞「走る」は、動作の主体(Aさん)が最低限必要であり、その主体はガ格(Aさんが)で表されます。
ほかの例文でも、確認してみましょう。
Aさんが Bさんを 殴った。
この文は、動詞「殴る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん Bさん |
どのような形態の動詞とともに | 殴った |
どのような格によって表現されるか? | Aさんが Bさんを |
ですね。
動詞「殴る」は、動作の主体(Aさん)と対象(Bさん)が最低限必要であり、主体がガ格(Aさんが)・対象がヲ格(Bさんを)で表されます。
それでは、次の例文ではどうでしょうか?
Aさんが Bさんに 時計を 贈った。
この文は、動詞「贈る」の能動文です。
ヴォイスに関わる要素を見ていくと…
事態の成立に関わる人や物を表す名詞 | Aさん Bさん 時計 |
どのような形態の動詞とともに | 贈った |
どのような格によって表現されるか? | Aさんが Bさんに 時計を |
動詞「贈る」は、動作の主体(Aさん)・受け取り手(Bさん)・対象(時計)が最低限必要であり、主体がガ格(Aさんが)・受け取り手が二格(Bさんに)・対象がヲ格(時計を)で表されます。
このように、事態をどのように表現するかは、それぞれの動詞ごとに「文型」という形で指定されています。
- 走る → [が] 文型
- 殴る → [が・を] 文型
- 贈る → [が・に・を] 文型
そのため、ヴォイスを学ぶためには、
- 格(格助詞の用法)
- 文型
の2つの知識が必要です。
それぞれについて、以下で解説しています。
不安がある方は、これらも合わせてご確認ください。
ヴォイスの分類
ヴォイスの中心的な表現
能動文は、前セクションで確認しているので、受身文・使役文について確認していきましょう。
受身文
【能動文】
Aさんが Bさんを 殴った。
のように、動作の主体をガ格で表す能動文に対して
【受身文】
Bさんが Aさんに 殴られた。
殴る(nagur-u)
↓
殴られる(nagur-areru)
のように、
- 動詞の語幹に「-(r)are-ru」という接辞を付加
- 働きかけ・作用を受ける存在をガ格で表す
という特徴があります。
「殴った」が「殴られた」になり、動作の働きかけを受ける存在(Bさん)がガ格で表されていますね。
能動文・受身文ともに使われている動詞は「殴る」ですが、形態(殴った・殴られた)が変わることで、使われる格助詞も変化しています。
使役文
使役文とは、対応する能動文には含まれていない人・物を主語とし、能動文の表す事態の成立に影響を与える主体として表現する文のことです。
【能動文】
Aさんが 教科書を 読んだ。
のように、動作の主体をガ格で表す能動文に対して
【使役文】
先生が Aさんに 教科書を 読ませた。
読む(yom-u)
↓
読ませる(yom-aseru)
のように、
- 動詞の語幹に「-(s)ase-ru」という接辞を付加
- ある主体(使役の主体)の働きかけ・影響のもとで、ほかの主体(動作の主体)が行う動作が成立する
という特徴があります。
先生(使役の主体)の働きかけのもとで、Aさん(動作の主体)が行う動作が成立していますね。
能動文・受身文ともに使われている動詞は「読む」ですが、形態(読んだ・読ませた)が変わることで、使われる格助詞も変化しています。
ヴォイスと関連する構文
能動文・受身文・使役文以外でも、構文によっては、ヴォイスと関連する場合があります。
可能構文
Aさんは 日本語が 話せる。
話す(hanas-u)
↓
話せる(hanas-eru)
のように、
- 動詞の語幹に「-e-ru」「-rare-ru」という接辞を付加
という特徴があります。
という特徴があります。
Aさんは、動作の主体ではなく、能力の持ち主として表現されていますね。
自発構文
(私は・私には)学生時代が 懐かしく 思い出される。
思い出す(omoidas-u)
↓
思い出される(omoidas-areru)
のように、
- 動詞の語幹に「-(r)are-ru」という接辞を付加
という特徴があります。
対象(学生時代)がガ格、主体(私)が「は」「には」で表現されていますね。
相互構文
Aさんは Bさんと 見つめあっていた。
のように、
- 「あう」を後項とした複合動詞が使われる
という特徴があります。
Aさんは Bさんと 見つめあっていた。
であれば、「Aさん」という主体による「Bさん」という対象への相互動作であることが
AさんとBさんは 見つめあっていた。
であれば、「AさんとBさん」という複数主体による動作であることがわかりますね。
再帰構文
私は 制服を 着た。
のように
- 述語には形態的な特徴がない
ため、そのほかのヴォイスに関する構文に見られる形態的な特徴がありません。
上の例文では、対象(制服)に対する働きかけを通して、主体(私)に影響が及んでいますね。
再帰構文では、働きかけの実質的な影響が主体の中に留まっているので、他動詞でありながら自動詞に近い意味関係になります。
参考書籍
今回は、
✅ ヴォイスとは?
✅ ヴォイスの分類
✅ ヴォイスに関する構文
について解説してきました。
を主に参考にしています。
さらに詳しく勉強したい方は、ぜひ手に入れてみてください。
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